武豊ラニ、ベルモントS制覇の可能性 コース・相手関係・血統…偉業へ追い風
米3冠最後のタイトルを狙って
米3冠最後の1つ、ベルモントSに挑む武豊とラニ、その勝算は? 【photo by Tomoya Moriuchi】
米3冠は日本のそれとは異なり、春シーズンのみで3冠全てのレースを行う過酷なスケジュール。ローテーション的にも中1、2週でのレースが続くため、1冠目のケンタッキーダービーでは20頭と多頭数だったが、2冠目のプリークネスSでは11頭と出走頭数も激減。ケンタッキーダービー後にプリークネスSを回避してベルモントSへ出走するパターンの馬もいるが、まさに3冠を一つのカテゴリーとしたサバイバル戦線が続いている。こんな状況下で3冠馬になることが、いかに至難の業であるかは言うまでもなく、3冠全てに出走することすら並の馬では困難なことだ。
その中でラニは、このまま行けば無事に3冠全てのレースに出走した初の日本馬ということになる。これだけでも日本の競馬史に残る出来事だ。しかし、手綱を取る武豊騎手をはじめ、陣営は参加賞ではなく、最後の一つのタイトルを当然のように狙っている。
広いベルモントパークはプラス材料
まず、ラニにとってのプラス材料は、1周2400mと広いコースのベルモントパーク競馬場に変わること。元々、出遅れ癖があって、後方からの競馬が多い同馬。今までのチャーチルダウンズ、ピムリコ競馬場は1周約1600mと小回り形態なため、とにかく忙しい競馬が続いた。そうなると、いかに好位を奪って流れに乗るかが勝敗を分けるポイントとなるのだが、これは後方から追い掛けるラニにとっては厳しい競馬を強いられる形となっていた。現にケンタッキーダービーもプリークネスSも激しい先行争いのスピードについていけず、直線の末脚のみで上位に食い込んできている。小回りコースに加えてスピード勝負の忙しい競馬となれば、明らかに不向きとしか言いようがない。
それが今回はゆったり感のあるベルモントパーク。もちろん、序盤はある程度のスピード競馬で好ポジションの奪い合いが展開されることは必至だが、レースの距離が伸びている分、ペースも今までより落ち着き、後方からでも前をシッカリと見て流れについていけるはずだ。プリークネスSで見せた末脚をタイミング良く繰り出せれば、前走以上の結果は期待できる。