2軍成績が今の状況を予見していた? 首位走るソフトB、広島は2軍も充実

ベースボール・タイムズ
 プロ野球界において、「ファーム=育てる場」とされて来たが、果たしてそれは本当か。近年の2軍の成績を振り返りながら、「チーム」、「選手」、「監督」の3つの観点から、ファームの在り方と必要性、そして重要性をあらためて考えたい。

ウエスタンは若鷹が4連覇中

【ベースボール・タイムズ】

 過去、イースタンおよびウエスタンリーグの優勝チームを覚えている野球ファンはどれだけいるだろうか。

 この5年を振り返ると、イースタンでは北海道日本ハム(2011年)、千葉ロッテ(12年)、東京ヤクルト(2013年)、ロッテ(2014年)、巨人(2015年)と年毎に優勝球団が変わっているが、ウエスタンでは福岡ソフトバンクが目下4連覇中。そして広島も上位をキープしており、広島の5年平均順位(2.8位)は、ソフトバンク(1.2位)に次ぐ2番目の数字となっている。
 
 ここで気が付くのが1軍との連動性だろう。ソフトバンクは言わずもがな、広島もファームの充実ぶりが近年の躍進を下支えし、ひいては今季の首位快走の要因となっている。また、イースタンではロッテが5年間に2度の優勝を果たし、5年平均3.0位。毎年のように戦力が流出し、開幕前の前評判は高くない中でも上位争いを続けている秘密が垣間見える。

2軍成績は若手の充実を表す?

【ベースボール・タイムズ】

 全球団の過去10年のファームの順位を見ても、若手の成長とリンクする部分が多くある。世代交代に苦しんだ中日と生え抜きのスターが不在のオリックスは2軍でも近年は下位に低迷、徐々に若手が頭角を現した横浜DeNAは2軍でも上位争いを続けている。
 
 さらに注目したいのが巨人だ。1軍の3連覇が始まる2007年から、2軍でも5年連続で2位以上をキープしていたが、12年以降は現在の1軍と同じ不安定な戦いぶり。さらに昔に戻ると、巨人は1986年から95年までイースタン・リーグ10連覇を達成。当時は1軍の戦力も今以上に圧倒的で球界の盟主然としており、あるプロ野球OBは「当時の巨人は春季キャンプが始まる前から1番から9番、先発ローテーションまで決まっていた。実績のない若手が入り込む余地なんてなかった」と巨大戦力ぶりを振り返る。この状況は、現在のソフトバンクに通じるものがあると言える。
 
 その一方で、日本ハムの異質ぶりも目立つ。12球団で唯一、育成枠を使わず、保有選手数も少ない日本ハムは、ファームを完全に育成の場とし、若手を積極的に起用しながら出場機会を確保。2軍のチーム成績は低迷しているが、高卒入団からの生え抜き選手が次々と頭角を現し、今季の1軍スターティングメンバーは12球団で最も若い。「ファーム=育成」の信念を貫いた結果と言える。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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