松本、五輪連覇は挑戦「開き直った」 柔道代表が全階級“金”へ意気込み
男子の井上康生監督が「全階級で金メダルを取る」と話したとおり、選手は皆、目標に「金メダル」を掲げるなど、気が引き締まった表情で、早くもリオ五輪を見据えて前を向いていた。
その中で唯一、連覇の期待が掛かる松本薫(ベネシード)は「連覇にかかるプレッシャーを抱えることは、もう諦めた。自分らしく、連覇に挑戦する気持ちになった。開き直って、清々しい気持ちで戦おうと思っている」と抱負を語った。
なお、女子78キロ超級は17日の全日本女子選手権、男子100キロ超級は29日の全日本選手権の最終選考会を経て代表が発表される。
以下は各選手、監督のコメント。
高藤「リオでは奇想天外な柔道を」
「試合が初日なので、金メダルを取って良い流れをチームに呼び寄せたい。この4年間は(2014年に遅刻等の規律違反により強化指定選手のAランクからBランクに降格するなど)大変な時期もあったけど、常に五輪で金メダルを取りたいと考えていたので、実行できたら良いと思う。リオでは、自分らしい奇想天外な柔道を見せたい。
柔道を始めてから初めて見たシドニー五輪で(自分と同じ男子60キロ級の)野村忠宏選手が金メダルを取った姿が、五輪の中では一番印象に残っている。テレビで見ていて、日本の柔道の選手が金メダルをたくさん取ったことも衝撃として残っていて、そのときに『僕も取りたい』と思ってここまでやって来た。地元の方には、後援会を作って応援していただいているし、勝って恩返しをしたい」
前回銅の海老沼「五輪の借りは五輪で返す」
「ロンドン五輪では(銅メダルで)悔しい思いをした。五輪での借りは、五輪でしか返せないと思っている。借りをしっかりと返して、リオでは金メダルを取りたい。この4年間が無駄ではなかったことを証明したい。
幼い頃、両親から『スポーツの最高峰は五輪。五輪を目指せるスポーツが良いのではないか』と勧められて、柔道を始めた。だから、金メダルを目指す意識は、その中で両親から植え付けられていたのかなと思う。
リオでは、背伸びをするのではなく、自分の柔道を、生き生きとした柔道を見せたい。これまで見てきた五輪では、数々の選手が生き生きと輝いている姿を見てきたので、僕も『そっち側』の人間になりたいと思っている。地元の人、両親、先生とたくさんの人にいつも支えてもらって柔道ができている。結果を出すことで恩返しをしたい」
大野「長州出身の誇りで戦う」
「レベルの高い階級だけど、必ず金メダルを獲得して(世界選手権を2度制覇しているが五輪も勝って)真のチャンピオンであることを証明したい。五輪でメダルを取りたいと強く思ったのは、講道学舎に入門して五輪のメダリストや世界チャンピオンの先輩たちと接するようになってから。
4年前のロンドン五輪は、天理大学の研修で観戦させてもらった。柔道以外のことも含めて様々なことを経験できた。そのすべてをリオ五輪につなげたい。試合では、自分の持ち味である攻撃的な柔道で1本を取るのが理想だが、それだけでなく、我慢強く、粘り強い柔道もしていきたい。柔道に出会ったのも、今の僕があるのも、地元である山口県の両親や先生のおかげ。長州出身の誇りを持って戦いたい」
永瀬「相手が嫌がる柔道を」
「何が何でも金メダルを取って日本に帰ってきたい。前回のロンドン五輪をテレビで見ていて、次は自分がこの舞台に立って金メダルを取りたいと思った。この4年間で、今(そのときに)やれることを必死でやって来たし、リオ五輪の金メダルが(夢や憧れから現実的な)目標に変わった。
試合では、自分らしく、相手が嫌がる柔道で優勝したい。ここまで成長できたのは、たくさんの人に支えてもらったおかげ。金メダルを取って恩返しをしたい」
ベイカー「何が何でも金メダル」
「すべての思いを力に変えて、金メダルを取ってきたい。この4年間、それだけを目標にやってきたので、今は代表に選ばれてホッとしているが、試合では何が何でも金メダルを取りにいくという強い気持ちで頑張りたい。シドニー五輪で井上監督が金メダルを取った姿を見た時から、五輪に憧れを持つようになった。僕を心から応援してくれている人たちに、五輪という素晴らしい舞台で勝って恩返しをしたい」
羽賀「ケガをしっかり治して五輪へ」
「五輪まで良い準備をして、試合当日は誇りを持って戦いたい。ロンドン五輪の予選(代表選考レース)の後に(左肩を)手術をしたのは、リオで結果を残すための選択だった。必ず、リオ五輪で結果を残したい。試合ではしぶとく、執念を持って最後まで諦めないで戦う姿勢を見せたい。
(最終選考会である)選抜体重別選手権を欠場したことは、悔しい。欠場して選ばれるということは、気持ち良いことではない。勝って次の日に選ばれるようにしたかった。ケガをしたのは、すべて自己責任。ただ、五輪というチャンスをもらえたので、(負傷した)膝をしっかりと治して、気を引き締めて五輪に臨み、結果を残すことで皆さんに認めてもらいたい。世界選手権を勝ってから、ほかの大会ではなく五輪で優勝することを意識してきた。
父(善夫氏)が柔道選手だったので、小さいころから五輪で金メダルを取ることを夢に描いていた。前回大会で日本男子の金メダルが1つもなかったことは、すごく印象的だった。今回は自分たちが戦える立場にあるので、何としても金メダルを取りたいと思う。宮崎県延岡市の出身で、現在の所属である会社の拠点も延岡にある。その人たちの理解があって柔道ができているので、勝って恩返しをしたい」