V10王者・内山、圧勝から一夜明けて――=圧巻KO劇と今後の展望語る
試合のカギは相手との距離感
傷ひとつないきれいな顔で一夜明け会見に姿を現したWBA世界スーパーフェザー級王者・内山高志 【スポーツナビ】
まずは昨夜の勝利を振り返ってみたい。フィニッシュブローとなった豪快な右ストレートに目がいきがちだが、そこまでの過程は練習通りのKO劇だった。サウスポーでアウトボクサーのジョムトーンは、スキを見つけるとぐいぐい前に出て一気にペースを握るタイプ。2013年の大みそかに内山からダウンを奪った金子大樹をヒット&アウェーで完封(判定3−0の勝利)している。内山陣営は相手パンチの射程圏を外すために強い右ストレートを当てて警戒させて、相手の距離を潰すことが試合のカギと見ていた。
練習通りのワンツーでフィニッシュ
ジョムトーン対策として、ワンツーの練習ばかりしていたという内山。見事練習通りのワンツーで試合を決めた 【花田裕次郎】
そして「1Rに右ジャブをもらってスピードとタイミングが分かった」という内山は2R、ジャブの差し合いから自分のパンチの射程圏内に入ってワンツー。1Rのリプレーを見るかのような、「骨に当たる感触があった」一発に、ジョムトーンは大の字にダウン。レフェリーも10カウントを数えることを止めて試合を終了させた。久々に打ち抜けたという右ストレートに、「今のウチヤマはすごいと思わない」と戦前語っていたジョムトーンもさすがに「パンチが思ったより重かった」と認めるしかなかった。ちなみに打った本人も家に帰って試合の映像を見て「練習どおりのパンチだった。自分でも思いましたもん。これは絶対痛いわって」と豪快に笑っていた。
ぎっくり腰とプレッシャー
「ムエタイの選手に世界チャンピオンが負けていられないというプレッシャーがあった」という内山。圧巻の2回TKO勝利で10度目の防衛に成功した 【花田裕次郎】
「ラスベガスで名を馳せたい」
ワタナベジムの弟分で、KOで初防衛を果たしたWBA世界ライトフライ級王者・田口良一と一緒に記念撮影 【スポーツナビ】
対戦相手としては、「4団体統一でもいいし、WBAには正規や暫定王者がいるのでそれを潰してもいい。海外の強豪とやるのも面白い」と希望を明かした。そして「ちょうど今回もいい勝ち方ができたので、内山はやっぱり強いなというイメージが残っているうちに、ラスベガスでみんなが盛り上がるような強い選手とやって名を馳せたい気持ちはある」とボクシングの本場アメリカ・ラスベガス進出への夢を口にした。
具体的には、1階級下ながらスーパーフェザー級転向もあるWBA世界フェザー級王者で25戦無敗(25勝・21KO)のニコラス・ウォータースや、アテネ五輪金メダリストで元WBA3階級(フェザー、スーパーフェザー、ライト)王者ユリオルキス・ガンボアの名前を挙げた。前日にゲスト解説で会場を訪れていたWBC世界スーパーフェザー級王者・三浦隆司との再戦については、「三浦戦はファンの中でも見たい人ともういいわっていう人がいるけど、ガンボア戦はみんなも見たいと思う」と特別なこだわりはないことを明言。ただ、「試合が決まって盛り上がれば面白い。僕が一番強い自信があるけど、三浦選手も自信があるはず。試合は楽しみ」と前向きなコメントも残した。
圧巻のKO劇で日本ボクシングファンの度肝を抜いた内山。日本人2位となる10度目の防衛は35歳5カ月という国内最高齢防衛も記録した。希代のボクサーが今後ボクシングファンにどんな夢を見せてくれるのか。楽しみは尽きない。
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