“ミスタープロレス”天龍がオカダ戦で引退 諏訪魔と藤田が初遭遇も遺恨は消えず
昭和を代表するプロレスラー・天龍源一郎が多くのファンに見守られる中、引退試合を行った 【横田修平】
天龍はメインイベントで、自ら対戦相手に指名した新日本プロレスのオカダ・カズチカと最初で最後の一騎打ち。オカダのレインメーカーに散るも、最後まで勝負にこだわり、昭和を代表するプロレスラーとしての生き様を刻み付けた。
オカダ渾身のレインメーカーで散る
オカダ渾身のレインメーカーが炸裂し、天龍は最後の3カウントを聞いた 【横田修平】
天龍は引退にあたり、最後の相手にオカダを指名。オカダが12年、13年にプロレス大賞MVPを受賞した際、過去に連続受賞した天龍、猪木、ジャンボ鶴田さんに対し、「オレと同じ時代じゃなくて良かったなと思います。オレと同じ時代じゃ連続受賞なんて無理でしたし」と発言したことに、天龍が「こいつだと思った」と決意。自ら8.16新日本・両国大会に赴き、オカダに対戦を直訴したことで、オカダも承諾した。
デビュー戦で着た青いガウンに黒のショートタイツ姿で入場した天龍は、場外のオカダにレインメーカーポーズを見せ付けて挑発すると、事前に予告していた「サッカーボールキック、グーパンチ、のど元チョップだけで勝負をつける」という技に加え、WARスペシャル、パワーボム、さらにはこの日のための新技を炸裂。オカダはこれらの技をすべて受けきった上で、ドロップキック、ダイビングエルボードロップで応戦し、グーパンチには自ら顔面を突き出して見せると、渾身のレインメーカーで引導を渡した。
天龍「オレは本当に幸せ者です」
「リングに立ってみんなから拍手をもらえた。それだけで幸せ」と語った天龍 【横田修平】
バックステージで「悔しいです。でも、この体の痛さに、今までの俺の人生のすべてのものが詰まってます」と、引退試合を振り返った天龍は、最後の相手を務めてくれたオカダに対し、「このまま行ってもらい、引っ張ってもらいたい」とプロレス界の未来を託した。
レインメーカーで意識が吹っ飛び、3カウントが入った瞬間が分からず、まだ引退の実感も沸かないものの、「リングに立ってみんなから拍手をもらえた。それだけで幸せ」と、恩師ジャイアント馬場さんや最大のライバルジャンボ鶴田さんなど、引退試合を行うことなく志半ばにリングを去ったかつての仲間に思いを馳せた。
一方、試合後、倒れたままの天龍に向かって深々と頭を下げ、最敬礼でリングを去ったオカダは「平成のプロレスのオレから見ても、昭和のプロレス、天龍、あっぱれだったよ」と、初めて触れたミスタープロレスの懐の深さに敬意を表した。