ヤフードームを包むノスタルジックな1日

田尻耕太郎

よみがえる“あのころ”

 明日(5月24日)、4年ぶりに「福岡ダイエーホークス」が復活する。
 ホークスはことし球団創設70周年と九州移転20周年という節目の年を迎えた。その記念事業として、24日の阪神戦(ヤフードーム)は「ホークス九州上陸20周年記念デー」と銘打って「福岡ダイエー復刻モデル」のユニホームを着て試合を行う。着用するのはドームを本拠地とした1993年から「福岡ダイエー最終年」の2004年まで使用したタイプ。あえて阪神戦で着用するのは「03年に阪神を倒して日本一になったときのユニホームだから」(球団関係者)とのことだ。

 選手たちの反応はいかに。ユニホーム発表でモデル役を務めた杉内俊哉は「違和感はないですね」と笑った。杉内は02年に入団して、3年間このユニホームに袖を通した。
「やっぱり愛着がありますよ。あのころがよみがえります」
 03年の日本シリーズ。杉内は第2戦で8回無失点、第6戦で7回1失点と好投してMVPを獲得した。以来、杉内は05年には敵地の甲子園球場で完封勝利を達成するなど5勝負けなしと抜群の相性を誇る。その杉内は、24日に先発する予定だ。
 また、ファンが最も楽しみにしているのは小久保裕紀が「FDH」のユニホームを着ている姿ではないだろうか。福岡ダイエーの低迷時代から4番打者を務め、初優勝とV2に貢献。03年オフに無償トレードで無念のうちにホークスを去った。昨季からホークスに戻ったが、その間にチームは福岡ソフトバンクへと変わった。ある意味、真の「復帰」である。小久保自身は「特別な感情はないよ」というが、03年シーズンのリーグ優勝を決めた9月30日の千葉ロッテ戦(千葉マリン=リハビリ中だったが胴上げに参加するため)以来の「福岡ダイエー」のユニホーム姿を披露する。

特別な1日にするために

 球団も特別な1日にするために、さまざまな趣向をこらしている。試合開始前には「ダイエーホークス・栄光の歴史」をホークスビジョンで放映。ヤフードームのコンコースでは「ホークスのユニホームの歴史」として、往年の選手たちが実際に着用したユニホームを展示する。南海のホーム用は湯上谷●志氏、ビジター用は門田博光氏、福岡ダイエーの平和台時代ユニホームはマイク・ラガ、そしてヤフードーム時代は松中信彦が展示されると聞いている。加えて、7回裏の応援歌「いざゆけ若鷹軍団」も福岡ダイエーバージョンがカムバック。前奏を聴いただけで鳥肌が立つだろう。

 復刻ユニホームを着用しての試合はほかにも行われる。6月6日の阪神戦(甲子園)では「南海ホークス復刻ユニホーム」を、同12日の中日戦(ヤフードーム)では再び「福岡ダイエー復刻モデル」で試合に臨む。
 ノスタルジックな1日まで、あと少し。本当に待ち遠しい。

※●=立に広

<了>
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著者プロフィール

 1978年8月18日生まれ。熊本県出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。2002年卒業と同時に、オフィシャル球団誌『月刊ホークス』の編集記者に。2004年8月独立。その後もホークスを中心に九州・福岡を拠点に活動し、『週刊ベースボール』(ベースボールマガジン社)『週刊現代』(講談社)『スポルティーバ』(集英社)などのメディア媒体に寄稿するほか、福岡ソフトバンクホークス・オフィシャルメディアともライター契約している。2011年に川崎宗則選手のホークス時代の軌跡をつづった『チェ スト〜Kawasaki Style Best』を出版。また、毎年1月には多くのプロ野球選手、ソフトボールの上野由岐子投手、格闘家、ゴルファーらが参加する自主トレのサポートをライフワークで行っている。

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