WBSS決勝 井上尚弥vs.ドネア

11/7 21:10 さいたまスーパーアリーナ

井上が判定勝ち WBSS初代チャンピオンに

ゲームスコア

大会名
WBSS決勝

井上尚弥

3判定0

ノニト・ドネア

判定詳細:116-111、117-109、114-113
※井上がWBSS初代チャンピオン

総括

判定まで持ち込まれながらもWBSS初代チャンピオンに輝いた井上尚弥【写真は共同】

 階級最強決定トーナメント「ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)」バンタム級決勝戦が7日、さいたまスーパーアリーナで開催された。

 1回戦と準決勝をいずれも圧巻のKOで制した井上は、自身が「最も手本にした」と語る“フィリピンの閃光”ノニト・ドネアと対戦。ここまで18戦全勝16KO、世界戦においても13戦全勝12KOと圧倒的強さで、あだ名とする“モンスター”そのままの姿を見せてきた井上だが、5階級制覇のレジェンド・ドネアは一筋縄ではいかず、過去にない苦戦を強いられる。

 井上を恐れず前に出たドネアは必殺の左フックを当て、井上にキャリア初となる出血を負わせる(2R、右目周辺)。ドネアにプレッシャーを与えられる展開となった井上だが、5Rに右ストレートでドネアの腰を落としペースを握る。

 試合中盤、次第にパンチを見切ってきたかの井上だったが、やや疲れが見られた9R、ドネアが右ストレートをクリーンヒット。これに大きく体を揺らした井上は、何とかクリンチでこのピンチをしのぐ。

 弱気にならなかった井上は11R、右アッパーから左ボディフックで相手をえぐると、ドネアは顔をしかめ座り込んでダウン。終盤に決定的な場面を作った井上が、その後もドネアに挽回を許さず。

 判定は3-0(116-111、117-109、114-113)で井上の勝利。これまでにない苦しい場面に見舞われたが、それを乗り越え、井上は無敗を守ってWBSS優勝を成し遂げた。(協力:長谷川亮)

  • (井上の今後は?)マッチメイク自体は容易ではないが、まずは統一戦路線を…

    (写真:ロイター/アフロ)

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ラウンド詳細

  • 試合前

    先にドネアが入場。フードに「FLASH」と入ったガウンをまとい、笑顔も浮かべて自然体で進む。ファンからの声援にドネアはお辞儀し、手を振るなどしながらゆっくり歩を進める。

  • 試合前

    続いて井上の入場。リラックスしているように見えたドネアに比べ、すでに臨戦状態、気合い十分といった様子で花道を歩む。演出台の前まで来ると、井上は交互に片手を上げファンからの歓声に応える。

  • 試合前

    井上とドネア、両者がそろったところでアナウンサーが呼び込み、2人がリングへ向かう。先にリングインしたのはドネア。井上もリングサイドで一瞬笑顔を見せてからリングへの階段を上がる。

  • 試合前

    入場時のリラックスから一転、厳しい表情に変わったドネアはコールを受けると片手を上げる。対する井上はコールを受けると、力強く右の拳を斜め上に突き上げる。

  • 1R

    井上は左のジャブをボディに伸ばす。互いに距離を取って間合い、相手の様子を探る。井上は右ボディストレートを放つが、ドネアはステップバック。ドネアの左ジャブがヒット。ドネアがスッと出てくると、井上はステップバックする。

    井上は右フック、左フックと早くもパンチを回転させる。ドネアも左フックを振り返すが、井上はステップバックして当てさせない。井上はジャブを出しながらリングを左回り。井上はジャブで探りながら右ボディストレート。しかしドネアも左フックで襲ってくる。

    そしてこれで警戒させながら井上に左ボディフック。井上は右フックでドネアを後退させる。ラウンド最後は左ジャブを上下に井上が放って終了となる。

  • 2R

    井上は左腕を下げて距離を取り、そこから左回りしながら左ジャブ。左フックは両者相打ちとなる。しかし続いて井上の左フックがドネアに当たる。井上は右ボディストレートから左フック。井上は圧力を強めていき、右ストレートからの左フックでドネアをよろめかせる。

    パンチ力でドネアにプレッシャーを掛ける井上。ロープを背にした井上はドネアのジャブをグローブで弾き、当てさせない。

    井上は下から突き上げるような左ジャブ。しかしそこからドネアが出てきて左フックを当て、井上の右目から出血させる。ドネアは圧力を強めてくるが、しかし井上も左右フックを振るってドネアを後退させる。

  • 3R

    2R同様にドネアが前に出てくる。井上はジャブから右・左フックを強振。しかしドネアは前進を緩めない。だが井上も正面でぶつかり合わず、ジャブを突きながら右・左とリングを回ってドネアの左フックを空振りさせる。

    井上は左ジャブをボディ・顔と打ち分ける。だが、ドネアはプレッシャーを継続。井上もこのプレスに負けずに左ジャブを止めない。

    ドネアはヘッドワークとブロッキングで井上のジャブに対処しながら前に行く。井上の右ボディストレートにドネアは左フックをカウンターする。

  • 4R

    ドネアはジャブを放って前に出る。井上は右のガードをしっかり顔の横につけている。そして左ジャブをドネアに返す。

    ドネアのフックをダッキングでかわすと井上も連打を返すが、このラウンドは手数が少ない。その中でも井上はガードからジャブをドネアに伸ばしていく。

    井上はドネアを入らせんとジャブを突くが、ドネアはヘッドスリップが巧みで当てさせない。近距離で井上がストレート・フックを振るっても、やはりドネアは当てさせない。中間距離で井上が放った左フックはドネアがブロック。ラウンド最後はドネアが逆に左ジャブの連打から右ストレートで井上を襲う。

