元ラス・パルマス福田健二がリーガを語る スペインでサッカーをするための条件

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ラス・パルマスでプレーした経験を持つ福田健二(右)さんに、スペインサッカーを語ってもらった 【写真:アフロ】

 2016年シーズンを最後に現役を引退した福田健二氏は、キャリアの中で6カ国、12クラブでプレーした。2006年1月からはカステリョン、06−07シーズンはヌマンシア、07−08シーズンにはラス・パルマスでプレーしており、スペインでの経験も豊富だ。今回は福田氏に、ラス・パルマス時代の話やスペインサッカーの特徴、そしてスペインでサッカーをするための条件について語ってもらった。

ラス・パルマスは移動が大変

――ラス・パルマスはどんなところですか?

 カナリア諸島にあります。「ヨーロッパのハワイ」と呼ばれる温暖な気候で、生活するには良いところでした。ただ、時々アフリカ大陸からサハラ砂漠の砂が飛んできて、街がまっ黄色になることがありました。

――スペイン本土からは約1000キロ離れていますね。

 試合の移動は大変でした。2週間おきに飛行機でスペイン本土へ。ただ、けがが多くて招集外が多かったので、それほど苦にはなりませんでしたが。

――サポーターはいかがでした?

 ラテンのノリで、良い時は王様扱いされますし、悪い時はこき下ろされました。

――テネリフェ(今季は2部に所属)との「カナリア諸島ダービー」はどんな感じでしたか?

 ダービーはすごかったです。テネリフェとは島が違うので、ほんの10分ほどですが、飛行機で移動します。空港にはサポーターが見送りに来て「頼むぞ!」と。そして選手、スタッフも戦地に乗り込むという感じでした。いつもにはない、緊迫した空気がありました。

 テネリフェ島に着いて、空港を出たところに相手のサポーターがいて、(ラス・パルマスの)マスコットの「ヒヨコ」人形が燃やされていたり、踏んづけられたりしているのをバスから見ました。スタジアムでも殺気を感じる一戦でした。その年は出場機会はなかったのですが、結果はリードされていたのを追いついて2−2。引き分けでしたが、やった感がありましたね。

外国人はその場ですぐ評価される

――スペインサッカーの印象はいかがですか?

 選手1人1人が評論家でしたね。特に外国人はその場ですぐ評価される。ロッカールームに戻ると、「あいつはこういうことができて、こういうことができない」と言われる。そこで良い評価が得られれば、他の選手にも伝わっていきますし、逆だと練習でも居場所がなくなっていく。

 練習の合間にも「今のプレーは納得できない」とか、「今のはこうするべきだった」と相手にはっきり言います。言われた方の選手も「今のはこういう考えでこうした」と(意見を)ぶつけ合っていました。

――意見を言い合って、考えを共有しないとプレーできないところですか?

 2部(リーグ)になると移動が8時間かかることもよくあり、移動の間もずっと話をして自分を理解してもらうようにしていました。選手たちもクラブのカンテラ(下部組織)でしっかり教育された選手が多く、お互いが討論しあって、妥協点を見いだしてピッチの上で表現する感じです。

――国による違いはありましたか?

 パラグアイは輪になって、マテ茶を回し飲みしながら、サッカーだけでなくいろいろな話をして絆を固めていきます。だから結束力が強い。メキシコは中盤に世界で通用する能力の高い選手がいましたが、ストライカーは外国人頼み。ブラジル人やアルゼンチン人がいて、結果だけを求めます。結果さえ出せば認めてくれる感じでした。

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