北島「五輪でセンターポールに日の丸を」=選手コメント

スポーツナビ
 北京五輪の代表選手選考会を兼ねた競泳の日本選手権第5日は19日、東京辰巳国際水泳場で決勝4種目などが行われた。男子200m平泳ぎ決勝は、アテネ五輪に続き2種目での2大会連続金メダル獲得を狙う北島康介(日本コカ・コーラ)が、自身の持つ日本記録を塗り替える2分8秒84で優勝。ブレンダン・ハンセン(米国)の持つ世界記録に0秒34まで迫った。2位は2分10秒17で末永雄太(チームアリーナ)。ともに日本水泳連盟の設定した五輪派遣の標準記録を上回り、同100mに続き2種目での五輪出場権を手にした。

 女子400m自由形で五輪の出場権を逃した柴田亜衣(チームアリーナ)は、同800m決勝で派遣標準記録を切る8分28秒69で優勝し、2大会連続での五輪出場を決めた。北京ではアテネに続いての連覇を狙う。女子200mバタフライ決勝では、同100mで五輪出場権を獲得している中西悠子(枚方SS)が自身の持つ日本記録を0秒14上回る2分6秒38の日本新記録を樹立し、2つ目の五輪切符を獲得した。2位に入った星奈津美(スウィン大教)は初の北京行きを決めた。男子200m背泳ぎ決勝では、日本記録保持者の入江陵介(近畿大)が1分57秒33で優勝し、2位の中野高(ミズノ)とともに派遣標準記録を突破。ともに初の五輪出場を決めた。

 男子100mバタフライでは、前日に行われた200m個人メドレーで初の五輪行きを決めた藤井拓郎(KONAMI)が52秒14の日本新記録をマークして首位で20日の決勝に進んだ。2位は高安亮(KONAMI)、3位は岸田真幸(アクラブ調布)、前日本記録保持者の山本貴司(近大職員)は4位で決勝へ進出。女子200m背泳ぎ準決勝では、同100mを日本新記録で制し、初の五輪出場を決めた伊藤華英(セントラルスポーツ)が2分09秒98で1位となり、20日の決勝に駒を進めた。2位は2分10秒82の中村礼子(東京SC)。

 女子の200m平泳ぎは、同100mで2位に入りながら派遣標準記録に届かず五輪出場権を逃した田村菜々香(東海大)が2分26秒20の全体1位で準決勝に進出。2位には金藤理絵(東海大)、3位には100mで初の五輪出場を決めた種田恵(JSS長岡)が入った。男子100m自由形では、49秒85をマークした佐藤久佳(日本大)が首位で20日の決勝に進んだ。2位には200m自由形で優勝し、リレーでの代表が決まった奥村幸大(イトマン)が続いた。女子の100m自由形準決勝は、同200mで優勝し、リレーで北京行きを決めた上田春佳(東京SC)が55秒82のタイムで、予選に続きトップで通過した。

 以下は、上位選手の準決勝・決勝レース後のコメント。
■北島康介(日本コカ・コーラ) 「センターポールに日の丸を立てたい」
男子200m平泳ぎ 決勝1位 ※北京五輪出場決定


 代表を決めたことに対しては特に何もないです。日本記録は、自分を苦しめていた要因の一つで、優勝しても自己ベストを超えられない歯がゆさ、辛さを味わっていたので、日本選手権で更新できたことは、うれしいし励みになります。200mはいい泳ぎをして心を晴らしたいなと思っていました。約5年ぶりに自己ベストを出せたことがうれしい。この記録が背中を押してくれて、五輪までトレーニングができると思います。苦戦していて苦しい思いをしていたので、モヤモヤしたものが晴れて五輪に進めます。
 平泳ぎを完ぺきに泳ぐのは難しい。記録へのプレッシャーが強くて、100mは力んで思い切ったレースができなくて、何でだろうと思っていました。でも、200mは違うと思って、リラックスして臨んだ結果が自己ベストだったと思います。いい練習をしてきたと言ってきていて、言ったからにはプレッシャーがあって、その中で8秒台を出せて違った自分を見せられたと思います。気持ちよく200mを泳げたのは本当に久々。この感覚は忘れたくないです。ただ、ラスト50mは改善の余地がある。どれだけ余力を残してラスト50mまでいけるかが世界記録への勝負だと思います。
(平井コーチからは)思い切っていけと。50〜100mはあせらないで、ラスト50mでどれだけ上げられるか。(2分)9秒台の前半もずっと出せてなかったので、8秒台はうれしいけど、まだ(ハンセンの世界記録には)負けてますから。そういう意味では僕はチャレンジャー。ハンセンといいレースができるように、準備はこの試合が始まる前からやっています。ハンセンが僕をライバルだと思っていれば、何らかの刺激を受けると思うし、6月の全米選手権でどれだけ(記録を)上げてくるか。
 3回目の五輪ですけど、あの味は忘れられない。その刺激を求めてやってきたので、五輪にかける思いは出場する選手の中で一番強いと思います。北京でセンターポールに日の丸を僕が立てたいと思います。


