受け継がれる森、野村、仰木の遺産  ビジュアルで指導者の出身球団を考察

ベースボール・タイムズ
 11月、長いシーズンを戦い終えた各球団は、早くも新体制の下での秋季キャンプを行い、2016年へ向けた準備を進めている。その第一段階となるのが、監督も含めた球団の新たなコーチ人事である。首脳陣が一枚岩にならなければ、監督がどれだけ懸命に笛を吹いても選手たちは踊らない。まずは12球団のコーチングスタッフを、その“出身球団”という視点で比較し、検証してみたい。
(注)出身球団は、現役時代の最長所属球団とする(同年数の場合は出場試合数の多い方を優先)

全体の半数が西武&ヤクルト出身監督

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 まずは12球団の監督を見てみたい。今オフ、新たに巨人・高橋由伸、阪神・金本知憲、横浜DeNA・ラミレス、オリックス・福良淳一、東北楽天・梨田昌孝と5人の新監督が誕生。40歳の高橋監督が12球団最年少監督となり、ラミレスもそれに次ぐ41歳。この2人を含めて40代が計7人というフレッシュな顔ぶれがそろう。

 そして、その出身球団を見ると、埼玉西武、東京ヤクルト勢が各3人ずつ。東北楽天の大久保博元監督が退任したが、それでも福岡ソフトバンク・工藤公康、千葉ロッテ・伊東勤、埼玉西武・田邊徳雄と、80年代から90年代の西武黄金期を支えた3人が来季も監督としてパ・リーグの覇権を争う。

 その一方で、北海道日本ハム・栗山英樹、ヤクルト・真中満、DeNA・ラミレスの3監督がヤクルト出身。特に「真中vs.ラミレス」の元同僚対決は一つの注目点。この他にも、「高橋vs.ラミレス」の元巨人対決、「金本vs.緒方(孝市)」の元広島対決という注目の対戦が何度も展開されることになる。

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 次にコーチングスタッフ全員を見ると、王者ソフトバンクが計24人の監督、コーチのうちの42%となる10人が自球団出身(南海、ダイエーを含む)である一方で、その他の14人を外部から招聘。出身球団は12球団最多タイとなる9球団に及ぶ。現役時代にセ・パ4球団を渡り歩いた工藤監督の人脈と、実力主義を掲げる球団フロントの意図がコーチ人事にも反映されていると言える。

 パ・リーグのみならず12球団で最も自球団出身者が多いのがオリックスだ。今オフにコーチ陣を一新し、酒井勉投手コーチ、田口壮2軍監督など、全体の84%(19人中16人)がオリックス出身者(阪急を含む)。ヘッドコーチにロッテ出身の西村徳文、打撃コーチには広島出身の高橋慶彦と一部で“外様”を登用したが、それ以上に伝統の復活と継承が期待される。

 その一方で、楽天は梨田監督の就任で近鉄色を強めると同時に、中日出身の与田剛投手コーチ、ヤクルト出身の池山隆寛打撃コーチなどの外部出身者も積極的に登用。今年までとはまた違った雰囲気になりそうだ。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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