中垣内祐一、中田久美が抱負を語る 全日本バレー男女代表監督 就任会見

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中田「女性監督としての強み、弱みは『距離感』」

女性指導者としての強み、弱みを語った中田監督 【写真:伊藤真吾/アフロ】

 以下、質疑応答。

――中垣内監督に質問。縦横の一貫指導という言葉があったが、どのような指導を行っていくのか。何か参考にする指導法があるのか?

中垣内 正直に言うと、現時点で自分1人で全部をやろうとは思っていません。そういった意味では、多数の指導者の目で指導していきたい。その中には日本人だけではない目を加えたいと考えています。これから石川(祐希)選手はイタリアでプレーしますけれど、それ以外でもイタリアのみならず、どんどんと世界に出て研さんしていってくれるように。環境が許せばですが、後押ししていきたいと思っています。

――中田監督に質問。東京五輪に向けて練習や育成をどのようにしていきたいと考えているのか具体的に教えてほしい。

中田 そんなに具体的にお答えすることはできないのですが、まずはなぜリオ五輪で結果を残せなかったのかの検証と分析が必要なのかなと思います。(眞鍋政義)前監督がやってこられたことについて、私は方向性は間違っていないと思います。それにプラスして何を付け加えることがメダルへの近道なのか。ちょっとまだ時間がなくて何も動けていない状態ですが、選手選考やスタッフも含めまして、これから。そんなに時間はありませんが詰めていきたいと思います。

――中田監督に質問。先ほど「女子指導者の強みを最大限生かしていきたい」とあったが、女性指導者の強みとはどんなものか。女性指導者としての課題や克服しなければならないことをあえて挙げるとしたら?

中田 強みも弱みも「距離感」だと思います。入り込もうと思えばいくらでも入れるし、逃げ道をふさごうと思えばいくらでもふさげる。これは強みでもあり、弱点でもあるのかなと。来年の5月から指導しますけれど、選手がどういう長所を持っていて、どういう考えを持って戦おうとしているのか。個別にコミュニケーションを取りながら、その選手の良いところを、あるいは日の丸を背負う責任だとか自覚というものをちゃんと伝えていかなければいけないかなと思っています。

――中垣内監督に質問。中田監督はメダルと言っていたが、東京五輪での目標は? また、この4年間でどのような段階を踏んで目標に到達しようと考えているのか?

中垣内 とっぴだとか現実的ではないとおっしゃる方がいるかもしれませんが、私は挑戦する以上はメダルを取りたいと考えています。1年ごとのプランについて、ここではまだ申し上げられないのですが、少なくともこの1年はベーシックなところで基礎固めをしたいと思っています。

中垣内「問題となってくるのがオポジットの考え方」

世界を相手にどう戦うのか。両監督の手腕に期待が掛かる 【写真:伊藤真吾/アフロ】

――両監督に質問。監督を引き受ける際の決定的な理由はあったのか。

中垣内 私は3年間、親会社にて営業し、お客様に鉄を売る仕事をしていました。バレーのことを自分から話すことは一切ありませんでしたし、バレーを外から眺めることに終始していました。この4月からブレイザーズスポーツクラブのGMとして復帰する際にも、葛藤がすごくありました。ですが、バレーボールで育てられた自分にしかできないことがあるとするならば、やはり最終的には恩返しだと。そういう気持ちでブレイザーズに行く(部長に就任)ことを決めました。

 そして今回の男子監督について、最初は自分で手を挙げたというより推薦があってのことです。当初はブレイザーズのことがあるので行くべきではないと思っていました。最終的にやはりこれも自分が育てられたバレーボール男子のナショナルチームであるということ、今いる選手を最大限に伸ばしてメダルを取らせたい、取りたいと。そういう気持ちになっていったのではないかと思います。本当に自分がふさわしいのかどうかというと、他にも素晴らしい方が多数いるのではないかと思います。ですが、こういうふうになった以上、しっかりと性根を据えた強化をしていきたいと考えています。

中田 大きく2つ理由があります。ひとつはロンドン五輪で(銅)メダルを取り、今回リオもメダルを目指して取れなかった。五輪を最後に引退される選手もいるかもしれない。でも、リオ五輪をスタートにする選手ももちろんいるわけで、状況的に客観的に見て厳しい状態だと分かっているからこそ、やらなければいけないのではないかと思いました。

 私も推薦していただいて、最後に各企業の監督さんや協会の方々に背中を押していただいたので、私のバレーボール人生の最後を東京(五輪)に懸けたいなと思いました。

――中田監督に質問。男性監督と女性監督の違いはどこだと思うか。

中田 先ほども申しあげたように、良い悪いは別として感覚的に、選手が気を使ってほしい部分が男性と女性の監督で違うのかなと。なので、私が監督になったらスパルタだとか、鬼だとかいろいろ言われます。それも使いますし、選手と寄り添っていろいろな話をすることも自分の現役の経験、五輪の大変さやプレッシャー、対マスコミの対応も経験してきていますので、丁寧に選手たちと寄り添いながら一緒に戦っていけるというのが女性の強みだと思います。

――中垣内監督に質問。日本と世界の距離、現状の課題をどう考えているのか。

中垣内 OQT(五輪世界最終予選)に負けた試合の内容について、私はデータを持っていませんので、具体的に申し上げるのは厳しいところがあります。(15年の)ワールドカップで機能していたサーブ、それからブロックからの切り返しが、OQTでは少し甘かったような気がします。

 20年、それから24年を見据えた人選を行っていきたいと考えていますけれど、特に問題となってくるのがオポジットの考え方だと思います。外国人と同じような高さやパワーのある選手を望むのか。そうではなく、新たなシステムを構築するのか。この選択を迫られると考えています。差し当たって、選手選考の中でオポジットになり得る可能性のある選手についてはピックアップしていきたいと思うのと同時に、それ以外のシステムについても検討したい。現在の世界で主流となっているシステムにとらわれることなく、システムを考えたいと思っています。

――中田監督に質問。身長の低い日本がいかに世界で勝つのか。その方法論を持っていれば教えてほしい。

中田 ひとつ言えることは高い、外国のバレーと同じことをやっていても勝てないということです。一昨日、世界クラブ(選手権)から心が折れて帰ってきたばかりです(久光は8チーム中6位)。あらためて世界との壁を痛感してここに立っています。身体的なこと、メンタル的なこと、技術的なことそれぞれのレベルアップが必要だと思っています。

 ですが、私は結局バレーボールとはリズムだと。日本のリズム、日本のテンポで、どうやって点数を取るのかという点の取り方の部分。ここを確実なもの、質の高いものにすることによって、もう少し日本人の武器である器用さや忍耐力、つなぎや粘りというところにつながって表現できるのではないかと思いました。

 これはすぐにできることではないので、少しお時間をいただきながら。かといってあまり時間もないので、臨機応変に状況を判断しながらチーム作りを固めていきたいと思っています。

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