日本人に愛されるサイパンマラソン アットホームで走りやすいコースが人気

南井正弘

【南井正弘】

 今年で第10回を迎えたサイパンマラソンが4月25日に行われた。ミクロネシア地域屈指のランニングイベントであり、10km、ハーフマラソン、フルマラソン、50kmとランナーの走力に合わせて豊富なコース距離を取りそろえている。

 このレースは地元のランナーはもちろんのこと、日本から3時間前後とフライト時間も短いこともあり、数多くの日本人ランナーに愛されてきた。近場の海外レースでは最も長い歴史を誇り、アットホームな雰囲気で、エイドステーションも多く、50kmを除くとフラットで走りやすいコースなので、リピーターも少なくない。

 そんなサイパンマラソンの魅力を、昨年に引き続き参加したフリーライターの南井正弘がリポートする。

レースシーズンの終盤に開催

 ランナーにとって3月、4月というのは一般的にレースシーズンの終盤にあたる。10月あたりにシーズンインすると、2月くらいまでは各レースに頻繁にエントリーするが、競技の特性上、気温が上がるとタイムが出にくくなるので、5月から9月くらいまでは日々のランは続けるものの、レースエントリーは控えるランナーが多い。それ以前に、この時期にレース自体が少ないというのもあるが。

 そんなシーズン末期に行われるサイパンマラソンは、地元ランナーにとっての晴れ舞台であるのみならず、日本人ランナーにとっても重要な役割を果たしてきた。以前は3月に開催され、昨年より4月開催となったサイパンマラソンは、「今シーズンこそフルマラソンデビューを果たす!」「今シーズンの最終レースはリフレッシュも兼ねて近場の海外レースにエントリーしよう!」といった日本人ランナーの要望に応えてきた。

 筆者は昨年、初めてサイパンマラソンのハーフマラソンの部に参加したが、数多くの海外レースに参加してきた自分にとっても新鮮なことが随所に見られた。フルマラソン、50kmは4時30分にスタート(ハーフマラソンは5時45分)と、これまでにないほど早い時間のスタート。気温が上昇する前に距離を稼いでもらおうという意図で、走っている途中で夜が明けるのは感動的だった。

 今年はさらにスタート時間が早くなり、フルマラソン、50kmは4時、ハーフマラソンは5時30分となった。この時間でも気温、湿度とも高いので、給水は重要なポイントになるが、サイパンマラソンはエイドステーションの数も多く、水、スポーツドリンク、バナナ、オレンジ、身体を冷やすスポンジが用意されているので、暑い中のレースに対する対策も万全だ。

フレンドリーなボランティアスタッフ

子供たちもボランティアスタッフとして参加するなど、サイパンマラソンはフレンドリーな雰囲気もいい。冷水を含ませたスポンジは暑いなかでのランニング時にリフレッシュ効果があるだけでなく、首の後ろなどを冷やすことで熱中症の予防にもなる 【南井正弘】

 そしてこのレースの魅力の1つが、エイドステーションのボランティアスタッフがフレンドリーだということ。ランナーの数に対してスタッフの数が多いので、ランナーが水やフルーツを受け取っただけで、「私から受け取ってくれた!」と喜んでくれるのは、本当に微笑ましいし、ランナーも元気になる。

 このアットホームな雰囲気に魅せられて、毎年日本から参加しているお年寄りのランナーも少なくない。サイパンマラソンは高温多湿のなかで行われるが、親しみあるボランティアスタッフのおかげで上位進出を狙うランナーもマイペースで走るランナーも、それぞれが楽しそうに走っているのが印象的だ。

梅干しを供するエイドステーションもあり、汗とともに排出された塩分の補給に最適 【南井正弘】

水、スポーツドリンク、フルーツが提供されるエイドステーションの数も多く、暑い中でのレースだが、安心して参加することができる 【南井正弘】

1/2ページ

著者プロフィール

フリージャーナリスト。1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツブランドのプロダクト担当として10年勤務後、ライターに転身。スポーツシューズ、スポーツアパレル、ドレスシューズを得意分野とし、『フイナム』『日経トレンディネット』『グッズプレス』『モノマガジン』をはじめとしたウェブ媒体、雑誌で執筆活動を行う。ほぼ毎日のランニングを欠かさず、ランニングギアに特化したムック『Runners Pulse』の編集長も務める

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント