【プロレスリングWAVE】山縣が志田を退け2度目の防衛に成功 “波女”水波は奈七永に敗れ悔し涙

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山縣が志田を破り、レジーナ王座V2に成功 【横田修平】

 女子プロレス団体プロレスリングWAVEの「SUMMER GAME」が6日、東京・後楽園ホールで開催された。

 メインイベントでは「Regina di WAVE〜WAVE認定シングル選手権」として王者・山縣優に、志田光が挑戦。山縣が2度目の防衛に成功するとともに、自らの40歳の誕生日を勝利で祝った。

山縣、頚椎のけがを乗り越え防衛に成功

万全のコンディション作りで選手権に臨んだ2人 【横田修平】

 前回6月のWAVE後楽園大会では、総勢32人が参加した「CATCH THE WAVE」決勝戦が行われ、水波綾が第8代波女に輝いた。その特典として、通常ならレジーナ王座に挑戦するところだったが、昨年のZAN1で「いつでもタイトル挑戦権」を獲得した志田が、その権利を行使するとアピール。今回は水波が譲り、対戦が決まった。

 志田が「挑戦権」を獲得して以来、ずっと狙われる立場だった山縣。いつ挑戦されてきても大丈夫なように、緊張感を持ってコンディション作りをしてきたと話す。一方の志田も「何から何まで作りこんできた。体もそうだし、心も自信を付けてきた」と万全な状態でこの試合に臨んでいた。

イスをセットしてのフットスタンプに、山縣は窮地に立たされた 【横田修平】

 試合は緊張感のあるグラウンドの攻防や、ロープワークから始まり、山縣が志田のヒップアタックを蹴りで迎撃するなど集中力を見せる。さらに志田の右ひざを狙い、ねちっこく攻めていく。しかし場外戦で志田がマットの上でのブレーンバスター。さらに寝かした山縣の上にイスを置いて、その上へフットスタンプを落とすと、山縣は苦しそうに悶える。

最後はLAの連発で志田をしとめた 【横田修平】

 その後リングに戻してからはバックブリーカー、逆エビ固めと山縣の腰を狙っていく。しかし山縣もヘッドシザース、ドロップキック、ダブルニーなどで返していく。志田もスリーカウント(ランニング・ニー)を繰り出すが、フォールに入れず。それならと東海道落とし、マフラーホールドとさらに腰や背中を狙い、続けてファルコンアローを決めるがカウント2。これでも屈しない山縣に、コーナー上に落とす魔女の一撃を食らわして追い詰めると、渾身のスリーカウントもヒット。しかし山縣はこれをカウント2で返す。

 ならばとコーナーを外して金具むき出しの上に魔女の一撃を狙おうとするが、これは山縣がこらえて、逆に雪崩式ニークラッシャーで叩き落す。そこからエルボーの打ち合いをし、山縣が志田をとらえてLA(変型デスバレーボム)を決める。1発目は志田が返すが、その後立て続けに2発、3発と連続で繰り出すと志田は返せず、山縣は防衛に成功した。

40歳の誕生日を防衛成功で自ら祝った山縣 【横田修平】

 試合後、その腰にベルトが戻った山縣は「光、これだけは言わしてくれ。お前がいたから自分はコンディション作りをもう一回やろうと思ったよ。自分は去年、頚椎(のけが)をやっていたんだ。どんどん痩せていく自分が悲しかった。でもお前がZAN1とはいえ、挑戦を名乗り出たことがうれしかったよ」と心情を吐露。ベルト保持者としてのプレッシャーの中で、なんとか戦える体を作ってきたと話した。そして「お前のおかげで、マックスのコンディションで試合に臨むことができました。まだまだ自分はチャンピオンでいるぞ。まだチャンピオンである限り、挑戦してこいや」と再戦を約束した。

 一方の志田は「本当に悔しい。全部出し切ったという気持ちもあるし、すべてにおいて上回っているという自信もあった。それでもチャンスをものにできないのが悔しい……」とコメント。それでも山縣が再戦を口にしたこともあり、「彼女がベルトを持っているうちに、今度は自分の力で、もう1回ベルトを巻きたいと思っています」と、もう一度自分の力で挑戦権を得ることを誓った。

 試合後、そのまま大会を閉めそうになった山縣に、二上美紀子社長が待ったをかける。そして「今日はリアル誕生日の人がいます」と、会場利用の延長料金を気にしながらも、7月6日が誕生日の山縣を祝う準備を始める。そして、リング上にビニールシートが敷かれると、誕生日恒例の顔面ケーキで「40歳おめでとう! レジーナ防衛おめでとう!」と、山縣の記念すべき日を祝った。

