木村“フィリップ”ミノル インタビュー「K-1は俺が上に行くためのストーリー」

K-1実行委員会

7.4K−1でオランダのマサロ・グランダーと対戦する木村“フィリップ”ミノルが意気込みを語る 【(C)K-1実行委員会】

 7月4日(土)東京・国立代々木競技場第二体育館で開催される「K−1 WORLD GP 2015〜−70kg初代王座決定トーナメント〜」のスーパーファイトでオランダのマサロ・グランダーと対戦する木村“フィリップ”ミノル。新生K−1の全大会に出場し、1月には王者ゲーオ・フェアテックスに勝利、4月にはHIROYAをKOで下すなど絶好調の木村は「70kgのトーナメントより盛り上がっているみたいでゴメン(笑)」と大会の主役の座を奪い取る構えだ。

ゲーオ戦とHIROYA戦では新たな気づきもあった

HIROYAをKOした「手応え十分」の左フック 【花田裕次郎】

――まだ左目尻にHIROYA戦の傷跡が残っていますね。

 そうですね。最後のバッティングでできた傷です。

――HIROYA戦の試合映像はご覧になりましたか?

 はい。結果が良かったからいいですけど、もっともっと違った展開にできたなと思います。自分が狙っていたのは最終ラウンドまで完封して心を折るような試合だったので、その点(HIROYAが)倒れるのが早かったですけど、それはしょうがないのかなと思います。

――合計3度のダウンを奪ってのKO勝利でしたが、倒したパンチはいつも通り手応えがありましたか?

 1回目のダウンはドンピシャリのタイミングで当たった分、相手が吹っ飛んでしまったので手応えはなかったです。2回目もかすったくらいで倒れたパンチだったので手応えはなかったかな。逆に3回目の左フックはものすごい手応えがありました。

――専門誌でもHIROYA選手の顔が木村選手の左フックで変形している写真が掲載されていましたね。

 むっちゃ顔が歪んでいた写真ですよね? でもストレート系のパンチは手応えがない方が効くので、手応えがなくても効いているだろうなと思いました。

――試合そのものは両者の入場から非常に盛り上がったと思います。

 あれがK−1ですよ。他のリングであれができるか?って言ったらできないだろうし、あれはK−1にしかできない盛り上げ方だと思います。そこはHIROYA選手のおかげでもあるんですけど、やっている本人は楽しかったですよ。

――木村選手の試合を振り返ると昨年11月、今年1月、そして4月と、どの試合も違うテーマがある試合でしたよね。

 そうですね。毎回違うテーマとストーリーがあって、どの試合も同じようなストーリーではなかったので、それが楽しいですし、自分にとっても勉強になってプラスになります。

――今回のHIROYA戦は今まで以上に反響もあったのではないですか?

 むっちゃありましたよ。急にどうした?って感じで(笑)。倒し方もエグい倒し方だったので『どうして急にそんな強くなったの?』と聞かれたし、前回はむっちゃ頑張りましたから。

――K−1参戦によって一ファイターとしてはどんな変化がありますか?

 一戦一戦できることは全部やってリングに上がっているんですけど、ゲーオ(・フェアテックス)戦とHIROYA戦では新たな気づきもあって、いつもよりもプラスされて良い仕上がりになっていました。だから不思議と負けないだろうなと思っていたし、HIROYA戦はそれが良い形で発揮されたので、それもまた勉強になりました。自分には良いところも悪いところもあると思うので、次に活かして進化していかなければいけないと思います。

俺に喧嘩を売ったことを一生後悔させる

【(C)K-1実行委員会】

――その次の相手がマサロ・グランダーに決まりました。4月大会では野杁正明選手にTKO勝利し、一夜明け会見で「キムラはショーマンだ」と噛みつかれた相手です。木村選手はあの時、会見場にはいなかったんですよね?

