前年度覇者の潮崎が秋山に敗れ1回戦敗退=全日本プロレス王道トーナメントが開幕

高木裕美

前年度覇者の潮崎が秋山の前に1回戦敗退に終わった 【横田修平】

 全日本プロレス「第3回王道トーナメント〜2015オープン選手権〜」開幕戦となる10日の東京・後楽園ホール大会では、741人を動員した。この日はトーナメント1回戦3試合が行われ、メインイベントでは、昨年度覇者の潮崎豪が秋山準に敗北。早くも1回戦で姿を消した。

潮崎の豪腕ラリアットをニーで返す

潮崎も強烈なチョップなどで反撃したが・・・ 【横田修平】

 潮崎は8.15名古屋大会での一騎打ちでは秋山に敗れたものの、8.29後楽園大会での世界タッグ王座戦では借りを返してベルトを奪取。しかし、敗れてもなお挑発的な発言をぶつけてきた秋山は、この日も先輩ならではの上から目線。プランチャで飛んできたところをヒザ蹴りで迎撃しアゴを破壊すると、エクスプロイダー2連発、フロントネックロック、リストクラッチ式エクスプロイダーなどの大技を惜し気もなく炸裂。潮崎もゴーフラッシャー、豪腕ラリアットで形勢逆転を狙うが、秋山がカウンターのニーを突き刺し、すかさずランニングニーでフィニッシュ。

秋山「社長でもいち選手」

最後はランニングニーでフィニッシュ 【横田修平】

 3年目にして初めて1回戦を突破した秋山は、前シリーズでの潮崎との抗争を通じて、自分自身にもう一度灯をともされたことを実感。「社長になって一歩引いてっていう気持ちはあったけど、自分自身の社長としての気持ちではいち選手。社長からの命令ですよ(笑)」と、まだまだ隠居せず、第一線でガンガン活躍する姿勢を訴えた。一方、敗れた潮崎は、痛む体を引きずるようにしながら、ノーコメントで引き揚げた。

石川が元三冠王者を撃破

石川は元三冠ヘビー級王者でもあるベテラン大森を下して1回戦突破 【横田修平】

 セミファイナルでは、ユニオンプロレスの石川修司が大森隆男を撃破。今年1月の初登場以来、スポット参戦ながら高評価を得ていた石川が、一気に存在感を見せ付けた。

 石川は元三冠ヘビー級王者でもあるベテランに対し、臆することなく巨体を生かした豪快なファイト。大森のアックスボンバーを切り返し、逆に場外マット上へジャーマンスープレックスで投げつけると、パイルドライバーを食らいながらも、お返しのパワーボム、ジャイアントドライバーを繰り出し、落差十分のシットダウン式パワーボムで勝利。

「王道トーナメントは一番デカくて強いヤツを決める戦い。あと3つ勝って、輝きたい」と優勝へ燃える石川は、「まだまだ伸びしろがあるんで、一気に駆け上がりたい」と頂点獲りに血をたぎらせた。

火野がゼウスとのチョップ合戦制す

パワーファイター同士の互いの意地と情熱をぶつけ合う一戦は、火野がラリアットで制した 【横田修平】

 ゼウスvs.火野裕士によるパワーファイター対決は、観客もシビれる大チョップ合戦に発展した。

 9月から正式に全日本所属となったゼウスに対し、KAIENTAI−DOJOの前STRONGESTーK王者である火野も一歩も引かず。互いの意地と情熱をぶつけ合うかのような火花飛び散る逆水平チョップ合戦から、ゼウスがチョークスラムを放つと、火野もバックドロップからカウンターのラリアットで一気に勝負を決めた。

「強いヤツと楽しい試合、オモロイ試合をやるのがモットー」と、今回のトーナメント参戦で火が点いた火野は、「すごいヤツらが いっぱいいるかも知れないけど、その中でも自分が一番目立ってやる」と、主役獲りを宣言した。

激しくやり合った曙と諏訪魔

お互いライバル意識を前面に出して激しい試合を展開した三冠王者・曙と諏訪魔 【横田修平】

 現三冠ヘビー級王者であり、2年ぶりの優勝を狙う曙は、吉江豊、金丸義信と組んで、諏訪魔、青木篤志、佐藤光留組と対戦。前日の記者会見で舌戦を繰り広げ、この日の試合前に行われた入場式でも因縁を吹っ掛けてきた諏訪魔と激しくやり合った。

 曙は売られた喧嘩は買うとばかりに、リングインと同時に諏訪魔を急襲すると、諏訪魔も場外でイスを振り下ろし、天龍源一郎ばりにペットボトルの水を投げつけて大暴れ。しかし、曙は「体の小さい人に大きい人がやればどうなるのか教えたかった」という、気迫のこもったジャンピングエルボードロップで、元横綱としてのプライドを誇示した。試合は金丸が佐藤から3カウントを奪って決着がつくも、収まらない曙と 諏訪魔は試合終了のゴングが鳴らされた後も大乱闘となった。

諏訪魔が暴走専務ぶり発揮

場外でも激しくやり合った曙と諏訪魔 【横田修平】

 曙は「口では秋山、秋山と言いながら、オレに突っ掛かってくる。何考えてるのか分からない」と困惑しながらも、「トーナメントでは諏訪魔も全員叩き潰して、挑戦者を出てこなくする」と、三冠王者としての優勝を宣言。一方、諏訪魔は「横浜でぶっ潰してオレが優勝。そのあと三冠のベルトを獲って全日本を面白くする」と、閉塞感が蔓延した全日本マットに、あえて派閥闘争を持ち込んで地殻変動を起こそうとした意図を明かしつつ、「三冠を獲って社長を潰しに行く!」と、暴走専務ぶりを遺憾なく発揮した。
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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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