 バックステージに下がってからは次期防衛戦となる水波戦(9月25日、愛知・名古屋ダイアモンドホール大会)についても言及し、「12月のNEXTの戦い(レジーナ王座次期挑戦者トーナメント。決勝で山縣が水波に勝利)で、『次やったら分からない』と言っているし。でも、ベルトを巻いた自分はあの時とは違うぞとだけ水波に言っておきましょうか。負ける要素は1つもない。(水波は)上り調子かもしれないけど、『何、それで?』と思います」と次の防衛戦にも自信を見せた。

奈七永は試合後、浜田文子に対戦要求

2月以来となる奈七永と水波の一騎打ち 【横田修平】

 セミファイナルでは“波女”水波が、シードリングの高橋奈七永とシングルで対戦。この2人のシングルは今年2月の新宿FACE大会以来となる。その時は高橋の攻撃で水波が試合中に記憶を飛ばしてしまい、不完全燃焼となった。その後、その悔いを晴らすべく「CATCH THE WAVE」に臨み、見事優勝。レジーナのベルトに挑戦する前に、高橋との再戦を熱望したため、再びシングルマッチが組まれた。

 水波が握手を求める。奈七永も応じ、クリーンに試合がスタート。お互いパワーでぶつかっていくタイプ名だけに、ショルダータックル合戦、エルボー合戦では一歩も引かず。水波は出し惜しみなく得意のギロチンの連打、ラリアットと放っていくが、これに奈七永もラリアットで応戦していく。場外戦では奈七永が水波をイスの中に投げ入れるなどラフなファイトも見せる。

ワンセコンドEXで水波をマットに沈める 【横田修平】

 顔面の張り合いやエルボー合戦から奈七永が打ち勝つと、コーナーに座って首吊り状態でスリーパー。さらにミサイルキックとたたみかけると、パイルドライバーの形で持ち上げようとするが、水波がこれを逆に返す。そこからランニングエルボー、ラリアット、ロープにかけてのギロチンドロップ、スピアー、そしてスピアーを決めるが、これはカウント2。ならばとイチジク(回転式肩固め)で絞りあげるが、奈七永はなんとかロープエスケープ。さらにラリアットを狙おうとしていたすきに、奈七永がバックドロップ。これは水波がすぐに立ち、すかさずラリアットを狙うが相打ちに。ここからエルボーやラリアットを感情むき出しで繰り出していくが、水波がラリアット4連発。さらに水波コースター、ドラゴンスープレックスを狙うが、これは交わされ、逆に奈七永のインプラント。立ち上がる水波にラリアットを何発も食らわすが、逆にバックを取った水波がドラゴンスープレックス。追い討ちをかけるようにダイビングギロチンドロップを決めるが、カウント2。

 水波は再び水波コースターを狙うが、これは避けられ、ならばとラリアットを狙うがこれも交わされ、逆にナックルを食らう。さらに延髄蹴り、冷蔵庫爆弾と決められるが水波はカウント2で返す。ならばと奈七永は必殺のワンセコンドEXで捉えると、これには水波も返せず、激戦に終止符が打たれた。

奈七永は浜田文子に対戦を要求すると、世志琥、山下もリングに上がった 【横田修平】

 試合後、奈七永は「おい水波、記憶はあるか? さすが波女取っただけあって、2月とは比べ物にならないぐらい強くなってたよ」と水波を賞賛。そして「またいつでも試合しましょう」と再戦を約束した。

 さらに話を続けると「もう1つ、11日に20周年記念を迎えるんですけど、21年目の目標をここでお伝えしたい。21年目の目標は『世界一強い女になること』なんです。そのためにも、浜田文子! 世界を知っている浜田文子。あなたにちょっと興味があるんで、そろそろ試合をしませんか?」と、セコンドについていた浜田を挑発。これに浜田もリングに上がり、「待ってました! やっぱり高橋奈七永と戦うのが一番面白いので」と対戦を受諾する。しかし浜田は「その前に世志琥! この前の続き、やりませんか?」と奈七永のセコンドについて世志琥に対戦要求。これに世志琥が反応し、リングに上がると、それに合わせて山下りなもリングイン。4人がそれぞれ視線を交わし、次の戦いを無言で約束したようだ。

 一方、奈七永に破れ、悔しさをあらわにした水波は「高橋奈七永さん、残念ながら『WAVEの記憶がないってやつ』は今日は大丈夫でした。でも、ちょっと良くなったのかもだけど、そんなものはうれしくもなんともねえ! 高橋奈七永さんを倒さないと、このモヤモヤした気持ちが晴れないんです。WAVE特有の記憶がない奴って言われたのがむかつくんです。晴らすまで、あなたの目の前にいる。立ち続けたいと思います。いつでも狙ってますよ」とリング上でリベンジを誓う。

