福士、発表まで「落ち着かなかった」 マラソン代表選手がリオへ意気込み
リオ五輪のマラソン日本代表に選出された6人、1日が経ち、皆晴れ晴れとした表情で取材に応じた 【写真:田村翔/アフロスポーツ】
発表から1日が経ち、選手たちはみな晴れやかな様子で応対し、公式に初めて姿を現した福士は「(代表に決まるまで)落ち着かなかったが、今となれば面白かった。大阪国際を走った時から、次はリオで金メダルと思っていた。(金メダルを取った)先人たちがいるっていうのは、気持ちとしても『できる』と思える」と心境を明かした。
また、1月の大阪国際で日本陸上競技連盟が設定する記録を突破する2時間22分17秒を出すも、代表選出が確約されず、3月の名古屋ウィメンズにエントリーし、世間の関心を集めたことについて、福士は「マラソンの選考ってこんなに沸騰するんだと初めて知ってびっくりした。一発選考の方がいいんじゃないですか。4年に1回くらいは。その方が選ぶ方も簡単じゃん?(笑)」と“福士節”で持論を述べた。
リオ五輪の女子マラソンは8月14日、男子は同21日に行われる。
以下は各選手、そしてワコールの永山忠幸監督の主なコメント。
福士、金メダル「『できる』と思える」
唯一、17日に会見しなかった福士(中央)。あらためて金メダル獲得を目指すと話した 【写真:田村翔/アフロスポーツ】
(金メダルを公言しているが)大阪国際を走った時から、次はリオで金メダルと思っていた。モスクワ(での2013年の世界選手権)で銅メダルを取ってから、次の五輪で金メダルと言っていたので、金メダルを目指すのは普通ですね。モスクワでの世界陸上が終わって、「メダルも取ったし、もういいな」と思って一度辞めようと思った。だけど、2〜3カ月、休んでゆっくり考えたら、もう少しやってもいいかなと思えるようになった。一か八かやってみようと思った。
(大阪国際の翌日、次はリオで走ると言っていたが、名古屋ウィメンズについては)どっちでもいいと思っていた。(22分のダメージは)ちょこちょこ出てきますね。1週間でまた別の箇所が出て、また1週間やって他のところが出た。いろいろな箇所で疲労が出て、走りたい気持ちと休みたいという気持ちと両方あった。その意味で名古屋は走らなくて良かった。(選考について)一発選考の方がいいんじゃないですか。4年に1回くらいは。その方が選ぶ方も簡単じゃん?(笑)
(高橋尚子さん、野口みずき選手が金メダルを取っているというのは気持ちとして大きい?)先人たちがいるっていうのは、気持ちとしても「できる」と思える。(後輩たちへとつなげる意識はある?)何もないですよ。まずは自分が良くないとダメだと思います。自分のためにやって良ければ、勝手に付いてきますよ。
(名古屋ウィメンズは見た?)移動中で、最後のデッドヒートくらい(しか見なかった)。これでタイムを自分が出してなかったら、選考が揉めるだろうなと思ったくらい。でも、発表を待つのも、やはりドキドキものでしたよ。
(5キロ16分40秒ペースを続けていくためには何が必要?)練習(笑)。あとは技術的なものもあると思います。(具体的には?)やっている人にしか分かりませんよ。いろいろな手を使ってやりますよ。
(五輪には3度出ていますが、マラソンで五輪代表となった気持ちは?)自分の中では4度目という気持ち。種目がマラソンになったというだけですね。五輪は面白いですよ。(リオの次は東京五輪になるが)とりあえずリオ。リオをやってみて考えます。
田中「3人が選ばれたので、うれしかった」
(14年の横浜国際よりも3分ほどベストが伸びたがその要因は?)リオに出たいという思いと、よく食べれました。いつものマラソンよりも倍くらい食べました。意図的に食べないと走れないと(分かったので、食べた)。これまでも食べないといけないと思って食べましたが、今回は無理やりにでも食べました。他には、後半でもペースが上げられる体力がついたと思います。月間800キロくらいだった距離、走りこみが1000キロに増えました。見た目から足の筋肉が付いたなと感じました。
(15年の世界選手権は見た?)見るか見ないか迷いましたが、合宿地で見ました。自分も出たかったなと思いました。
永山監督、金メダルに向け「世界一の練習する」
(選考に関して騒動となり、嫌な思いもしたと思うが)陸連と私の対立構造のように書かれていたが、私は強化部の人間ですので、ルールはすべて理解しています。彼女のトレーニングプランの中で、Wエントリープラン(大阪国際、名古屋ウィメンズ)は考えていたことです。常識を周囲が決めてしまったので、(われわれが)非常識のようになってしまいました。
(調整をシークレットにすることについて)途中経過で(ファンの皆さんを)心配や不安にさせたくないんです。ワクワク・ドキドキした中で8月14日を迎えて、われわれは結果で応えたいんです。ものすごいプレッシャーの中で選手たちは本番を迎えると思います。われわれとしては、選手が極力自然体の中で臨めるようにすることが、選手のパフォーマンスにつながることだと思います。2013年の世界陸上の際は、野口みずきさんがすべてプレッシャーを受けてくれました。福士は第3の選手ということで、取材もほとんどなく、それが銅メダルにつながったと思います。誰かに集中することのないようすることが、結果的に女子マラソン復活につながると思います。
スポーツの世界は、結果が良ければいいが、悪ければ谷底に突き落とされたようなことになると、選手たちが一番痛感していると思います。
五輪が目標であり、代表は通過点。8月14日に合わせるために雑念はすべて捨てていきたい。彼女がどうやって気持ち良くスタート地点に立てるかに集中したい。簡単なことではありません。そのためには世界一の練習が必要。高橋(尚子)さんや野口さんが金メダルを取れたのは世界一の練習ができたから。それを彼女が本当にできるか。1日1日トレーニングを積み重ねていきたい。