「史上最強」のフットサル日本代表 W杯での8強進出に向けアジア制覇に挑む
史上最強のチームに仕上がった日本代表
日本代表は、UAEで開催された12年大会、ベトナムで開催された14年大会とフットサルアジア選手権を連覇しており、今大会では初の3連覇を目指す。その目標達成に向けて、史上最強のチームに仕上がっている。
このチームの特徴は、ボールを持っているとき=攻めているとき、ボールを持たれているとき=守っているときを問わず、自分たちから仕掛けることができるという点にある。09年に日本代表の監督に就任したスペイン人のミゲル・ロドリゴは、祖国から持ち込んだ世界最先端の戦術を日本人の特徴に合わせてアレンジし、それを選手たちに伝えた。
まずはベースとなる攻撃の動きを植え付け、そこからフルコート、ハーフコートからのプレッシング、自陣に引いて守る形と守備のパターンを作った。さらにパワープレーやセットプレーといった特殊な戦い方に磨きをかけつつ、自身のコネクションを最大限に活用し、スペインのプロクラブとの親善試合を行って速攻の切れ味や選手個々の能力を高めていった。
その成果が表れたのが、横浜FCに所属するFW三浦知良も招集された12年のフットサルW杯タイ大会である。初戦こそ、同大会でW杯連覇を達成することになるブラジルに敗れた(1−4)が、その後強豪ポルトガルと5−5で引き分けると、グループリーグ最終戦でリビアに勝利(4−2)し、史上初の決勝トーナメント進出という目標を達成した。
タイでのW杯終了後、ミゲル監督は世代交代に乗り出し、4年後のW杯コロンビア大会に向けたチーム作りをスタートした。最初の3年間で作ったベースを元に、より個人能力が高い若手選手たちの「突破力」を生かすスタイルへ変化させていった。その結果として、自分がボールを持っている時にもドリブルで仕掛けられ、反対に相手がボールを持っている時にはミスを誘発させるような、激しいプレッシングを仕掛けられるチームに仕上がった。
前回大会の雪辱に燃えるエース森岡薫
今大会、誰よりも強く「チームに貢献したい」と思っているのも森岡だろう。14年のベトナムで行われたアジア選手権にも出場した森岡だが、当時は負傷した状態であり、出場機会は限られていた。3−2で勝利した準々決勝のタイ戦で決勝ゴールを決めたものの、決勝戦のイラン戦では思うように足が動かず、自らの判断でベンチへ下がった。PK戦の末にイランを下して連覇を達成した直後も、金メダルをぶら下げながら、「優勝できたことは素直にうれしいけれど、『自分が貢献できた』と思える大会ではなかった」と、悔しさをのぞかせていた。今回こそは中心選手として、アジア選手権3連覇に貢献するという強い決意に燃えているのだ。
森岡以外にも、現在の日本代表には多くのタレントがいる。ポルトガルの名門ベンフィカで中心選手として活躍しているFP逸見勝利ラファエルは、12年のUAEで行われたアジア選手権の大会MVPである。まだ23歳と若いが、幼少の頃からフットサルをプレーしており、戦術眼の高さ、ドリブルの切れ味、シュートの正確性は、世界でもトップクラスだ。
また、逸見にも劣らない突破力を持つのが、FP仁部屋和弘(バサジィ大分)だ。左右両足を均等に使うことができ、その独特の間合いとリズムのドリブルで、世界トップレベルの選手たちも手玉にとってきた。前回のW杯は、カズが入ったことで直前にメンバー入りを逃したこともあり、初のW杯出場に向けて並々ならぬ闘志を燃やしている。他にも、世界最高峰のスペイン1部リーグで活躍しているFP吉川智貴(マグナ・グルペア/スペイン)、世界中で話題となったヒールリフトでの代表初ゴールを決めたFP室田祐希(エスポラーダ北海道)ら、個の能力が高い選手がそろっている。