ハリルホジッチ「目的を果たせた」 W杯アジア予選 シリア戦後会見

スポーツナビ

「ロジカルな勝利だったと思う。これがわれわれの目的だった」と試合内容に評価を示したハリルホジッチ監督 【写真は共同】

 サッカー日本代表は8日、オマーン・シーブスポーツスタジアムでシリア代表とのワールドカップ(W杯)アジア2次予選兼アジアカップUAE2019予選に臨み、3−0で勝利した。ロングボールを中心に仕掛けてくる相手に対し、落ち着いて守備から試合に入った日本はスコアレスで試合を折り返すと、後半10分に得たPKのチャンスを本田圭佑が冷静に沈めて先制する。これで勢いに乗った日本は、岡崎慎司、宇佐美貴史が立て続けに追加点を奪い勝利。首位攻防戦をモノにした日本がグループEの首位に立った。

 試合後、日本のヴァイッド・ハリルホジッチ監督は「ロジカルな勝利だったと思う。これがわれわれの目的だった」と試合内容を評価した。しかし、「前半は満足していない」「少しプレッシャーを感じていたのかもしれないし、テクニックも習慣化されていない印象だ」「まだまだ向上の余地がある」と今後の戦いを見据え、気を引き締めるコメントも残した。

 日本は10月13日、国際親善試合でイラン代表とアウェーで対戦する。

考えていた以上に難しいチームだった

ハリルホジッチ監督は、「チャンスをいくつも作ってくれた」と途中出場で3点目を挙げた宇佐美(中央)に賛辞を贈った 【写真は共同】

 ロジカルな勝利だったと思う。これがわれわれの目的だった。前半は満足していないが、その後修正した。後半はゲームコントロールの面、特にゴールを決めるところでよくなった。初めてPKを取ったが、それも含めてこの勝利はわれわれに良いものをもたらした。ただチームはもっと向上すると思う。この勝利のスパイラルを続けなければならない。

──後半の修正点は?(大住良之/フリーランス)

 特にボールを使ってゲームを支配することだ。われわれは簡単なパスミスをしていたが、グラウンドが柔らかく疲労もあったと思う。背後へのプレーがなかなかできず、足元で(ボールを)もらうシーンが多かった。そのため、相手は後ろに残った状態のまま前に向かって守備ができた。後半はいくつかの良いアクションがあったが、ワンタッチを伴ったプレーをすることでかなりのチャンスが作れた。左からの素晴らしいアクションで点が取れなかったのが残念だが、そうしたプレーがわれわれのプレーのアイデンティティーとなる。繰り返しになるが、このチームはまだまだ向上の余地がある。われわれのグループで一番難しい相手に勝つという目的を果たすことができた。ただし(選手は)少しプレッシャーを感じていたのかもしれないし、テクニックも習慣化されていない印象だ。後半、より多くのものをもたらしてゴールにつながった。

──ハーフタイムの修正によって勝利できたことをどう評価するか?

 何人かの選手に修正を加えた。山口(蛍)、長谷部(誠)と(香川)真司。さらに本田と原口( 元気)。彼らが広がった状態になって、足元でもらう動きが多かった。岡崎と真司、本田、原口には、お互いもう少し近くでプレーするように要求した。個人よりも組織のアクションが増えると考えたからだ。人が動いて、もっとボールが動くことを要求した。

──PKを初めて獲得できた要因と意義は?

(笑いながら)10試合で1回取れたような感じのPKだった。ただ私はずっと、16メートル(ペナルティーエリア)の中に入った時にはPKを誘うように言い続けたが、ようやくそれが実現した。16メートルの中でまだまだアグレッシブさが足りない。特にデュエル(1対1の勝負)の部分でだ。シリアはかなり戦うチームで、最後の最後まで諦めなかった。われわれが考えていた以上に難しいチームだった。後半は、われわれの経験とテクニックでゲームを支配できたが。あと2〜3回は、われわれには良いアクションがあったので、そこで(点が)取れればという希望はあった。次のイラン戦に向けてまた修正していきたい。

──縦の攻撃が少なかったのはリスク管理で慎重になったからか?

 おっしゃるように、背後(をとること)を求めたわけだが、そのためにハーフタイムで指示を加えた。少し相手ゴールを背負った状態で、お互いが広がり過ぎていた。そして相手は、しっかり戦う意識があり、それをブロックしてきた。また、われわれのパス交換が正確でなかったため、プレースピードが上がらなかったという分析をしている。中盤と前線に修正を加えたことで、後半には日本の真のイメージを皆さんにお見せすることができたと思う。

 それから宇佐美、清武(弘嗣)、武藤(嘉紀)は(途中出場で)良い入りをしたことを付け加えておきたい。われわれが求めるスピードを彼らはもたらしてくれた。宇佐美はチャンスをいくつも作ってくれた。左からの素晴らしいアクションで、ゴールを奪えなかったのが残念だった。

──今日の試合を踏まえてイランとどう戦うのか?

 ちょうどイランが試合をしているので、そのビデオを見て分析する。かなり強いチームだし、(ホームスタジアムには)8万人くらい入ると聞いている。まったく違う試合になると思う。レベルの高い試合になるが、もっともっとわれわれはレベルを上げていかなければならない。

シリア代表、ファジル・イブラヒム監督のコメント

 日本は非常に良い試合をした。日本とシリアを比べた場合、すべてにおいて日本が上だった。うちの選手も頑張ったが、ディフェンスラインのミスが失点につながった。特に1点目が痛かった。しかしこれがサッカーだ。たくさんチャンスを作ったことについては満足している。

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