中垣内監督「若さを露呈した大会」 グラチャンバレー ブラジル戦後の談話

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最終戦のブラジル戦を終え、今大会を「極めて情けない、若さを露呈した大会」と総括した中垣内監督 【坂本清】

 バレーボール男子のワールドグランドチャンピオンズカップ(グラチャン)は17日に最終戦が大阪市中央体育館で行われ、日本は世界ランキング1位(2017年7月7日付)のブラジルにセットカウント0−3(17−25、15−25、22−25)で敗れた。この結果、日本は通算成績5敗で最下位に終わった。

 以下は、試合後の中垣内祐一監督と選手のコメント。

中垣内祐一監督

来季以降に向けて、中垣内監督は「高さのあるアウトサイドの選手を育てていく」と強化プランを語った 【坂本清】

「高さのあるアウトサイドの選手を育てていく」

 ブラジルは世界ランク1位です。われわれが苦戦するのは当然といえば当然ではありますけれども、3セット目の終盤しか見せ場を作ることができなかったというのは残念です。それでも最後に、ようやく選手の腹からの声というか、彼らが自分たちのやりたいことを、意志を示してきた。時すでに遅しなんですけれども、そういったことの大事さを選手が学んでくれたと思います。ブルーノ(・レゼンデ)とルーカス(・サートカンプ)には藤井(直伸)と李(博)や山内(晶大)がしたかったことを存分にやられたという気がします。

 今日の試合については、小野寺(太志)を昨日(のイラン戦で)少し長く使い、今日はスタートでチャンスを与えました。やはりサーブレシーブで狙われるとボロが出ますし、ブロックも2枚そろわれると経験不足を露呈したところがあります。しかしながら、彼が出ている時はブラジルのオフェンスはライト側中心ではなくレフト側にシフトしていました。いずれにしろ2020年(東京五輪)に向けて小野寺のような高さのあるアウトサイドの選手を育て、起用していきたいと考えています。

 この大会を振り返って、前半戦は石川(祐希)の調子が上がらなかったこともあり、自分たちのすべきことが全く分かっていないような極めて情けない、若さを露呈した大会になりました。それに関してはわれわれのコンディショニングに間違いがあったのかもしれないですが、ベストは尽したつもりです。より慎重に、東京大会の前は考えていかないといけないと思っています。

 こういった強いチームと対戦する機会が今年初めてだったこともあって、選手たちは自分たちのギャップに戸惑いを見せながらのバレーボールになったことも序盤のフラストレーションが溜まる内容につながっているのではないかと思います。今後はどんどん、東京五輪までに高さのある、パワーのある国との試合を含め、練習を重ねていく必要があると、あらためて感じています。来季以降、そういったスケジュールも入っていますし、来季のターゲットは世界選手権(18年9月にイタリアとブルガリア共同開催)になります。世界選手権では違うバレーボールを見せていかなければいけないと決意を新たにしています。

 ミドルを積極的に使う、初年度としてミドルに絡めてパイプ(バックアタック)を、という攻撃の組み立てをしたのは間違いではなかったと感じています。今日もミドルでの得点力をそれなりに感じることができました。相手に囲まれて、策がないスパイクになると簡単にシャットアウトを食らいますが、そこの方向性は間違っていないと感じています。大会を通して小野寺、山本(将平)といった新戦力がそれなりに活躍してくれたことを評価したいと考えています。

世界選手権の目標はベスト8

柳田の評価は、チームと同じ「及第点とそうでないところの間ぐらい」 【坂本清】

(サーブとサーブレシーブに対する評価は)前半戦、なかなか自分たちの力を出し切れなかった要因の1つとして、サーブが機能しませんでした。練習してきた自分たちの持っているサーブを出し切れなかったところもあります。3戦目(イタリア戦)、大阪に入ってからの試合で、柳田(将洋)がいいサーブを打ったり、李がポイントしています。山本も(サービス)エースを3本取っていますが、大会を通してみると、サーブという意味では満足し切れません。

 サーブレシーブですが、かなり時間を割いて練習してきました。しかしながら非常にいいサーブがサイドライン際に入るとか、2人の間に落ちるボールで何本か失点が見られたと思います。もう少し失点しないようにしていくのが課題だと思います。ダイレクトのボール、オーバーで帰ってくるボールが目立ちました。今年はずっとそれを避けようと練習してきましたが、残念ながら今日は多くそういった場面が出ていた気がします。