■末永雄太(チームアリーナ) 「人生最高の1週間になった」
男子200m平泳ぎ 決勝2位 ※北京五輪出場決


(2分)10秒前半、しかも1(2分10秒17)が出るとは思いませんでした。(北島)康介さんが思ったより近くにいたので、いいタイムなのかなとは思いました。(立石)諒に勝っていることを祈って最後タッチしました。今日は僕の方が少しだけ五輪に対する気持ちが強かったのかもしれません。10秒を切るのも見えてきたので、康介さんやハンセン、ほかの外国選手に割って入りたいです。人生最高の1週間になりました。(北京でも)最高の夏にしたいと思います。

■柴田亜衣(チームアリーナ) 「観客の声援が力になった」
女子800m自由形 決勝1位 ※北京五輪出場決定


 本当にうれしいです。本当に(派遣標準記録が)切れてよかった。「わーっ」という声が聞こえたので、このまま行けば切れると思って泳ぎました。本当に(観客の声援が)力になりました。(レース展開は)出たい、行こうという気持ちもあったんですが、空回りしてしまいそうなので、後半勝負と思っていました。(400mを過ぎてギアチェンジしたように思いましたが)そういう泳ぎをしようと思っていたので、自分の思っていたような泳ぎができました。今日はほとんど(息継ぎは得意な)右オープン(右呼吸)しかしていないくらいで、自分でも軽い感じで泳げました。田中先生には、「呼吸のタイミングは悪くないので、あとは『慌てず、あせらず、あきらめず』だ」と言われて頑張りました。(北京では)まだ金メダルとは言えないですが、五輪では最高の泳ぎができるように、もう一度気を引き締めたいです。

■中西悠子(枚方SS) 「五輪を笑顔で終われるように」
女子200mバタフライ 決勝1位 ※北京五輪出場決定


 もうちょっと(記録が)出ると思っていたので、最後少し浮いてしまったのかなと思います。悔しいです。調子がいいのは100mで分かっていたので、(2分)5秒台を狙っていました。(100mの)調子を維持できるように、200mにプライドと自信を持ってやろうとしました。今日の出来は合格点です。やはり5秒台にいかないと世界とは戦えないので、しっかり練習していきたいです。
(成長の手ごたえはあるか?)心の成長としては落ち着いているし、ベテランと言われますが、ベテランなりの意地を見せないといけないと思います。まだ(自分が)進化していることは分かりますし、来週(4月24日に)27歳になりますが、27でもできることを見せたいです。まだやることはいっぱいありますし、五輪を笑顔で終われるようにやっていきたいです。


■星奈津美(スウィン大教) 「最後は負けたくない気持ちで泳いだ」
女子200mバタフライ 決勝2位 ※北京五輪出場決定


(自己ベストでの五輪出場だが)直前のアップではそんなにいい感覚ではなかったので、不安もあったのですが、最後は負けたくない気持ちで泳ぎました。たくさんの人が見に来てくれていたので、恩返ししたいと思って、最後まであきらめずに泳ぎました。最後は気持ちだけで泳いだ感じです。
(五輪は)昔からの夢だったけれど、出るからには出るだけでなく、0.1秒でも自己ベストを更新できるように頑張りたいです。(中西)悠子さんはあこがれの選手なので、一生懸命ついていけるように頑張ります。
■入江陵介(近畿大) 「何回もいろんな人の前で泣いてしまった」
男子200m背泳ぎ 決勝1位 ※北京五輪出場決定


 昨日からすごく辛くて苦しくて、何回もいろんな人の前で泣いてしまって、人の温かさが身にしみました。今日は絶対に決めたいと思っていました。ベストが出なかったけれど、(北京五輪)代表になれてうれしいです。100mで狙っていこうと思って(3位と結果が)出なくて、表彰台でも笑っていたけれど、ムリしていると言われました。気持ちを切り替えるのが大変だったけれど、いろんな人に「200mが本命だから」って声をかけてもらいました。選ばれたからには、選ばれなかった人のためにも頑張りたいです。1分55秒台を狙っていたので、(北京では)出して最高のレースができたらと思います。

■中野高(ミズノ) 「刺激し合って僕も伸びていきたい」
男子200m背泳ぎ 決勝2位 ※北京五輪出場決定


 うれしいです。落ち着いてレースができればいいと、あまり気負いすぎないように考えて、レースに臨みました。ベストが出なかったのは悔しいしいので、五輪でベストを出してメダルを取りたいです。(一緒に出場権を得た入江選手は)イトマンの後輩なので、あいつにも伸びてもらいたいし、刺激し合って僕も伸びていきたいです。

