幾度の「準優勝」が生きたマリー 経験値でつかんだ2度目のウィンブルドン

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サービスブレークは1つだけ

2度目の全英制覇を果たしたマリー。格下と戦う初めてのグランドスラム決勝になった 【写真:ロイター/アフロ】

 テニスのウィンブルドン大会最終日は10日、男子シングルス決勝が行われ、第2シードで地元イギリス出身のアンディ・マリーが、第6シードのミロシュ・ラオニッチ(カナダ)を6−4、7−6(7−3)、7−6(7−2)のストレートで下し、同大会では3年ぶり2度目、グランドスラム通算3度目の優勝を飾った。優勝賞金は男女同額の200万ポンド(約2億6000万円)。

 3年前にイギリス人として77年ぶりの聖地奪還を果たしたマリーに対し、25歳のラオニッチにとっては初めてのグランドスラム決勝。ウィンブルドンのセンターコートという最高峰での戦いで注目されたのは、挑戦者であるラオニッチの高速サーブだ。196センチの長身から振り下ろすビッグサーブを武器に、今シーズンはネットプレーにも磨きがかかり、準決勝ではロジャー・フェデラー(スイス)をフルセットの末に退けた。この勢いを、俊足と抜群のショットコントロールを持つマリーがどう料理するかがポイントだった。

 ラオニッチにとって、センターコートは完全アウェーになる。どうしても第1セットを奪って精神的に余裕を持ちたかっただろう。しかし、この日のマリーは集中力が研ぎ澄まされ、サービスゲームにはまったくつけ入る隙がない。立ち上がり3度のリターンゲームで、3ポイントを取るのが精いっぱいだった。

 一方のマリーは第7ゲーム、セカンドサーブからラリーに持ち込み、ラオニッチが前に出たところできれいにバックハンド・パスを通した。ネットにうまくおびき出して得意のパスでとどめを刺す……それが、前哨戦のエイゴン選手権で決勝を戦い、ここまでのラオニッチの戦いぶりを見ながら立てた作戦だったのだろう。ブレークポイントで最後はボレーミスを誘って貴重なブレークを奪った。振り返れば、これが、この試合唯一のサービスブレークだった。

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