 サーブレシーブに関しても、もう少し期待していたところよりは(実際の出来が)低かったと思います。とはいいながらも、井手(智)が大会を通してベストリベロ賞をもらいました。大阪に入ってからの井手の頑張りは非常に評価できると思います。前半は評価に値しませんでしたが、大阪に入ってからは徐々に自分の仕事をしようとするようになってきたかなと。(ブラジル戦の)3セット目の終わりは、井手の魂の声がいくつか聞こえてきて、最後に若干溜飲が下がったと言えると思います。

(ワールドリーグから順調な気がしていたが、グラチャンを見て世界との差を痛感した。この差を3年で埋めるのはかなり厳しいと思うが、どう詰めていこうと考えているか)ひとつ言えるのは石川が全く戦力として計算できなかったことで、大きくチーム力を下げています。ですので、全体を通してわれわれの期待値よりもかなり低いところでのゲーム展開になったと言えると思います。

 今後については、背の高いアウトサイドの選手を下(の世代)からピックアップしていかに育てるかということ。ここに懸かっていると思います。確かに大会を通して、トップ5との差は依然として大きいと感じましたが、われわれとしてはアウトサイドの強化を図り、新戦力をいかにピックアップできるかということに来年は注力したいと思っています。非常に厳しいチャレンジであり、それは最初から分かっている話ではあります。そのチャレンジに向かって、挑戦し続けるしかないわけです。困難な中、どこに打開策があるのか。常日頃からアンテナを広く張りながら活動していきたいと思います。

(今季の代表戦が終了したが、思い描いていた強化はどの程度できたのか)今季、最後のグラチャンで勝つことができていたら、勝利を得ることができていたら、かなり高い点数をつけることができたと思っています。ですが、最後はフラストレーションの溜まる大会になってしまったことで、点数は若干下がると思います。及第点とそうでないところの間ぐらいでしょうか。前半はよく頑張ってくれたと思いますし、当初の目標(世界選手権の出場権獲得)はクリアしていますので、そういった点数になるかと思います。

 強化の方向性は間違っていないという自信はありました。さらにグレードアップ、その時期に応じて新たな策を打ち出していく。今までと変えるところ、変えたところをベースに積み重ねを続けるつもりです。

(ブランコーチは来季も変わらない?)もちろん、われわれの重要なスタッフとして力を存分に発揮していただくということに現時点で変わりはありません。評価しています。彼の経験、リーダーシップというのか、いろいろなコート上での経験だけではなく国全体の強化に対する知見はわれわれに非常に大きな力を与えてくれていると思います。たとえば東京五輪に向けた強化策はブランの経験が役に立つだろうと確信しています。

(柳田の大会を通じての評価は)チームの評価と同じですね。それほど高いものではないし、それほど低いものでもない。前半戦の名古屋ラウンドはそれほど高い評価はできないと考えています。大阪に入って彼のできることを普通にしてくれたとは思います。しかしながらワールドリーグのように彼が存分にチームをリードしたかと言えば、必ずしもそうとは言えない。

(来季の世界選手権に向けて)監督就任時に、世界選手権の目標はベスト8と言っています。選手にもそう言っています。変わりません。少なくともまだまだ大きなチャレンジであることに変わりはないのはご存じだと思います。妥当なラインだと言えたらいいのですが。

(アウトサイドの高い選手を育てていくことについて。小野寺のようにミドルの選手をコンバートするのか、目をつけている選手がいるのか。どういったメドを持っているのか)ハッキリと名前を伝えるのはプランの段階ではどうかと思いますが、バレーボール関係者はこれぐらいしか思いつかないよねと。アウトサイドもミドルもこれぐらいしかいないよねという状況ですから、その中から選ぶしかないですよね。

 すべて選考、強化していくことは「東京でどうだ」「どうなりそうだ」という判断のもとで選抜していきたいと思います。あるいはその次の24年(パリ五輪)につながっていくメンバーの中からかもしれません。

 いずれにしても非常に限られた戦力しかないわけですから、何もしなかったら今のままということです。なので、どんなとっぴな案が出せるかというところです。人には「え、そんなこと?」と言われることでも、検証して実行していかなければ戦力は確保できないと思います。

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