 さらにバックステージに戻ってからも、「結果として残すことが求められているので、それが出せなかったことが悔しい。これが終わりじゃないんで。次がいつ来るか分からないけど、結果を出したいです」と涙を流した。

山下は関西に玉砕 秋にはタッグで遺伝子継承へ

若手の山下は、レジェンドの関西に真正面からぶつかっていった 【横田修平】

 第5試合では山下りなが、今年12月に引退が決まっているダイナマイト関西と対戦。今、もっとも勢いのある若手選手と、女子プロレス界の生けるレジェンドの1人が、一騎打ちを行った。

 先にリングに上がった山下はやや緊張の表情。それでもゴングが鳴ると、関西に立ち向かっていく。山下はエルボーを連打で繰り出すが、関西の一発で返され、逆水平チョップを出しても、関西が逆に山下を倒して、重い蹴りを打ち込む。さらにさそり固めで捉えると、山下はなんとかロープに逃れる。

関西は山下の戦いを賞賛。エールを送った 【横田修平】

 その後も山下はショルダータックル、ラリアットと正面から向かっていき、バックドロップをきめる。しかし関西もすかさずバックドロップで投げると、コーナーに上がるが、これを山下が追いかけ、雪崩式ブレーンバスターで返す。これでダブルノックアウト状態になるが、2人が立ち上がると、ラリアットの打ち合いから、山下が打ち勝つと、引き込み式ラリアット決める。しかし関西は張り手一発で返すと胴締めスリーパー。山下は意地を見せロープブレークすると、髪の毛をつかんでのエルボー合戦。しかし関西のハイキックが顔面に入り、バックに回ってスプラッシュマウンテンを決める。これで勝利を確信した関西だったが、山下がカウント2で返す。しかし、すかさずグリーンフォールを繰り出し、これには山下も返すことができず、カウント3が入った。

 試合後、関西は健闘した山下に対し、「山下、お前、強くなってきたんちゃうか? 正直、これ以上続けていたら、もしかしたらオレが負けていたかもしれんな」と賞賛。さらに「これからもっともっと上を目指して、オレを抜くぐらいの勢いでこい。12月までオレの持っているもの、オレの教えられるものは全部教える。全部持っていけ! もっつ強くなれ! お前は強くなれる」とエールを送ると、この言葉に山下は大号泣となった。

桜花が15周年記念の対戦相手に関西を指名。これを関西は承諾 【横田修平】

 しゃべれない山下に代わり、二上社長がマイクを持ち、「関西さん、いいところにすいません。山下を育てて頂けるということで、コスチュームを忘れるけど、叱ってくださいね」と前置きをしつつ「秋には毎年、タッグの催し物があるんですけど、そちらでタッグを組んで出場していただくのはどうでしょうか?」と提案。これに関西は「喜んで。出るからには優勝を狙います」とこれを受けると話した。

 その後、OZアカデミーで対峙する機会が多い桜花由美が登場。そして「もうすぐ引退だろ? あんたとシングルがしたい。OZでもいいけど、誰にも邪魔されず、あんたとシングルがしたい」と一騎打ちを申し入れる。すると関西はこれも受け入れる。8月11日の桜花15周年記念大会(東京・新木場1st RING)でシングルでぶつかり合うことを約束した。
■プロレスリングWAVE「SUMMER GAME」
7月6日(水)東京・後楽園ホール


<第7試合 Regina di WAVE〜WAVE認定シングル選手権>
[王者]○山縣優
(19分57秒 LA→片エビ固め)
[挑戦者]●志田光
※王者・山縣が2度目の防衛に成功

<第6試合 熱波WAVE〜パッションagain〜>
●水波綾
(18分11秒 ワンセコンドEX→片エビ固め)
○高橋奈七永

<第5試合 メモリアルWAVE〜ダイナマイト関西引退ロード〜>
●山下りな
(13分49秒 グリーンフォール→片エビ固め)
○ダイナマイト関西

<第4試合 ゴキゲンWAVE>
●大畠美咲、藤本つかさ
(11分27秒 春夜恋→ジャックナイフ式エビ固め)
○米山香織、チェリー

<第3試合 Anniversary WAVE〜朱崇花デビュー1周年記念試合〜>
●朱崇花
(5分39秒 ムーンサルトプレス→片エビ固め)
○浜田文子

<第2試合 GAISEN WAVE>
夏すみれ、●小林香萌
(8分12秒 外道クラッチ ※お皿で殴ってから)
長浜浩江、○宮崎有妃

<第1試合 スクランブル3WAVE>
春日萌花、○希月あおい
(6分48秒 オクラホマロール ※桜花のビッグブーツ誤爆から)
桜花由美、●フェアリー日本橋
※もう1組は飯田美花、下野佐和子
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