ロッテ成田翔が目指す“小さな大エース” 昨夏の甲子園を沸かせた左腕の今

週刊ベースボールONLINE

昨夏の甲子園を沸かせた“ドクターK”成田。170センチと小柄ながら「小さな大エース」を目指して、ファームで日々練習に励んでいる 【写真=BBM】

 高校時代には圧巻の奪三振ショーを繰り広げた。プロの壁にぶつかり、そして乗り越えながら、未来の左腕エースを目指して経験を重ねている。

「自分の武器は内角の真っすぐ」

 小さな大エースになる可能性は十分にある。千葉ロッテのドラフト3位左腕・成田翔だ。170センチと小柄ながら、伸びのある直球を投げ込む。秋田商高の大先輩でもある東京ヤクルト・石川雅規と重なる18歳は「石川2世」とも呼ばれる逸材だ。「自分の武器は内角の真っすぐかなと思う。そこにしっかり投げられれば変化球も使える」と話す。

 高校時代はタテのスライダーを決め球に奪三振ショーを繰り広げた。昨夏の秋田大会は準々決勝の西目高戦で16三振、秋田工高との準決勝は14三振、そして秋田南高との決勝は9三振を奪った。甲子園でも初戦の2回戦、龍谷高戦で16三振をマークしている。

将来のロッテを背負える投手

 プロ入り後は7月20日現在、イースタン・リーグ公式戦で3試合に登板し、11回2/3を投げて6奪三振8失点、防御率は5.40。「タテのスライダーになかなか手を出してもらえない」と話す。そこでスライダーに頼り過ぎず、チェンジアップを駆使するようにした。高校時代は秋田大会決勝と甲子園でしか投げなかったというシンカー気味の変化球。右打者に投げることで「“ハの字”(内外角低めに落とす軌道で)に投げられて幅が広がった」と胸を張る。内角へのクロスファイヤーとチェンジアップの組み合わせが新たな武器となった。

 川越英隆二軍投手コーチは「まだ高卒1年目だからね。体ができていない。そう簡単にはプロの打者を抑えられない」としながらも、「いいものを持っている。将来的には1軍の(先発)ローテーションに入れる。間違いなく将来のロッテを背負っていく投手」と太鼓判を押す。1軍では、今季ここまで先発左腕の勝ち星がない。先発タイプの左投手の出現を球団としても待ちわびている。

「ゲームをつくる投手にならないと1軍に行っても意味がない。(左腕不足は)チャンスだと思うので、1日も早く結果を出したい。勝利に貢献する投手になりたい」と目を輝かせる。端正な顔立ちで、女性ファンが選ぶ「イケメン5(上位5人)」の3位にランクインするほどの人気を誇る。QVCマリンの先発マウンドに上がる日も遠くないかもしれない。

成田翔(なりた・かける)

1998年2月3日生まれ。秋田県出身。左投左打。170センチ70キロ。秋田商高3年時にはエースとして夏の甲子園でベスト8進出。2016年ドラフト3位でロッテ入団。ここまで1軍登板はないものの、チームが待望する未来の先発左腕として経験を重ねている。

川越コーチの指導方針

 川越コーチは「課題は全部だね」と話す。1年目はじっくり体力づくりに励む予定。先発候補として育てるチーム方針の下、2軍戦では先発として起用されている。同コーチは「まだ細かいことを教えていない。いまは打者に向かって腕を振って投げることだけ」。セットポジションでの変化球の制球など、投手としての細かい技術はこれから身につける。
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