萩野公介、弱い自分と成長した自分 収穫の2シーズンを振り返る
萩野公介が躍進の2年間とリオデジャネイロ五輪への青写真を語った 【中村博之】
しかし、12月3日から行われたカタール・ドーハでの第12回世界短水路選手権で、ついにそのときは訪れた。400メートル個人メドレーでは、ライバルの瀬戸大也(JSS毛呂山)に敗れて銀メダルだったものの、200メートル個人メドレーで1分50秒47の短水路日本新記録を樹立し、短水路とはいえ念願の“世界大会”での金メダルを獲得したのだ。
12年のロンドン五輪400メートル個人メドレーで銅メダルを獲得して以来、常に注目を集めてきた萩野は、世界短水路選手権の結果を含め、自分の成長をどのように捉えているのだろうか。あらためて13年、14年の2シーズンを振り返ってもらった。
400個メは「自分の根っこの弱い部分が出た」
200メートル個人メドレーではロクテ(左)、瀬戸(右)を抑えて金メダルを獲得 【中村博之】
「基本的にチャンピオンより、チャレンジャーのほうが気持ちは楽だと思うんです。チャレンジャーには、勝ちにいく、という明確な目標がある。でもチャンピオンというか、常に世界で勝っている選手というのは、常に何かを背負いながら泳いでいて、絶対に負けられないレースを何回も経験しています。そういった苦しさや辛さを乗り越えていける選手が、強い選手なんだなって。だから、強い選手は精神的にぶれない自分を持っています。状況によって柔軟に対応しながらだとは思うんですけど、やっぱり芯がしっかりしていて、気持ちで負けないのが強い選手だと思います」
今大会、萩野は“400メートル個人メドレーで世界記録”を目指してドーハに乗り込んできた。しかし、その目標は達成できなかっただけでなく、ライバルの瀬戸にも敗れてしまった。だからこそ、本当の意味での強い選手を目指さなければならないと感じたという。
「なかなか自分に絶対的な自信を持てない性格ですし、人間の根っこ、という部分ではすごい弱い部分があるんです。調子は悪くなかったんですけど、400メートル個人メドレーではこの自分の根っこの弱い部分が出たレースだったと思います」