スカウトうならせた藤嶋、“松坂二世”高田――16年センバツ出場の注目選手

松倉雄太

投打に圧倒する東邦・藤嶋

昨秋の神宮大会では投打に圧倒的なパフォーマンスを見せた東邦・藤嶋。1年夏以来の甲子園出場となる 【写真は共同】

 第88回選抜高校野球大会(3月20日開幕 兵庫・阪神甲子園球場)の出場校が29日に決まった。出場校の中から注目選手を探っていきたい。

 各地区の秋季大会優勝校がそろった昨秋の明治神宮大会で投打にわたって圧倒的なパフォーマンスを見せたのが東邦(愛知)のエースで4番・藤嶋健人(2年)。1回戦の秀岳館(熊本)戦で自己最速タイの146キロを計測し2失点完投。打っては6回に先制2ラン、8回に勝ち越し2ランをともにレフトスタンドに叩きこんだ。投手ならではの配球を読んだ打撃技術とパワーにバックネット裏で視察したプロのスカウトも驚きの表情。2回戦の青森山田(青森)戦ではライトの守備につき、野手としての素質も見せた。2試合に登板した2014年夏以来の甲子園に、今回は主将として臨む。

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大阪桐蔭・高山は150キロ左腕

“松坂二世”と言われ、140キロ台中盤のストレートを武器にする創志学園・高田 【写真は共同】

 他に投手では大阪桐蔭(大阪)の左腕・高山優希(2年)と創志学園(岡山)の右腕・高田萌生(2年)が本格派として注目が集まる。高山は明治神宮大会準決勝・高松商(香川)戦で9回1イニングの登板ながら150キロを計測。関西地区の担当スカウトも「冬が楽しみ」と春へ向けての成長を期待するコメントを発した。140キロ台の球威ある直球を1試合通して投げられるようになれば、持ち味のテンポの良さがさらに武器となる。

 高田は、松坂大輔(福岡ソフトバンク)に良く似ていると言われるフォームから繰り出されるスライダーと、140キロ台中盤の直球が武器。中国大会4試合を1人で投げ抜き、初優勝に導いた。神宮では初戦で敦賀気比(福井)に5失点で敗れたが、「内角をもっと攻められるようになりたい」と全国の舞台で大きな宿題をもらった。春の舞台で宿題の答えを出したい。

関東王者の左腕・早川の復活に期待

 敦賀気比(福井)のエース山崎颯一郎(2年)は昨夏の甲子園で最速144キロを計測。2イニングで4三振を奪うなど大きな経験をした。秋は夏から続いていた体重減でスピードが落ちたことを気にしていたが、神宮で復活の兆しを見せた。高松商に敗れ準優勝に終わり涙を流したことを糧に、初めてとなる春のマウンドに雪辱を期す。

 関東王者に輝いたのが木更津総合(千葉)の142キロ左腕・早川隆久(2年)。神宮では大阪桐蔭に敗れたが、腰に疲労を感じて関東大会でのピッチングには程遠かった。冬を越えて腰の不安を解消できているか。

完成度の高い明石商・吉高

昨秋はイニング数を上回る三振を奪った花咲徳栄・高橋。2季連続甲子園出場でさらなる成長した姿を見せる 【写真は共同】

 明治神宮大会出場組以外では、完成度の高い投手、実績のある投手に目がいく。明石商(兵庫)を初出場に導いた右腕・吉高壯(2年)は、170センチ70キロの体格からのスプリットが武器で、「秋の段階であのスプリットを打ち崩せる打者は少ない」と対戦したチームの監督は口にしていた。八戸学院光星(青森)の桜井一樹(2年)は制球力が武器で球数を要さずに打たせて取るタイプの右腕。東北大会では準々決勝と準決勝で連続完封を果たした。

 関東・東京地区でラスト1枠を射止めた花咲徳栄は、エース左腕・高橋昂也(2年)の存在が大きい。秋の公式戦は7試合48回を投げて防御率1.50。投球回数を大きく上回る55個の三振を奪い、選考委員会では「右打者内角への速球とスライダー、フォークなど球に力があり、全国クラスの本格派」と評価された。リリーフとしてマウンドに立った昨夏の甲子園では、準々決勝で優勝した東海大相模(神奈川)に無念のサヨナラ負け。今年こそ悲願の全国制覇を目指す。

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著者プロフィール

 1980年12月5日生まれ。小学校時代はリトルリーグでプレーしていたが、中学時代からは野球観戦に没頭。極端な言い方をすれば、野球を観戦するためならば、どこへでも行ってしまう。2004年からスポーツライターとなり、野球雑誌『ホームラン』などに寄稿している。また、2005年からはABCテレビ『速報甲子園への道』のリサーチャーとしても活動中。

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