「梨田監督=ナッシー」定着しない問題 カネシゲタカシの『ぷぷぷぷプロ野球』
【イラスト:カネシゲタカシ】
きっかけは去年10月、監督就任直後に訪れた秋季キャンプでのこと。「僕の名前は梨田でなじみがないかもしれない。ノムさん、仙さんみたいに、今日からナッシーと呼んでもらえたら」といきなり発言。スポーツ各紙でも記事として取り上げられました。
なるほど、確かに愛される監督には愛称がつきものです。梨田監督が例示した「ノムさん」「仙さん」もそう。この羅列に「デーブさん」が入ってないのはひとまず置いといて。
しかし、オープン戦も本格化しようというこの時期に及んでもなお“ナッシー監督”の文字が新聞各紙の見出しにおどることはありません。はっきり言えばスベった状態です。
普段から「いいオコエをかけたい」のようなダジャレを得意とする梨田監督にとってスベることは何でもない日常。しかし「◯◯って呼んでね!」と言ったのに呼ばれない状況は、明るく自己紹介したのに溶け込めない転校生を見ているようで心が痛い。解決法はないものでしょうか?
この中で“愛称で呼ばれる”ということに関してトップを走るのは「ラミちゃん」ことラミレス監督でしょう。就任会見で「なんと呼べばいいですか?」という記者の問いに「ラミちゃん監督、または監督ラミちゃんと呼んでください」と本人が回答したことで、選手時代からの愛称「ラミちゃん」の継続が決定。新聞各紙には「ラミちゃん初白星」などの見出しが数多く見られます。
その次に愛称で呼ばれがちなのは「アニキ」こと金本知憲監督。ただし現役時代ほどの使用頻度は見られず、一部に“アニキ流”などの記述が見られるくらい。確かにキャンプ記事などから漏れ伝わる金本監督の印象は“アニキ”というよりも“怖いオヤジ”。今後の金本監督の愛称は「アニキ」から「オジキ」、または「親分」「ゴッドファーザー」「その筋の人」などに変化する可能性を秘めています。
しかし“下の名前も愛称に含める”というルールならば話は別。
巨人・高橋監督の「由伸」が「ラミちゃん」を猛追します。選手時代に高橋尚成らとの区別の意味で、また親しみを込めて“ヨシノブ”と呼ばれることが一般的だった彼は、もはや「高橋監督」という正式名称のほうに違和感があるほど。
「由伸」または「由伸監督」と下の名前での呼称が定着するのは、「キヨシ」こと中畑清氏(DeNA前監督)と同じパターン。愛される監督の条件をクリアしています。