フェデラー撃破、成長見せたラオニッチ 数字にも表れた“マッケンロー効果”

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ラオニッチ(写真)がフェデラーを破り、初の決勝進出を決めた 【Getty Images】

 現地時間8日に行われたウィンブルドンの男子準決勝で、第6シードのミロシュ・ラオニッチ(カナダ)が、8度目の優勝を狙った第3シード、ロジャー・フェデラー(スイス)をフルセットの末に倒し、グランドスラムで初めての決勝に進出した。カナダ選手としては男女を通じシングルス初のグランドスラム優勝を懸け、決勝で地元イギリスのアンディ・マリーと対戦することになった。

今季好調のラオニッチ

 25歳のラオニッチと34歳のフェデラーという新旧対決のカギは、ラオニッチの強烈なファーストサーブだ。196センチの長身から時速220キロ台の高速サーブで、ここまで1試合平均23本のエースを記録していた。

 2年前のウィンブルドンでも準決勝でフェデラーに挑戦するも、1セットも奪えずに敗れたが、あれから2年の成長は大きい。今シーズン開幕戦のブリスベンでフェデラーを破って優勝。全豪オープンでグランドスラムでは2度目の4強入りを果たし、その後のマスターズ大会でもしっかり上位に食い込んでランキングを7位にまで戻した(キャリア最高は4位)。強い上昇志向が身上だ。

 今シーズンから全仏オープン優勝経験のあるカルロス・モヤをコーチに招へいし、5月の全仏オープン後には、ウィンブルドンの申し子であるジョン・マッケンローを臨時コーチに招いた。単なるウィンブルドンの芝対策ではなく、ネットプレーへのヒントを得てオールラウンド・プレーヤーへの転身を図ろうというもの。メンタル面での影響力を求めての〈ダブル・コーチ体制〉の効果は、この日の積極的なプレーで証明された。フェデラーはこう話した。

「昔のラオニッチは、ベースラインのずっと後ろにいた。2年前のここ(ウィンブルドン)でもそうだった。今年初めのブリスベンでネットに出てきたのが印象に残ったが、そのスタイルに自信をつけてきたのは間違いないと思う」

強気のサーブ&ボレーが奏功

ネットに詰めるなど積極的なプレーを見せたラオニッチ 【Getty Images】

 ラオニッチは、第1セットの第4ゲームを先にブレークすると、第7ゲームの0−30から高速サーブを立て続けに4本決めるなど、サービスに集中して要所を抑え先手を取った。

 しかし、フェデラーの4年ぶりのグランドスラム・タイトルへの意欲も大きい。第2、第3セットはブレークポイントを1本も与えず、第2セットはタイブレークで、第3セットも第7ゲームに、いずれもダブルフォルトをきっかけに勝負を仕掛けてセットカウント2−1と逆転した。

 フェデラーは過去17回のウィンブルドン出場で7度の優勝、3度の準優勝があり、準決勝まで進んで決勝に行けなかったことは1度もない。自信とスタンドの後押しがあったはずだが、それでもラオニッチの攻撃が試合を再び動かした。

 ラオニッチはこの試合でネットダッシュを56回仕掛けて38回成功。元々サーブ&ボレーヤーだったフェデラーの37回−25回を大きく上回り、第4、第5セットはサーブ&ボレーを含めてネットに出て攻め立てた。“マッケンロー効果”と言ってもいいだろうが、その象徴がファイナルセットの2−1で迎えた第4ゲーム、デュースでつかんだ2度目のブレークポイント。最後はネットに詰めるフェデラーとの激しい攻防を制して流れを再び引き寄せ、勝利をもぎ取った。

 ラオニッチは錦織圭(日清食品)のちょうど1歳下。対戦成績では錦織が5勝2敗とリードしているが、全仏オープンでも22歳のドミニク・ティエム(オーストリア)がベスト4に入るなど、錦織にとっては下からの突き上げが激しくなってきた。

(文:武田薫)


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