広島・中崎翔太が目指す真のクローザー 25年ぶりの歓喜へ勝利の方程式が機能

ベースボール・タイムズ

ヘーゲンズ、ジャクソン、中崎の存在

リーグ2位のチーム防御率を誇る広島。勝利の方程式として試合を締めるプロ6年目の23歳・中崎 【写真は共同】

 交流戦終盤から破竹の11連勝を記録し、セ・リーグのペナントレースで独走態勢に入った広島。チーム打率、本塁打、総得点といずれもリーグトップを記録する赤ヘル打線が注目されがちだが、その一方で投手陣もリーグ2位のチーム防御率3.42と、安定した力を発揮している。

 前田健太のメジャー移籍で不安視された先発陣は、ジョンソン、黒田博樹、野村祐輔の3本柱を中心に、ルーキーの岡田明丈や戸田隆矢、中村恭平ら若手がローテーションを守り、エースの抜けた穴をカバーしている。そして、近年のウイークポイントの一つとして挙げられていたリリーフ陣が、今年はヘーゲンズ、ジャクソンの新外国人コンビが安定した投球でセットアップの役割を果たし、抑えの中崎翔太につなぐ勝利の方程式が機能している。

 現役時代に広島で新人王を獲得するなど活躍し、14年まで投手コーチを務めた山内泰幸氏も、古巣の好調の要因として、勝ち試合でリードを守り切ることのできるリリーフ3人の存在を挙げた。特に抑えの中崎には、「抑えを任されるようになった昨年あたりから、大きく変わってきた。重要なポジションを任されることで、責任感が出てきた」と、その成長ぶりを評価する。

「目に見えて球速がアップした」

 2010年に日南学園高からドラフト6位で入団した中崎は、2年目の12年にリリーフとして開幕1軍入りを果たし、同年9月にはプロ初先発も経験した。翌13年はリリーフでスタートし、4月にプロ初勝利を記録。シーズン途中から先発にまわり、この年は2勝をマークした。中崎の入団時に1軍投手コーチだった山内氏は、「彼は足が遅いし、運動神経がいいわけでもない。ただ、本当に集中力があるというか、練習でもブレない、そういうしっかりしたところがあった」と、当時を振り返る。

 14年は前年オフに右手の血行障害の手術を行った影響で開幕1軍を逃した中崎だったが、6月に1軍昇格を果たすと、ロングリリーフもこなす中継ぎ投手として存在感を発揮。シーズン32試合に登板して2勝3敗1セーブ、12ホールドポイントの成績を残し、ブルペンに欠かせない男となった。
「14年は中継ぎとして、負けゲームで投げていくうちに、どんどんスピードが上がっていった。まだ3年目だったし、勝ちゲームで投げるという存在でもなかったので、とりあえず練習のブルペンで投げる時は、全力投球をするように指示を出した。それで試合ではリリーフで1イニングを投げて、ということを続けているうちに、目に見えて球速がアップした」

 この年限りでカープを退団した山内氏だが、中崎の成長には目を見張るものがあったという。リリーフの適正、そして守護神の資質を垣間見た瞬間だった。

1/2ページ

著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント