【大日本プロレス】 星野が伊東破り涙のデスマッチ王座戴冠 岡林が新鋭・神谷に敗れ王座転落

高木裕美

41歳の星野が初戴冠

ともに初戴冠となった星野勘九郎(左)と神谷英慶 【前島康人】

 大日本プロレス2度目の東京・両国国技館大会「両極譚〜RYOGOKUTAN〜」が24日に開催され、今年は豪華5大タイトルマッチが実施された。

 メインイベントのBJW認定デスマッチヘビー級選手権試合では、「スキャフォールドGショックデスマッチ」として、「デスマッチドラゴン」の異名をとる王者・伊東竜二に星野勘九郎が挑戦。41歳の星野が、涙の初戴冠を成し遂げた。

伊東は開始早々、約5メートルの通路の上からのテーブルクラッシュ 【前島康人】

 キックボクシングを経て05年にデビュー。インディー界を渡り歩いてきた遅咲きの星野に対し、大日本のエースとして常にトップ戦線を走り続けてきた伊東は、チャンピオンとしてのプライドを見せ付けるかのように、開始早々、約5メートルの通路の上からのテーブルクラッシュを敢行。星野はテーブルごと真っ二つにされる。

 なおも伊東はブロック、竹刀、サボテン、イスなどのアイテムを使用すると、10分過ぎには高さ3メートルはあるスキャフォード(足場)の上からの超雪崩式フランケンシュタイナー。さらにドラゴンスプラッシュ、塩とたたみかけ、注射器を取り出すも、星野はこれを奪い取り、伊東の口に突き刺してみせる。注射器を刺したままの伊東に、星野は有刺鉄線を巻いた鉄製階段を載せてのセントーン。さらに、伊東が作った装置を奪い、パワーボムで投げつける。伊東はならばと形勢逆転をはかるべく、スキャフォード上でのエルボー合戦を仕掛けるが、星野はこれを拒否し、勘九郎カッターで伊東を場外へ落とし、スキャフォード上からのダイビングセントーンで死闘に終止符を打った。

勘九郎はスキャフォード上からのダイビングセントーンで死闘に終止符 【前島康人】

 伊東から「最後、しっかりと締めるのがチャンピオンの仕事だ」と使命を授けられた星野は、涙をこらえながらファンや支えてくれた選手たちに感謝。3歳の息子・遥斗君をリング上で抱き上げ、「お父ちゃん、やったぞ!」と感激にむせぶと同時に、初めて手にするベルトの重みを噛み締めた。

24歳の神谷が岡林を下し新王者に

24歳の神谷英慶が岡林裕二を破り初戴冠の喜びに震えた 【前島康人】

 セミファイナルのBJW認定世界ストロングヘビー級選手権試合では、デビュー4年、24歳の神谷英慶が、王者・岡林裕二から王座を奪い取った。

 岡林は昨年の両国大会のメインイベントで関本大介を破り、名実ともにストロングヘビーの頂点に君臨。1年間に渡り、ベルトを守り抜き、他団体でも全日本プロレス、WRESTLE−1のタッグベルトを獲得した。

 一方、神谷はデビュー前後からケガに悩まされ、今年4月にも肋軟骨を骨折。それでも、両国のセミにまで這い上がってきた。

岡林をラリアット、バックドロップ2発で巨体をマットに沈めた 【前島康人】

 体格のハンディがある岡林に対し、神谷は執拗なまでのヘッドロック、スリーパー、ストレッチプラムなどで体力を奪う作戦へ。しかし、岡林もアルゼンチンバックブリーカー、トップロープからの雪崩式ブレーンバスターなどの豪快な技を繰り出し、20分過ぎには必殺のゴーレムスプラッシュも繰り出すが、神谷は意地のカウント2でクリア。昨年のフィニッシュ技となったパワーボムは懸命に阻止し、チャンスをつなぐと、ラリアット、バックドロップ2発で岡林の巨体をマットに沈めた。

 パートナーの浜亮太や若手の仲間たちに祝福された神谷は「僕は取り得も何もないけれど、プロレス、やってて良かった。続けていて良かった。僕がこんなに、強くなれたのは、今までの人生のおかげと、支えてくれた大日本のみんなのおかげと、たくさんの人のおかげ」と初戴冠の喜びに震えた。

ツインタワーズがSMOPを退け初防衛

石川修司、佐藤耕平のツインタワーズがSMOPの浜&曙に勝利 【前島康人】

 BJW認定タッグ選手権試合では、石川修司、佐藤耕平のツインタワーズと、曙、浜亮太のSMOPがド迫力の肉弾戦を展開。共に2メートル近い長身を誇るツインタワーズと、合計450キロのSMOPが両国のリングを揺らした。

 かつては全日本プロレスのアジアタッグ王者にも輝いているSMOPは、最大の武器である分厚い肉の壁でツインタワーズの猛攻をはね返すと、連係攻撃も曙の突進で吹っ飛ばしてみせる。だが、石川へのサンドイッチプレスが同士打ちとなったことをきっかけに大失速。ツインタワーズはまずは曙を合体ブレーンバスターで戦線離脱させると、孤立した浜に前後左右からエルボーを乱打。石川がバックドロップ、ランニングラリアット、ランニングニーとたたみかけ、初防衛に成功した。

アジアタッグは変態自衛隊が戴冠

全日本プロレスの変態自衛隊こと佐藤光留、青木篤志組が、宮本裕向、木?イサミのヤンキー二丁拳銃のV7を阻止 【前島康人】

 アジアタッグ選手権試合では、全日本プロレスの変態自衛隊こと佐藤光留、青木篤志組が、宮本裕向、木?イサミのヤンキー二丁拳銃のV7を阻止した。
ヤンキー二丁拳銃は、息の合った連係から繰り出されるトリッキーな動きで翻弄するも、イサミのフィニッシュ技である勇脚を徹底的にブロックした青木が腕ひしぎ逆十字固めで捕獲。宮本も佐藤につかまってカットに入れず、ここまでの腕攻めによるダメージの蓄積もあり、無念のギブアップ。Evolutionのボス・諏訪魔も復帰し、勢いづく変態自衛隊が、日本最古のベルトを自分の団体に取り戻し、このコンビで初戴冠を果たした。

アブドーラ・小林組が横浜ショッピングストリート6人タッグ王座を獲得 【前島康人】

「デスマッチアイアンメイデン〜run to the hell〜」と題した、第8代・横浜ショッピングストリート6人タッグ王座決定戦では、アブドーラ・小林、植木嵩行、高橋匡哉組が、“黒天使”沼澤邪鬼、竹田誠志、塚本拓海組を抜群のチームプレーで退け、第8代王者組となった。
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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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