2軍成績が今の状況を予見していた? 首位走るソフトB、広島は2軍も充実

ベースボール・タイムズ

1年目から2軍で起用されるドラ1選手

【ベースボール・タイムズ】

 今度は選手個々に目を向けたい。近年の高卒ドラフト1位入団の中で、1軍で活躍している野手を見ると、共通しているのが1年目の2軍での実戦機会の多さだ。そして、いずれもバットでは一定の結果を残す一方、守備面では粗さを露呈しながらも継続して起用され、2年目以降の飛躍へとつなげた。
 
 4選手のその後の活躍ぶりを振り返ると、坂本勇人は2年目にいきなり1軍全試合にスタメン出場。中田翔は3年目に2軍で本塁打王&打点王の2冠に輝くとともに1軍にも65試合に出場して9本塁打をマーク。筒香嘉智は1年目&2年目と2年連続でイースタン本塁打王に輝き、2年目には1軍で40試合に出場して8本塁打を放った。山田哲人は、2年目に1軍26試合で1本塁打、3年目に1軍94試合で3本塁打とやや時間を要したが、4年目に打率3割2分4厘&29本塁打、5年目にはトリプルスリーを記録した。
 
 翻って今年のルーキーたちはどうだろうか。7月5日現在で、ロッテの平沢大河は2軍で遊撃手として57試合に出場して5本塁打、打率2割3分で12失策。同ポジションの坂本、山田と比べると、本塁打は合格も確実性をもう少し上げたいところ。楽天のオコエ瑠偉は、2軍で23試合に出場して1本塁打、打率2割3分8厘の成績に留まっているが、こちらはすでに1軍で38試合に出場済み。打率1割8分6厘、1本塁打と数字的には振るわないとはいえ多くの経験を積んでいることは確か。この「平沢=2軍」、「オコエ=1軍」の育成法の違いが来季、2人の成長にどう影響するか楽しみな部分だ。

監督にとっても2軍は育成の場

【ベースボール・タイムズ】

 ここまではチーム、選手を見てきたが、指揮官にとってもファームは重要な“予行演習”の場と言える。昨季、就任1年目で見事にセ・リーグを制覇したヤクルト・真中満監督を始め、秋山幸二氏(ソフトバンク)、渡辺久信氏(西武)、岡田彰布氏(阪神)と2軍監督の経験を活かして、1軍監督就任後すぐに優勝という結果を出した。いずれも若手選手の特徴を把握し、自らの監督就任に合わせて1軍に抜擢し、チームの勝利へと繋げた。
 
 その意味で注目したいのが、今季から中日の2軍監督に就任した小笠原道大氏である。7月5日現在、イースタンは1位・巨人、2位・ロッテと例年と比べても特別な変化はないが、ウエスタンでは中日が、2位・ソフトバンクに3ゲーム差を付けて首位を走っている。近年、2軍でも6位、6位、6位、5位と低迷していたチームに勝利の味を覚えさせ、さらにソフトバンクの5連覇を阻むことができれば、その手腕は高く評価されるべきだろう。将来の名将誕生の予感を感じながら、今後のファームの戦いぶりにも注目したいところだ。

(文・三和直樹、グラフィックデザイン・山崎理美)

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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