魅力的なSリーグ=アルビレックス新潟シンガポール社長コラム 第2回

是永大輔

Sリーグに所属するクラブチーム

 ここで、これまでのSリーグにおいて優勝したチームを列記しよう。

1996 総合 ゲイラン・ユナイテッドFC
   前期 ゲイラン・ユナイテッドFC
   後期 シンガポール・アームドフォーシズ
1997 シンガポール・アームドフォーシズ
1998 シンガポール・アームドフォーシズ
1999 ホーム・ユナイテッドFC
2000 シンガポール・アームドフォーシズ
2001 ゲイラン・ユナイテッドFC
2002 シンガポール・アームドフォーシズ
2003 ホーム・ユナイテッドFC
2004 タンピネス・ローバースFC
2005 タンピネス・ローバースFC
2006 シンガポール・アームドフォーシズ
2007 シンガポール・アームドフォーシズ

 Sリーグに参加しているクラブは大きく3つに分けることができる。
A)国自体が大きく関与しているクラブ
B)その他のローカルクラブ
C)海外からの参加クラブ

A)に当てはまるのが、最多の優勝回数を誇るシンガポール・アームドフォーシズ、そしてヤング・ライオンズである。国家をバックにしているため、そのほかのクラブと比較すれば豊富な資金を誇っている。

・シンガポール・アームドフォーシズ
 Sリーグ所属チームの中で最多となる6回の優勝を誇る。母体は「シンガポール軍隊」で、国内きっての強豪クラブである。軍隊の隊員しか所属できないのかといえばそんなことはなく、主にSリーグの他クラブで活躍した選手を積極的に補強。帰化選手を含め、ほとんどの選手がシンガポール生まれではなく、かつてアルビS(アルビレックス新潟シンガポール)に在籍した新井や村上といった日本人選手も現在の中心選手となっている。

・ヤング・ライオンズ
 ライオンズの愛称で親しまれるシンガポール代表チームの弟分、U−23の代表チームがそのままリーグに参加している。つまり、全員が23歳以下。1年間を通してリーグに参加することにより、継続的にチームを強化させていくというプランだ。反面、「活躍していた若い選手がヤング・ライオンズに奪われてしまった」とローカルのクラブから嘆かれることも多い。また、外国人を獲得することもあり「どうしてU−23とはいえ代表チームに外国人選手が加入することが可能なのか?」と不思議に思っていたが、どうやら加入する外国人選手はシンガポールに帰化することが前提となっているようだ。


 文字数の都合からB)は次の機会とさせていただき、C)へ。レギュレーション上、海外からの参加クラブはそれぞれの国籍を持つ選手しか登録できないのが現状である。各クラブの立ち位置は、似たようで違うような微妙な感じだが、当然ながらお互いにライバル意識は強い。

・アルビレックス新潟シンガポール(日本)
 Jリーグに所属するアルビレックス新潟の分家。若手選手と指導者の育成を主眼に置きながらも、シンガポール在住日本人の「誇り」と「憩い」になるべくチーム強化を進めている。

・コリアン・スーパーレッズ(韓国)
 昨季から加入した、母体のない独立系のクラブ。昨季は最下位に終わったが、開幕前に積極補強。今季は優勝争いに加わっている。母国のKリーグ各クラブとの関係も良好のようで、今後もその動きから目が離せない。

・大連実徳(中国)
 アルビSと同じ様式で若手育成を図るために今季から加入した中国の強豪チームの分家。どうやら2004年からSリーグへの参加を検討していたらしい。

 海外クラブ共通の苦労として挙げられるのは、レフェリング。シンガポールのクラブと対戦するときは、やはりどこかアウエーな感覚は否めない。しかし、それを必要以上に云々言うのは、グローバリズムを体現しているサッカーという競技においてはナンセンス。むしろ、こういう中でどのように戦うかを身につけることが、アルビSの若手にとって、非常に重要な経験となるに違いない。

<この項、了>

※本コラムは不定期で連載いたします。

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著者プロフィール

1977年生まれ。日本大学芸術学部卒。IT企業に入社後、モバイルを中心としたサッカービジネスに携わり、日本最大の有料サッカーメディアを作る。サッカージャーナリストとして日本代表および海外サッカークラブの試合を取材しながら世界各地を周った。一方でFCバルセロナ、マンチェスター・ユナイテッド、リバプールといった海外クラブとのビジネスも立ち上げた。アルビレックス新潟シンガポールチェアマン兼CEO。シンガポールサッカー協会理事。アルビレックス新潟バルセロナプレジデント。個人ブログ(http://www.korenaga.ws)、Twitter ID(_kore_)

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