攻撃の起点として存在感を発揮した柏木 守備の不安を解消し”代表”定着なるか?
攻撃では存在感を発揮するも……
3日のブルガリア戦で岡崎慎司の先制弾をアシストするなど7得点大勝の原動力となったボランチの柏木陽介は2試合連続となるスタメン出場。今回も清武弘嗣、岡崎らアタッカー陣とうまく連係しながら攻撃の起点を作る必要があった。この日、トップ下に入った清武について、柏木は「キヨ(清武)とはずっと試合をしているから良さも分かっているし、全く問題ない」と自信を持ってゲームに入った。
前半の日本は立ち上がりから積極的にいき、ハリルホジッチ監督が求めるインテンシティー(強度)の高いサッカーを実践していた。柏木、清武、宇佐美貴史という左のトライアングルがいい距離感を保ち、コンビを形成。そこに長友佑都も絡んで、左サイドから分厚い攻めを見せていた。前半28分の先制点の場面も、自陣に下がった柏木が森重真人にボールをさばき、そこから左の宇佐美へ展開。彼の個人技から相手DFを巧みにかわし、折り返したボールに飛びこんだ清武が反応。左足でシュートを決めるという流れるような崩しの得点だった。
しかし、直後の失点シーンでは日本のカウンターへの対処が遅れた。アルミン・ホジッチのシュートを西川周作がブロックし、こぼれ球を198センチの長身FWミラン・ジュリッチが押し込んだ場面ばかりがクローズアップされがちだが、その前にジュリッチがクサビに入った時点で柏木、長谷部誠の両ボランチの戻りが遅れていた。ジュリッチのヘディングの落としを受けたマリオ・ブランチッチがスルーパスを出した瞬間は、長谷部がチェックに行ったものの、柏木の位置取りはやや中途半端になっていた。この場面に象徴される通り、最終ラインのカバーリングは前半45分間を通して長谷部が一手に担う傾向が強く、柏木の守備への関わり方は物足りなさを感じさせた。
不完全燃焼に終わったボスニア戦
本人もそういう感想を抱いたからこそ「今日は半分(の出場で)で物足りなさもあった。向こうの10番(ハリス・メドゥニャニン)に『キミはすごく良い選手なのに、なんで交代したの? 疲れたの?』と言われたし」と発言し、悔しさを吐露したのだろう。
ブルガリア戦での好パフォーマンスで、長谷部とコンビを組むボランチ一番手の座を確実にしたと見られていた柏木だったが、ボスニア戦は不完全燃焼感の残るゲームになってしまったのではないか。