【UFC】雪をも溶かす熱いオンナの戦いが開戦! 2017年UFC女子バンタム級戦線を占う大一番

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事実上の次期挑戦者決定戦 シェフチェンコvs.ペーニャ

事実上の次期挑戦者決定戦となるシェフチェンコvs.ペーニャ 【Zuffa LLC】

 UFC女子バンタム級の2016年はこれまでの主役の総退陣という大地殻変動が起きた1年となった。「UFC207」では現UFC女子バンタム級チャンピオン、アマンダ・ヌネスに挑戦者した元絶対女王ロンダ・ラウジーがわずか48秒でノックアウト負けを喫した。ラウジーのライバルとしてこの階級を支えてきた元王者のミーシャ・テイトもニューヨークで行われた「UFC205」を最後に引退を表明し、同じく元王者のホリー・ホルムはフェザー級に転向して再出発を期すこととなっている。

 では2017年のUFC女子バンタム級戦線はどんな様相を呈していくのだろうか。当面ヌネス時代が続くことになるのか、それとも、新たなスター選手がヌネスを脅かすことになるのか。その差し当たっての答えが、日本時間1月29日(日)に開催されるUFCファイトナイト・デンバーで出ることになる。女子バンタム級ランキング1位のワレンチナ・シェフチェンコと、同2位につけるジュリアナ・ペーニャの、事実上の次期タイトル挑戦者決定戦が行われるのだ。

流浪のノマドファイター、シェフチェンコ

 キルギスタンに生まれ、現在の国籍はペルーだというシェフチェンコは、試合のたびに違う場所でキャンプを張る。今回は試合が行われるコロラド州にベースを構え、高地トレーニングでデンバーの標高に備える。「美しい湖がないことを除けば、コロラドの自然の美しさや雪、寒さは、故郷のキルギスタンと同じで居心地がいい」と語るシェフチェンコは、ムエタイとキックボクシングでこれまで17本のベルトを獲得してきた立ち技のエキスパートだ。

 シェフチェンコは過去7戦で6勝と好調、特に昨年7月にホルムを判定勝ちで下したことは記憶に新しい。また昨年3月の「UFC196」ではヌネスと対戦、判定負けを喫したものの、試合後半にかけて馬力でヌネスを圧倒し、あわや逆転勝ちかと思わせた。

「相手のことはどうでもいい。自分のスキルを発揮できれば結果は付いてくる」とクールに語るシェフチェンコ。しかし、今回ペーニャを下せばヌネスへの雪辱を果たしつつ、ベルトまで手中に収めることになる。勝ちを知る勝負師がこんなチャンスをみすみす逃すはずもない。

待望のメインイベント ペーニャは時代を拓けるか

2017年UFC女子バンタム級戦線を占う大一番 【Zuffa LLC】

 対照的にペーニャは研究と対策に励みすぎ、頭の中がシェフチェンコでいっぱいになっているのだという。「インターネットの世界の終わりまでいって彼女の試合動画を全部探し出し、毎日見ている。私は自分でもちょっと頭がおかしいのではないかと思うくらい、シェフチェンコに取り付かれている感じ。朝、昼、晩と、彼女のことばかり考えている。眠りに就く時にもシェフチェンコ、目が覚めた時にもシェフチェンコ。彼女の好物がピザであること、サルサで踊るのが好きなことまで知っているわ」

 ジ・アルティメット・ファイター(TUF)シーズン18の優勝者であるペーニャはこれまでUFC戦績4勝0敗、前回は「UFC200」でヌネスやテイトにも勝っているトップコンテンダーの1人、キャット・ジンガノを下している。ペーニャはテイクダウンからのパウンド数でこの階級の最多記録(86発)を保持しているグラウンド・アンド・パウンドの名手だ。

「ほかの多くの女子選手が、すでにメインイベントを飾っているのに、私は忘れられているように感じていた」とペーニャは焦りを隠さない。「私は自分では、もうとっくの昔からタイトルに挑戦する資格があると思っている。それなのに、これまでずっと過小評価されてきた気がする。そのことが腹立たしい。だからこそ、今回ついに私の出番が来た、自分こそが本格派チャンピオンになれることを証明してやろう、と思っている」

 ダイナミックな展開が期待できるストライカー対グラップラーのスタイル対決となるこの試合、両者にとってキャリアをかけた大一番となるだけでなく、今後のUFC女子バンタム級のタイトル戦線を左右することになることは間違いない。

(文:高橋テツヤ)
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