走り幅跳び、山本篤の強さを支える分析力 リオでの金メダルに向けた2つの課題
ジャパンパラで貫禄の優勝
走り幅跳びの山本篤がジャパンパラで優勝。安定した跳躍で好調ぶりをうかがわせた 【写真は共同】
リオデジャネイロパラリンピックの選考会を兼ねたジャパンパラ陸上競技大会が5日まで、新潟県のデンカビッグスワンスタジアムで行われ、T42(片大腿切断など)男子走り幅跳びで山本篤(スズキ浜松AC)が6メートル49を記録し優勝を果たした。5月の日本選手権で記録した世界記録(6メートル56=当時)には7センチ届かなかったものの、山本は6回の跳躍の中3本で6メートル40センチ台を記録し、高いレベルで安定したパフォーマンスを披露。「6メートル30はコンスタントに飛べるようにしたいと思っていたところで、6メートル40台が3本出たのは今回の成果」と振り返った。
さらに、失敗に終わった跳躍について、山本はこうも語っている。
「6本目は(記録を)狙いにいってファウルになったので、それは仕方のないことだと思います。(3本目が)6メートル27と悪かった原因も分かっている。3本目は飛んだ瞬間にダメだと思いました。浮く感じがまったくなかった」
山本は競技の直後にも関わらず、跳躍の成功や失敗の要因を冷静に分析する。ポイントは、助走して踏み切り飛び上がるまでの「浮き」と、飛び上がってから最高点に達し着地するまでの「落ち」だ。空中で感じる新たな感覚を自分のものにすることと、落下時に感じた健足(右足)と義足(左足)のズレを解消すること。この2つが山本が今大会で感じた課題である。
つかみつつある「浮き」の感覚
この「浮き」の感覚に手応えをつかんでいるものの、実戦で出せる場面はまだまだ少ない。前述の日本選手権でも、「浮き」の感覚があったのはファウルとなった1本目のみ。世界記録を出した4本目の跳躍でも、その感覚を得ることはできなかった。
今回のジャパンパラでは、浮く感覚が2回あった。いずれも6メートル40センチ台の記録を残した4、5本目の跳躍だ。大会中に2本出たことは初めてのことであり、山本は感覚をつかみつつあることを少し興奮気味に話した。リオまでに、「浮きの感覚を自分のものにしたい」と目標を語っている。