ビジュアルで見るFA制度の23年間 補強の有効性と成否を考える
獲得は巨人、放出は西武が最多
【ベースボール・タイムズ】
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一方、これまで最も多くFAで他球団に移籍した選手が多い球団は西武で計13人(工藤公康、石毛宏典、清原和博、松井稼頭央、豊田清、和田一浩、土肥義弘、細川亨、許銘傑、帆足和幸、中島裕之、片岡治大、涌井秀章)。また、強化方針としてFA市場に消極的な球団もあり、日本ハムは計11選手(河野博文、片岡篤史、小笠原道大、岡島秀樹、藤井秀悟、森本稀哲、建山義紀、田中賢介、鶴岡慎也、大引啓次、小谷野栄一)を放出したが、獲得したのは稲葉篤紀のみ。広島もこれまで計7選手(川口和久、江藤智、金本知憲、黒田博樹、新井貴浩、高橋建、大竹寛)を放出したが、昨オフにメジャーでFAとなっていた黒田博樹の“男気復帰”が初のFA選手の獲得だった。
その他、球団間の移動を見ると、西武からダイエー・ソフトバンク(工藤公康、石毛宏典、細川亨、帆足和幸)、オリックスから阪神(石嶺和彦、山沖之彦、星野伸之、日高剛)が最多の4人。阪神から巨人、巨人から阪神のFA移籍は過去に一例もない。
谷繁が移籍後の最長在籍者
【ベースボール・タイムズ】
最も長い在籍年数を誇ったのが、来季は監督業に専念する谷繁元信だ。移籍後14年に渡って扇の要としてチームを支え続けた。さらに在籍10年を数えた稲葉篤紀、金本知憲の2人も移籍先でレジェンド級の活躍を披露。稲葉は日本ハムの計4度のリーグ優勝に貢献し、金本は阪神を2度の優勝に導くとともにシーズンMVPも受賞(05年)した。MVPで言えば、中日に移籍した和田一浩も移籍3年目に受賞(10年)、日本ハムでMVPを受賞した直後に巨人に移籍した小笠原道大は、移籍初年度(07年)にいきなりMVPを受賞するとその後も不動の主軸として出色の働きを見せた。
大成功の裏で3年以内退団も半数近く
【ベースボール・タイムズ】
FA権を獲得するほどの選手である。経験、実績がある分、チームに加われば必ずや戦力アップにつながるだろう。何より、即効性がある。しかし、過去に大成功の例がある一方で、FA移籍後に3年以内に退団した選手は、現段階の54人中26人に上る。この数字をどう判断するか。今年も交渉解禁となったFA市場だが、各球団は財布の中身とともに、長期的視野に立ったチームマネジメント力が問われることになるだろう。
(文:三和直樹、グラフィックデザイン:山崎理美)
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