15年は豊作!ドラフトは逸材ぞろい 競合必至の“BIG7”ら注目選手を紹介

週刊ベースボールONLINE

来季ドラフトの最大の目玉に挙げられる明治大・上原(左)と駒澤大・今永 【写真=BBM】

 有原航平に4球団(北海道日本ハム、阪神、広島、横浜DeNA)が競合するなど、大いに盛り上がった2014年のプロ野球ドラフト会議だが、終わった瞬間に早くも15年のドラフト戦線がスタート。各球団の担当スカウトは次なる逸材を求め、全国を駆け巡っているところだ。その15年のドラフトは、まれに見る豊作年となりそう。元巨人チーフスカウトの中村和久氏が来季のドラフト注目選手を解説する。

ドラフト戦線を引っ張る7人衆

高校生では、今夏の神奈川大会決勝で20奪三振をマークした東海大相模高・吉田(左)と、最速152キロを誇る県岐阜商高・高橋が注目される 【写真=BBM】

 各球団の担当スカウトは大変なことになりそうだ。うれしい悩みではあるが、間違いなく激動の年になる。15年のドラフトは逸材ぞろいと言っていい。

 数多くいる候補の中で、15年のドラフト戦線を引っ張る7人衆をまず紹介したい。最大の目玉は上原健太(明治大)と今永昇太(駒澤大)の両左腕。上原の特徴は、190センチから投げ込む角度のあるストレート。最速150キロを超す真っすぐは、打者にしてみれば厄介な球である。さらにカーブやスライダー、チェンジアップなどの変化球も鋭いキレを誇る。
 一方の今永は両サイドに投げ込むコントロールの精度が高く、何より強いハートを持っている。ほとんどのプロ球団が左腕不足で頭を悩ませている中、この2人に手を挙げるチームは多くあるはずだ。競合になってもなんら不思議はない実力をすでに持っている。

 大学球界を代表する“左のスラッガーBIG3”もドラフト最上位候補。東京六大学リーグで史上最速となる3年秋での通算100安打を達成した高山俊(明治大)は、言わずと知れたバットコントロールを持っており、非凡な打撃センスが光るアーチスト・谷田成吾(慶応大)は、天性の飛ばす力がある。そして東都No.1スラッガーの吉田正尚(青山学院大)は最短距離で振るコンパクトなスイングが魅力。類いまれなバッティングセンスを秘めており、大崩れしない安定感も目を引く。この3人は外野守備、脚力のレベルも高い。

 そして残りの2人が高校生の投手。吉田凌(東海大相模高)と高橋純平(県岐阜商高)。松井裕樹(東北楽天)のようなタテに鋭く落ちる吉田のスライダーは大学、社会人にも通用する大きな武器だ。高橋は腕の振りがきれいで指のかかりもしっかりしており、ボールの回転が良い。ストレートに力を持っており、本格派の投手として名をはせるだろう。将来性もあるこの2人の右腕を放っておくスカウトはまずいない。球界を背負って立つ力を秘めている。

 現時点でこの7人が大舞台での実績を積んでおり、ワンランク飛び抜けた存在と言える。だがもちろん、ほかにも逸材はそろっている。

“二刀流BIG3”も注目の高校生

 社会人からは、12年の明治神宮野球大会・大学の部で桐蔭横浜大を優勝に導いた小野和博(富士重工業)、140キロ台後半の直球と多彩な変化球を操る猿川拓朗(日立製作所)、キレのあるストレートとチェンジアップのコンビネーションが巧みな横田哲(セガサミー)、14年都市対抗の若獅子賞(新人賞)に選ばれた横山弘樹(NTT東日本)、ダイナミックなフォームから投げ込むストレートが武器の関谷亮太(JR東日本)の5投手をピックアップしたい。夏の都市対抗、9月の全日本クラブ野球選手権が終わるまでスカウトのチェックが入るため、春先から継続して力を発揮すること、そしてケガをせずに投げることが大事になってくる。現時点では横一線の力量と言えるが、即戦力であることには変わりない。

 大学では最速151キロの多和田真三郎(富士大)、強い腕の振りが魅力の熊原健人(仙台大)、美しい投球フォームをしている桜井俊貴(立命館大)の右腕3人も面白い存在。野手では3拍子そろった大城滉二(立教大)、パンチ力がある横尾俊建(慶応大)らがドラフト戦線をにぎわしそうだ。

 そして高校生。“二刀流BIG3”とでも名付けるのがピンとくるだろう。朝山広憲(作新学院高)、山田知輝(桐生第一高)、勝俣翔貴(東海大菅生高)の3人も非常に楽しみな逸材。現在は投手として活躍しているが、打者としての将来性も豊かだ。勝俣は秋の明治神宮野球大会で存在感を示し、朝山と山田は甲子園ですでにその実力を発揮している。彼ら3人は普段のバッティング練習から細かくチェックを入れなければならない。

 ここまで20人の注目選手を紹介してきたが、今回紹介できていない有力選手もまだまだいる。冒頭でも述べたとおり、スカウトたちは大忙しになるだろう。私がドラフト対象選手を絞るのにも一苦労した。それほど15年のドラフトは豊作と言える。

 ただし、ドラフト戦線は始まったばかり。ここからが大事だ。ケガに気をつけ、自らを追い込んで成長していかなければならない。勝負は「今」であるということを肝に銘じて、トレーニングを積んでもらいたい。

中村 和久(なかむら かずひさ)

1947年10月6日生まれ。三重県出身。高田高から名古屋商科大へ進み、70年にリッカーへ入社して都市対抗2度出場。74年限りで引退後はマネジャー、コーチ、部長代理を経て82年に監督就任。元阪神・中西清起らを育て、84年にチームが活動停止。85年に巨人スカウトへ転じ、87年から9年間は近畿・中国地区を担当、06年から4年間は球団代表直属チーフスカウトに。岡島秀樹、元木大介、橋本清、高橋尚成、阿部慎之助、野間口貴彦、亀井善行、山口鉄也、金刃憲人、長野久義らの入団に尽力した。09年12月限りで巨人を退団し、ベースボールアナリストとして取材活動中。
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