6番細川はなぜ批判されてしまうのか 

note
チーム・協会
【これはnoteに投稿されたやまさんによる記事です。】
何故か最近強打者6番理論が流行っていますね…

オープン戦も半分以上消化し、先発陣など課題もあれどここまでそこそこの状態に見える中日ドラゴンズであるがファンの間では打順、特に6番細川の話題でいっぱいである。

ここではなぜ6番細川という采配が批判されてしまっているのかについて考える。

〜現代野球の打順論〜

セイバーメトリクスや動作解析など、近年野球にも多統計学やバイオメカニクス、物理学など様々な側面から選手個人やチーム全体の成績向上のためのアプローチがなされている。その中で打順の与える影響はそこまで大きくないとはされているものの、それがわざわざ最善でない打順を組んでいい理由にはならない。

メジャーリーグを見てみればわかるように、大谷翔平やフアンソト、アーロンジャッジなど打力の極めて高い打者は1番や2番など早い打順に置かれている。これはできるだけ多くの打席を打力の高い打者に与えるべきという考えに基づいており、一般に一つ打順が下がるごとに年間の打席数は約15減ると言われている。

またノーアウトランナー無しでは四球の価値が最も高くなるため1番にはBB%が高い打者を置くべき、3番打者はツーアウトで回ることが多いため1,2,4番よりも優先度が下がるなど様々な考え方があるが、ここでは簡単のために現代野球の打順論を、より優秀な打者に多くの打席を与えるために優秀な打者をより前の打順に置くべき、とまとめておく。

〜6番細川の問題点〜

先に述べたように、現代では優秀な打者をより前の打順に置くのがセオリーとされている。全野球ファンが知っていることだとは思うが、細川成也は極めて打力の優れる打者である。そのためセオリーに従うのであれば、6番細川が妥当となるのは細川以上や細川と同程度の打力を有する打者が1番から6番に並んでいる場合のみである。

ここでwRC+という指標を用いて中日ドラゴンズの選手の打力を数字を用いて比較してみる。ここでwRC+について軽く説明する。deltaでは以下のように説明されていた。
wRC+とは打席あたりの得点創出の多さを平均的な打者を100とした場合のパーセンテージで評価する指標である。球場による影響に対する補正を行っており、環境に対して中立的に打者の得点創出能力を評価するのに適している。wRC+が130であればリーグの平均的な打者の1.3倍の効率で得点を生産する打者であるといえる。

1.02 ESSENCE OF BASEBALLより

簡単に言えば、100より大きければ大きいほど平均よりも優れていて、100よりも小さければ小さいほど平均よりも劣っていることが分かる指標である。

ではこの指標を用いて中日ドラゴンズの各打者の打力を実際に見てみる。(2024年、100打席以上)
細川成也   170
福永裕基   163
宇佐見慎吾  133
石川昂弥   116
村松開人   108
(ディカーソン 104)
板山祐太郎  96
高橋周平   94
カリステ   88
山本泰寛   84
岡林勇気   77
木下拓哉   63
田中幹也   60
大島洋平   58
中田翔    56
上林誠知   48
加藤匠馬   1


ぼーのの日記様より

これからも細川はチーム内ではもちろん、リーグ平均と比較してもかなり打力が高い打者であり、昨年チーム内で細川と同程度の打力を有していた打者は福永のみである。

現在、オープン戦などで組まれた打順では

1番岡林
2番村松
3番福永
4番石川
5番ボスラー/カリステ
6番細川
7番大島/上林/ブライトなど
8番木下/石伊など


というものが多く、細川の前に細川と比べ打力の劣っている打者が多く並ぶとともに細川の後ろに細川よりも大きく打力の劣っている打者が並ぶ打順となってしまっている。そのためこの打順は細川の打席数が減ることはもちろん、相手バッテリーは細川との勝負を避け細川より大きく打力の劣る次の打者との対戦を選ぶという選択を容易に取れるものとなってしまっている。

〜なぜ6番細川という打順に凝っているのか〜

これは一部推測を含んでしまうが、現首脳陣には

•4番を福永とボスラーで挟みたい
←4番に石川を据えたうえで3連続で右が並ぶのを避けたい(?)

•1番2番はオールドスクール的な打者(俊足巧打系)
←1番岡林2番村松も固定されている

•6番にはチャンスで回ってきやすい(?)
←チャンスで回ってきやすい打順に6番に強打者を置きた

という考えがあるように思える。また細川に対してバッティングがわがままなどと発言していた記事もあった。(https://www.chunichi.co.jp/article/972631)

また最近6番にチャンスで回ってきやすいので6番に強打者を置く6番強打者理論が流行っている(?)が、これは3〜5番に打力の優れた打者を並べたため起きた事象であることは明らかである。この件以外でも言えることであり自戒も込めているが、野球のデータに限らず「データはただ見るだけでなく何故そのような結果になるのかいうことまで考えることがとても重要である」と再認識させられる。

〜ではどのような打順が最も良いのか〜

ここからは私自身の希望がかなり入ってしまうというか100%希望だが、どのような打順を組むべきかについて考える。いい打者をより前の打順に置く、細川の前にランナーがいるとより良いという考えから以下のような打順を提案する。

1番 セカンド   
福永2番 ライト    
細川3番 ショート   
村松4番 サード    
石川5番 ファースト  
ボスラー6番 レフト    
ブライト/上林/鵜飼7番 
キャッチャー 木下/宇佐見/石伊
8番 センター   岡林
9番 ピッチャー  


〜最後に〜
井上一樹監督はまだ1年目のオープン戦の途中であり、まだファンがワーワー騒ぐ時期ではなく、騒がれている打順もそこまで大きくシーズンの成績に大きく影響は与えないためファンが騒ぎすぎている感は否めない。しかし、悪夢の3年間を過ごした中日ファンは少し怪しい采配に敏感になりすぎてしまっているため、不穏な采配があると何かを思い出して騒いでしまう気持ちはとても理解できる。自分自身としては現政権を開幕から2ヶ月程度は我慢というか大袈裟に騒ぎすぎずに見ていようかなという気持ちである。

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