錦織、好相性のメンフィスでV4を 杉山愛コラム「愛’s EYE」

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そうそうたる相手を倒してきた舞台

錦織圭が4連覇を懸けてメンフィスオープンに臨む 【写真:AP/アフロ】

 ATPメンフィスオープンには錦織圭選手(日清食品)の4連覇が懸かります。テニス選手には“ここに来るとテンションが上がる”“いいテニスができる”と自然に思えるような、相性のいい大会があります。私にとっては米国西海岸のトーナメントがそうで、サンディエゴに行くとなぜか頑張れる気がしたのです。錦織選手にとって、3連覇しているメンフィスはそういう場所なのかなと思います。

 それにしても、同一大会3連覇はなかなかできることではありません。ツアー3大会に優勝するだけでも大変なことなのです。大会の雰囲気、コートとの相性など、よほど彼に合っているのだと思います。

 メンフィスはインドア・ハードコートの大会ですが、錦織選手はこれまで、速いサーフェスや室内コートを得意とするビッグサーバーのケビン・アンダーソン(南アフリカ)、イボ・カロビッチ(クロアチア)ら、そうそうたるメンバーを破って優勝してきました。彼の武器であるリターンが、相手のサーブを封じてしまったのです。

 インドア・ハードコートは風や太陽の影響を受けないので、ビッグサーバーには有利です。今年は少し球足が遅くなっているそうですが、非常に速いサーフェスであったことも当然、ビッグサーバーに有利な条件でした。錦織選手も決して簡単な戦いばかりではありませんでした。しかし彼は、相手サーブのコースや配球の癖を探り、アジャストしていく高い能力を持っています。また、動物的な勘というか嗅覚で“この場面ではこっちにくる”と予測するのも得意です。もちろん反応の速さ、つまり、目から入る情報をキャッチして反応するスピードも天性のもの。こうした研ぎ澄まされた能力でビッグサーバーと互角以上に渡り合ってきました。

錦織の活躍が期待できる大会に

 3回も優勝していますから、メンフィスでの“ケイ人気”は相当のものと想像できます。米国の観客は錦織選手のようなエンターテインメント性のあるテニスが大好きです。パワーだけでなく技を見せてくれるからです。今では彼も、地元・米国人の応援を受けて、ホームのような感じでプレーできていることでしょう。

 このコラムを書いているのは大会が開幕した直後なので、どんな勝ち上がりになるか予想は難しいのですが、錦織選手は第1シードで、他の選手の挑戦を受ける立場です。米国の有望な若手、中堅が顔をそろえており、彼らは思い切り錦織選手に挑んでくるはずです。ただ、去年や今年序盤の戦いを見ても、今の錦織選手には安定感があり、下位選手のチャレンジをものともしない風格が出てきています。

 昨年優勝した大会ですから、獲得したポイントのディフェンド(1年が経過して失効するランキングポイントを取り戻すこと)も気になるところでしょう。しかし錦織選手は、これを意識しすぎず、上手に対処しています。それほどプレッシャーになっていないのかもしれません。それに、彼ほどの実力があると、万が一その大会でディフェンドできなくてもどこかで必ず帳尻が合うものです。

 さらに、彼のプラス要因はサーブ力が上がっていることです。サービスゲームのキープが楽になり、試合が運びがしやすくなっているはずです。戦いやすい条件がそろい、錦織選手の活躍が期待できる大会になると思います。
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◆錦織圭出場予定!男子ATPツアー メンフィス
錦織圭出場予定のATPツアー メンフィス大会をお届けする。出場者中ランキング最上位選手として、そして大会史上初の4連覇を懸けて、優勝を目指す。
2月13日(土)〜2月15日(月)

◆男子テニス国別対抗戦デビスカップ ワールドグループ1回戦「イギリスvs日本」
錦織圭出場予定!国の威信をかけた国別対抗戦。2015年優勝したイギリスを相手に日本の勝利なるか!?
3月4日(金)〜3月6日(日)
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