大坂なおみ、目前で逃した全米16強 初出場の18歳を飲み込んだ会場の空気

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わずかに届かなかったベスト16

初出場にして全米ベスト16まであと2ポイントと迫った大坂 【Getty Images】

 あと1ゲーム、あと2ポイント――現地時間2日に行われた全米オープン第5日、初出場で3回戦に進出していた女子シングルスの大坂なおみが、勝利目前で大魚を逃した。

 対戦相手の第8シード、地元アメリカのマディソン・キーズはジュニア時代から期待されてきたパワーヒッター。21歳になった今シーズンも好調を維持し、ランキングを自己最高の9位に上げてきた。挑戦する側の大坂は世界最大のセンターコート、アーサー・アッシュでの初めてのプレーで、本来の力を発揮できるかが注目された。

 立ち上がり、キーズには同じパワー系への対抗意識があったのだろう、力で圧倒しようとミスが目立った。大坂は世界ランク81位の格下である。そんなキーズの一人芝居に、むしろ大坂の方が淡々と付き合うゲームの流れだった。第1セットの第1ゲームにいきなりサービスブレークしてリードを奪ったものの、この日の大坂は持ち前のサーブが不調。第4ゲームには、セカンドサーブを狙われてブレークバックされイーブンに。そこからゲームが落ち着き、互いにサービスキープで迎えた第12ゲーム、大坂はキーズにリターンからプレッシャーをかけられ、第1セットを奪われた。

 ハイチ系アメリカ人を父に持つ大坂は、180センチ69キロの恵まれた体格だが、気持ちは日本的でおしとやかな18歳。サーブが不調ならラリー戦でリードする泰然自若ぶりが、第2セットから試合の流れを好転させる。

 4−4で迎えたキーズのサービスゲーム。40−0でキーズは早くも勝ちを意識したのか、そこからダブルフォルトを含むミスの5連続で、大坂が難なくブレークをもらい、そのままセットタイに持ち込んだ。こうなれば、キーズにはさらにプレッシャーがかかる。

勝負の第3セット、5−1とリードしたところまでは大坂の流れだったが…… 【写真:USA TODAY Sports/アフロ】

 ファイナルセットもキーズのミスは続き、大坂は第1、第5ゲームをブレークして5−1リードと安全圏かと思われたのだが……ここから変わったことと言えば、会場の雰囲気だろう。ウィークデーの午後だけに空席が目立ったセンターコートが、キーズの窮地に気付いてにわかに声援を送り始めた。

 すると、キーズのショットが見違えるように深く、鋭く決まり始め、そこからの3ゲームで大坂は4ポイントを奪うのが精いっぱい。それでも5−4からのサービスゲームで0−30から30−30まで持ち直し、勝利まであと2ポイントのところで、痛恨のボレーミスが出た。タイブレークも必死に戦ったが、キーズにはトップ10の経験があった。

 大坂はイン・イン・トアン(中国)との2回戦でも、1セット先取した第2セットに4−0から追いつかれている。経験の差というには惜しい勝ち星だった。

2014年の覇者チリッチが3回戦で姿を消す

 女子ダブルスでは、大坂、奈良くるみ(安藤証券)のペアは初戦で敗退したが、同日に2回戦に臨んだ穂積絵莉(エモテント)、加藤未唯(佐川印刷)組はシードペアを破り、3回戦進出を決めた。

 男子では、第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)の対戦相手のミハイル・ユージニー(ロシア)が故障で途中棄権。ジョコビッチは2回戦の不戦勝に続いて、省エネで勝ち上がりを決めた。一方、2年前の優勝者で第7シードのマリン・チリッチ(クロアチア)が地元のジャック・ソックに敗れる波乱があった。

 大会第6日は、錦織圭(日清食品)がベスト16進出を懸けグランドスタンドの第4試合に登場。ニコラ・マユ(フランス)と対戦する。

(文:武田薫)

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