 はい。あとでいろいろと人から話を聞いたり、記事を見て、知りました。まぁ、うれしいですよ、そうやって言ってくれるのは。ただ喧嘩を売られたからには、それを買って後悔させる……一生の後悔をさせます。二度とリングに立てない身体にしてやろうと思うし、赤っ恥をかかせてリングから降ろします。

――今まで木村選手は対戦相手から挑発されることはなかったと思います。

 やっと俺も言われる側になったか、みたいな(笑)。(グランダーは)まだ20歳ですし、一回(悔しい想いを)経験させておかないとね。俺も通った道だから。

――木村選手がKrush−63kg級タイトルマッチで王者・山崎秀晃選手にKO負けしたのは20歳の時ですか?

 そうです。まあでも俺は“言う”ことは好きだから、ああいう選手は好きですよ。ただそこで痛い目を見ないと成長できないよって感じです。

――グランダーについてはファイターとしてどんな印象を持っていますか?

 まず野杁戦は普通にマサロ・グランダーの完封です。ヒザ蹴りでカットしなくても、あのまま試合が進んでいたらマサロ選手の勝ちですよ。(グランダーが)パワーで勝っていたとかではなくて、技術の差で完封していたので、その延長線上にあったカットです。

――ファイターならそれが分かる、と。

 少なくとも俺は分かります。でも彼(グランダー)はそれが分からなくてラッキーパンチとか言うわけじゃないですか? だからその差が試合で出ますよ。俺は全部(技術を)理解してリングに上がっているから。

――例えば木村選手は自分が倒したパンチはちゃんと理論立てて説明できますか?

 全部説明できますよ。俺にラッキーパンチはないから。もし彼が俺をラッキーパンチと言うんだったら、俺は何回もラッキーを起こせます。俺と当たってアンラッキーだったってことを分からせますよ。

――この試合は正式決定する前から「見たい」という声が多かった試合ですが、そういった盛り上がりは感じますか?

 感じますね。70kgのトーナメントより盛り上がっているみたいで、またまた主役を取っちゃってゴメンみたいな(笑)。でもその方がいいんじゃないですか? 70kgの選手は責任感を負わなくていいんで。その分、俺が全て責任感を背負って戦いますよ。

――プレリミナリーファイトに出ている平本蓮選手を除いて、木村選手は新生K−1で唯一の皆勤賞です。K−1の人気が徐々に上がっていることを感じていますか?

 感じます、めっちゃ感じます。俺以外に(K−1を)背負う選手がいないじゃないですか? 最速のチャンピオン(武尊)もいると思うけど、また違うと思うんで。ただ強くてガンガン行って、オラーってやって勝って、ワーって泣いて……女性のファンはつくだろうけど、男を引っ張っていくような味はないですよね。そんな感じ。

――60kgには日本が世界に誇るチャンピオンもいますが。

 ん? 60kgのチャンピオン誰でしたっけ?

――……卜部功也選手です。

 彼らがK−1を背負う器じゃないとか、そういうことを俺が言う気にもならないです。俺は一人でやっているつもりなんで。俺がK−1で65kgの強いやつを片っ端から倒すというストーリーを作っているだけ。他に目を向ければそれはそれでストーリーがあるだろうけど、そこは全然見てないです。

――K−1 WORLD GP−65kgは木村“フィリップ”ミノルという一人の主人公によるストーリーだ、と。

 そう。俺がやっているストーリー、俺が上に行くための俺一人だけのストーリーです。

――ではこれからそのストーリーはどう展開していくことになりそうですか?

 ここから高級なドラマが作れると思うし、俺が主人公だったらゲーオも脇役なんですよ。みんなが主人公だと捉えているゲーオも俺の中では脇役。そうやってみんながびっくりするようなことをどんどんやっていきますよ、ものすごいキャストでお送りする盛大なドラマを描いていきます。

――監督・脚本・主演すべて木村“フィリップ”ミノルですね。

 はい。全て俺がやります。

――それでは木村選手のストーリーを楽しみにしている人たちにメッセージをいただけますか?

 みんな日頃はいろんな悩みや辛いこともあると思うけど、一回俺の試合を見に来てって思います。一回でも俺の試合を見に来れば、それを忘れさせるから。みんなで盛り上げて、楽しんで、美味しいお酒を飲んで帰ってもらえれば俺は幸せなんで。そのために全力を尽くします。俺の試合でみんなをスカッとさせますよ。
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