錦織が見せたリターンとサーブの好循環 マリー戦へ大きな省エネ勝利
完璧だった第1セット
211センチ、104キロのカロビッチ(右)と、178センチ、75キロの錦織。体格差は歴然だ 【写真:USA TODAY Sports/アフロ】
カロビッチといえばビッグサーブで、今大会3回戦までの通算エース数は1位のジョン・イスナー(米国/100本)と1本差の2位。3回戦での最速サーブは時速216キロとさほどでもないが、長身からの角度が脅威。この日、錦織はそのサーブ攻略に成功した。
強い風がカロビッチの武器を不安定にしたこともあるが、錦織はこの日「大会に入って最高の出来」と自賛したほどリターンが抜群。第1セット、カロビッチのセカンドサーブからのポイント獲得を33%に抑えて見事に攻略に成功し、リターンとサーブの好循環に、まったく危なげがなかった。
「自分のサーブが良かったですね。ファーストの確率も威力もこれまでで一番良かったと思います。一つには、相手があまりリターンの得意な選手ではないので、それほどリスクを負わなかったこともありますが、これまでで最高の試合でしたね」
第1セットの錦織のファーストサーブは確率64%で、そこからのポイント獲得率は100%。4度のサービスゲームで相手に与えたポイントはわずかに2ポイント、それもダブルフォルト2本という完璧な出来だったのだからカロビッチも対抗できない。
期待される2年前の再現
リターンとサーブの好循環でストレート勝利を収めた錦織は「最高の出来」と手応えを口にした 【写真:USA TODAY Sports/アフロ】
「2週目に入ると自然に集中力が上ってきますね。特に今日は、いかにリターンを返せるか、集中しないといけない相手だったこともあります。身体も問題なく、いい試合ができたので、(次がマリーなら)楽しみです」
決勝まで進んだ2年前は、4回戦で第5シードのミロシュ・ラオニッチ(カナダ)を倒して勢いづき、準々決勝で第3シードのワウリンカ、準決勝でノバク・ジョコビッチ(セルビア)を退けた。今大会も、この日の好感触を準々決勝にぶつけることができれば、夢は大きく近づくだろう。
(文:武田薫)
「全米オープンテニス」
2016シーズン最後のグランドスラムとなる全米オープンテニス。世界の頂点を目指す“日本のエース”錦織圭の戦いなど、現地の感動と興奮を連日生中継。
2016年8月29日(月)〜9月12日(月)
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