  • 5R

    ドネアがジャブからつないだ右ストレートを伸ばす。ドネアが入ってくるところに井上が左フック、左ジャブと放つがこれはドネアがブロック。井上の右ストレートがとらえるが、ドネアは大崩れを見せない。

    前に来るドネアに井上はカウンターを狙って左ジャブ、左フックと放つ。ドネアが強振してくる右ストレート、左フックは井上がバックステップで空転させる。

    ドネアは右ストレートから左ボディ。続けて右ストレートもドネアに軽くヒット。しかし井上の右ストレートが当たると、ドネアは一瞬腰が落ちる。井上は左右のフックを振るってドネアを追う。だがドネアはダッキングで当てさせない。しかし井上は右ストレートも追加してラウンドを終える。

  • 6R

    ドネアの右ストレートをかわしつつ井上は左フックを放つが、これはドネアがブロック。井上が激しくジャブを連打するが、ドネアはパリ―して対処。手数を戻した井上はジャブから右ストレートをつないでドネアに迫る。

    見切りができてきた様子の井上はドネアの右ストレートをかわした直後に右ストレート。だが、ドネアも相打ち覚悟で左ジャブ、右ストレートと振るってくる。井上はドネア必殺の左フックをかわした直後に左フックを当ててこのラウンドを終える。

  • 7R

    井上は大きくステップを踏みリングを左回り。ドネアがジャブを伸ばしても井上は見切って当てさせない。ドネアの右ストレートも井上はやはりバックステップ。ドネアはさらに右ストレートを放つが、ここも井上はバックステップを合わせて不発に終わらせる。

    ドネアはパンチを止めない。だが、井上はラウンド後半に入ると逆に前へ出て、左ジャブから右ストレートでドネアを襲う。

    ドネアが呼応して出てくると井上はそれを待っていたか、カウンターのアッパー、左ジャブを飛ばす。終了直前、ドネアが伸ばした右ストレートは井上が浅い当たりにとどまらせてラウンドを終える。

  • 8R

    前に出てくるドネアに対し、井上は左ジャブの上下打ち。井上がボディを狙ったが、頭を下げたところをドネアは右ストレートを打ち下ろし、井上はこれにやや動きが止まる。

    ドネアはさらに右フック、右ショートストレートと井上をとらえる。このラウンドはドネアの圧力がきいている。

    井上はしかし右ストレートからつないだ左ボディでドネアを一瞬たじろがせる。ドネアは左ボディから左フック、右ストレートとつなげ、右目から再び出血の見られる井上を追っていく。井上はジャブを多用しドネアをストップせんとする。

  • 9R

    井上はステップを戻し左回り。ドネアはやや足に活力の感じられない井上に対し、圧を掛けていく。左ジャブで井上のあごを跳ね上げると、ドネアは続いて右ストレート。さらに右ストレートをフォローすると、井上は大きく体が揺らぐ。

    ドネアの攻勢を止めんと井上はクリンチ。しかしドネアはこれを振りほどき、再び右ストレートのヒットを狙う。

    両者狙っているが、手数が少ない。この間に回復を図る井上。右目横・鼻から出血がみられる井上だが、ドネアが体ごと入ってくる右ストレートはかわす。

  • 10R

    井上は距離を取り、フットワークでリングを左回り。ジャブを放ち、ドネアの左フックはダッキングし、左ジャブを突きながら前に出る井上。ドネアは手数を出さず井上を誘っているか。井上はしかし警戒し過ぎず、右ストレート、左フックと強打するがクリーンヒットを得られない。

    両者ジャブを突き合いペースを取らんとする。だがドネアもバックステップして井上を空転させ両者の攻防は均衡が崩れない。井上がジャブから左ボディフックを当てるとドネアも右ストレートを当て返す。ドネアのジャブに井上は右ストレートをカウンターで巧打。さらに右ストレートを当てるとドネアは体が揺れる。

  • 11R

    井上は前のラウンドに当てた右ストレートを再びヒット。そこから左ボディフックをつなげ、さらに右ストレート、右クロスと好戦的に攻める。だが、ドネアも引かずにフックを顔・ボディと振るう。場内は「尚弥」コールで井上を後押し。

    ここで井上の右アッパーから左ボディにドネアは顔をしかめ、自ら距離を取ると座り込んでダウン。

    立ち上がったドネアはクリンチに来るが、ダメージが隠せず手が出ない。フック・アッパーと立体的に攻める井上だが、ドネアの左フックがかすめて井上も一瞬動きが止まる。

    しかし井上は再び攻勢に戻り、ジャブから右ストレート。井上はジャブから右フック、そして再び左ボディフック。さらに左ボディから左フックと井上が攻めるが、ドネアも倒れない。

  • 12R

    やや足取りが重く感じられるドネアだが前に来る。井上はダメージのあったボディに追撃。井上が右ストレートを伸ばすとドネアは後退。ドネアの左ボディにも井上は右ストレートをカウンターする。

    後退ベースとなったドネアを井上は追う。逆にドネアが出てくると、井上は左右フックからアッパーと再び下がらせ、右ボディストレート、左ボディフック。だがドネアもこれはブロック。最後はドネアがKO狙いの左右強打を振るうが、井上が当てさせず終了。

  • 判定

    判定は116-111、117-109、114-113の3-0で井上。苦しんだがレジェンド・ドネアを倒し無敗を守った。

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