日本ハム・西川遥輝が“第2の開花” 逆転優勝に導いた北のリードオフマン
スマート、華麗さの裏側で…
リードオフマンとして日本ハムの逆転優勝に貢献した西川。プロ6年目にして初の打率3割超えも見えている 【写真は共同】
振り返ると、昨季までの西川の印象は“スマート”だった。打っては鋭い打球で外野手の間を破り、走っては瞬く間に三塁到達。そのタイムは11秒を切り、「三塁到達スピードは球界ナンバーワン」と他球団の選手も舌を巻く。さらに守備面でも頭上を抜けそうな打球を華麗なジャンプでアウトにするなど、走・攻・守すべてにおいて“華”があるというイメージだった。
ただその一方で、変化球に対し、簡単にバットが空を切り、1番を担いながら100を超える三振数の多さは、“淡白さ”と映り、時に“集中力の欠如”が目立ってしまうプレーヤーでもあった。象徴的だったのは昨年7月20日の東北楽天戦(札幌ドーム)。平凡なレフトフライを捕球後、アウトカウント間違えてスタンドのファンにボールをプレゼントしてしまったあのシーン。そうした“負の面”もあり、まだ2年連続盗塁王が狙える可能性がありながら、昨季終盤の9月には負傷した訳でもない中で、屈辱の2軍降格を命じられたのだった。
不振を乗り越えての上昇カーブ
しかし、この苦い経験が西川の糧になる。まずは意識の変化。今年は春先から周囲に「今年はやります!見ていてください!」と自ら発言し、がむしゃらに汗を流した。その意欲、威勢のいい発言とは裏腹に、今季序盤は慢性的に抱えている右肩痛の影響で打撃が安定しない時期が続き、「痛みとはずっと付き合っていかないと…」と沈んだトーンで話すこともあった。実際に、4月を終えた時点では打率2割3分5厘。5月17日には打率2割1分1厘にまで数字を下げた。
しかし、5月下旬から6月の声を聞くとともに打率も徐々に上昇。8月には月間打率3割8分3厘をマーク、一気にパ・リーグ打率ランクの上位に顔を出すようになった。そして、7月31日の福岡ソフトバンク戦から9月24日までの実に約2カ月、45試合もの間、連続出塁を継続してみせた。