■伊藤華英(セントラルスポーツ) 「中村選手を意識した」
女子200m背泳ぎ 準決勝1位


 自己ベストを狙っていたんですけど、足りませんでした。でも中村礼子選手に勝てて、いいステップになりました。準決勝は(中村選手を)意識してもしなくてもタイム的には同じだと思ったので、決勝に向けて意識していました。(コーチから)前半からいけと言われ、いったんですけど、後半も意外にもちました。決勝は後半勝負になると思います。(五輪出場を決めて)世界が変わりました。気分も晴れて、モヤモヤしたものが取れました。

■中村礼子(東京SC) 「優勝して笑顔で五輪出場権を獲得したい」
女子200m背泳ぎ 準決勝2位


 悪くはないので、あとは決勝で思い切りレースをするだけです。100mでは記録を狙い過ぎて、泳ぐたびにタイムを落としてしまったので、200mは決勝でタイムを上げられるようにしたいです。明日は優勝して、笑顔で五輪出場権を獲得したいです。今日は決勝で上げられるように、タイムも順位も気にせず感覚で泳ぎました。

■藤井拓郎(KONAMI) 「日本記録を狙っていた」
男子100mバタフライ 準決勝1位


(日本記録を)狙っていたのでうれしかったです。予選の感じではいいところにいくんじゃないかなと思ってました。でも、まだ代表が決まっていないので、明日いい泳ぎをして代表権を取りたいです。バタフライは個人メドレーにもからむ種目なので自分には合っている。メドレーのトレーニングをしてきて、メドレーの(練習の)要素で十分にバタフライも補える。レースではただ集中するだけでいいように、これからの生活をまたしっかりやっていきたい。準決勝は記録を狙ったので、現状でのベストは尽くしました。決勝では、駆け引きではベテランの選手に負けるので自分の泳ぎをするだけです。

■高安亮(KONAMI) 「思ったより気持ちが高ぶった」
男子100mバタフライ 準決勝2位


 自分らしいレースをしたいというのがあったし、僕はそれを今まで貫いてきたので、準決勝、決勝とどんどんスピードを上げていこうと。4秒3(24秒38)で回った(折り返した)んですか。予想より速いですね。決勝でそれくらいだといいと思っていました。(4年前に五輪代表を逃した)悔しさもありますので、準決勝は決勝に向けて軽くいこうと思っていたんですが、思ったより(気持ちが)高ぶってしまったようです。


■山本貴司(近大職員) 「決勝で勝てばいい」
男子100mバタフライ 準決勝4位


 やっている以上、いつ(日本記録を)出されるかは分からないし、自分が明日切ればいい。まだチャンスが残っているし、派遣標準記録を切ろうと思ったら、(日本記録を)切らないといけない。明日はみんなの調子がどうなっているか分からないし。決勝で速く泳げればいいし、そこで勝てばいい。決勝で藤井君と泳ぐのは初めてなので楽しみ。周りが自己ベストを更新してくることは想定しているので、自分もベストを更新しないといけない。

■田村菜々香(東海大) 「私にはもう200mしかない」
女子200m平泳ぎ 準決勝1位


 100mでの(派遣標準記録を切れなかった)失敗を生かして、落ち着いた泳ぎができたんじゃないかと思います。私にはもう200mしかないので、冷静な自分を作って泳ぎたいです。100mでは前半にいきすぎて、後半の失速につながってしまったので、200mは冷静に落ち着いて、そこそこのスピードで入れるような泳ぎをしたいです。

■佐藤久佳(日本大) 「勝つことを一番に考えたい」
男子100m自由形 準決勝1位


 前半からいくと決めていました。明日(の決勝)につながるいいレースだったと思います。泳ぎの感覚はだいぶ合ってきています。(自分の日本)記録を塗り替えるのも大事だけれど、五輪に行くために勝つことを一番に考えたいです。予定通りの泳ぎができたので、8割くらいはいい感じになっています。ちょっと前半に足を使い過ぎたので、最後は若干抑えたんですけれど、そこは修正して(決勝では)満足できる泳ぎがしたいです。ベストが出せれば勝てると思うので、勝つこと第一で、前半から積極的にレースをして勝ちたいです。今日の前半は明日につながるいい泳ぎができました。明日もこのくらいで入って勝ちたいです。

■上田春佳(東京SC) 「自分に負けないレースをしたい」
女子100m自由形 準決勝1位


 55秒台前半を狙っているので、準決勝のタイム(55秒82)は、まあまあだと思います。準決勝で55秒台を出しておけば決勝も気持ちよく泳げると思います。200mの時は準決勝でタイムを落としてしまったので、今日は積極的にいきました。積極的なレースをしないと日本新記録も出ないので、自分に負けないレースをしたいです。

<了>
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