ドラフト最下位指名、116番目の男の今 巨人・長谷川潤が逆襲誓う

週刊ベースボールONLINE
 入団からわずか2カ月で背番号(022→96)も、立場も変わった。開幕直後に支配下昇格を勝ち取り、東京ドームのマウンドも経験済み。巨人育成8位、全体でも116番目と“最下位指名の男”長谷川潤が、逆襲を誓う。

初の1軍先発では5回途中4失点

昨年のドラフト会議で、全体で一番最後となる巨人の育成ドラフト8位で指名された長谷川潤。開幕直後の3月28日に支配下昇格を勝ち取ると、5月6日の中日戦で1軍デビューを果たし 【写真:BBM】

 入団テストで合格し、昨秋の育成ドラフト8位で巨人入りした。プロ入り前の評価は高くはなかったが、3月に支配下登録されると、5月6日の中日戦(東京ドーム)では1軍で先発の機会が巡ってきた。「1軍で投げる、と強い気持ちを持ってやってきました。でも、こんなに早くチャンスが来ると思っていなかった」と素直に本音を明かしている。満員の東京ドームで、後ろを振り返れば村田修一や坂本勇人らそうそうたる顔触れが守備に就いている。

「たくさんのファンの前で投げて、巨人の(レギュラーの)選手が守っている。独特な雰囲気でした」と言いながらも、投げっぷりは堂々としたものだった。初回、1死満塁のピンチを背負うも、切り抜け、4回までは得点を許さなかった。ただ、1軍の打者は甘くはない。5回につかまり、4回2/3を4失点で降板した。「甘い球を一発で仕留める。1、2巡目は抑えられても、そこから修正して打ってくる」とレベルの高さを肌で感じた。

内角を攻められるかが今後のカギ

 わずか1試合だけだが、1軍を経験し、自らの課題もはっきりとした。右サイドスローから力強い球を投げ、スライダー、カーブを決め球としている。外角主体の攻めをしていくが、それだけでは一流打者は抑えられない。

「インサイドをどこかで攻めていかないといけない。精度を上げていかないと。内角を攻めることで、外の球も生きてくる」

 内角は少しの投げミスで長打を許してしまう。投げ切れるように技術を磨き、要所でも大胆に攻められるように精神的な強さも身に付けようと、日々、ファームのマウンドに上がっている。

ファームでは6勝、2点台の防御率

 イースタン・リーグでは徐々に「長いイニングを投げられるようになってきた」と手応えをつかみ、7月31日の千葉ロッテ戦(ジャイアンツ球場)では8回1失点(自責点0)の好投を見せた。8月11日時点で二軍戦で21試合に登板し、6勝(5敗0セーブ)を挙げ、防御率2.78と安定した成績を残している。

「1軍で活躍できる選手だということをアピールしていきたい。(そうしないと、今後)またプレーできるか分からない」と独立リーグも経験した右腕は危機感を常に持ち、日々を過ごしている。

プロフィール

■長谷川 潤(はせがわ・じゅん)

 1991年6月15日生まれ。東京都府中市出身。右投右打。186センチ74キロ。成立学園高から金沢学院大、BCL・石川を経て、15年に巨人の入団テストに合格。16年育成ドラフト8位で入団すると、開幕直後の3月28日に支配下登録を勝ち取った。

独立リーグを2シーズン、コロンビアのウィンター・リーグも経験し、巨人にテスト入団するなど、プレーすることに貪欲で、ハングリーな心の持ち主。長身で長いリーチを生かしたサイドスローは大きな武器であり、スライダーが決め球。1軍マウンドを経験し、危険を回避する術を身につければ面白い存在になるだろう。
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