「空中の格闘技」セパタクローに挑戦 アジア大会オススメ競技をDoしてみた(1)

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「アジア版五輪」と呼ばれるアジア競技大会(以下、アジア大会)が9月19日(サッカーは14日)から韓国・仁川で開催される。大会期間の16日間で行われる36競技439種目の中には、セパタクロー、武術太極拳、カバディといったアジア大会ならではの競技も行われ、五輪とは一味違う「アジア色」を出している。

 今回、スポーツナビDoではそのアジア大会ならではのオススメ競技に注目。自ら体当たりで挑戦し、その魅力を伝えていく覚悟を決めた。栄えある第1回は「空中の格闘技」セパタクロー。その全貌やいかに――。

コートの広さはバドミントンと一緒

今回は日本代表の寺本進選手(中央)に講師を務めてもらい、セパタクローを体験してみた 【スポーツナビDo】

 普段、なかなかお目にかかる機会がないセパタクロー。「足でやるバレーボール」という漠然とした競技イメージはあるものの、細かいルールを知っていたり、実際に体験したことがある人は少ないのではないだろうか?

 僕自身、4年前に行われた前回のアジア大会(中国・広州)で取材する機会があったものの、残念ながら試合を見に行くことができなかった。かくいう自分は、中学生のころからサッカー部で、最近でもフットサルなどに興じており、それなりに「うまくできるのでは?」という自信もあったり……。ということで、今回の体験取材に出掛けた。

 取材に訪れたのは東京都武蔵野市にある亜細亜大学の体育館。ここではアジア大会に臨む日本代表選手が自主練習をしていた。体験取材の講師を務めてくれたのは、日本代表のキャプテンを務める寺本進選手。大会前の忙しい時期にもかかわらず、「競技を紹介し、普及させるのも僕たちの役割なので」ということで快く取材を引き受けてくれ、本当に感謝です!

 まずは簡単な競技説明を。「足でやるバレーボール」ということで、手と腕以外の体の部位で、3回以内に相手コート内に返球するのが基本ルール。コートの広さはバドミントンと同じで、ネットの高さも155センチ(女子は145センチ)と、バレーボールよりもコンパクトなサイズとなっている。

 ボールは元々、籐で編んだボール(タイ語で「タクロー」と呼ばれる)を利用していたが、現在はプラスチック製のボールが使われている。サイズは男女で異なるが、円周40センチほどで12の穴が開いていて、重さは170〜180グラム(女子は150〜160グラム)。イメージとしてはソフトボールと同じぐらいのサイズだ。実際にボールを触ると軽くて小さい印象を受けるが、プラスチック製ということで、柔らかさもあるけれど、芯の堅さが特徴的なボールとなっていた。

足に平らな面を作ってボールを当てるのがポイント

コツは足に平らな面を作ること! しかし、これがなかなかに難しい…… 【スポーツナビDo】



 さて、早速ウォーミングアップから。今回は、アラフォーで体力が下り坂の自分だけでは心もとないということで、現役でサッカーを続けている大学生のワタナベ君にも協力してもらい、一緒に体験取材をしてもらった。

「サッカーとは使う筋肉が違うので、十分にストレッチして下さい」と寺本選手。セパタクローの場合、基本的にはボールを真上に上げる技術が必要となるため、インサイドキックで蹴り上げる技術が必要となる。その場合、普通のサッカーより内転筋を大きく動かすので、しっかり伸ばしておくことがケガの防止になるようだ。

 ストレッチ後は、実際にボールを蹴ってみる練習。基本となるインサイドキックの練習ということでリフティングをしてみたが、これがなかなかうまくいかない。普通のサッカーボールなら100回、200回と余裕でできるが(体力と集中力が許せば……)、ボールをまっすぐ蹴り上げるのが思ったより難しく、ボールがあちらこちらと散らばってしまい、最高でも5回しか続かなかった。

「サッカーボールより小さいので、足に平らな面を作るのがコツです。ひざを上げ過ぎず、折りたたんでしっかり面に当てるようにして下さい」(寺本選手)とコツを聞いたものの、どうしてもボールを蹴りにいってしまい、足の平らな面にちゃんと当てるのが難しく、リフティングであたふたしてしまった。一方、同行してもらったワタナベ君もリフティングにはてこずっているようだった(元々、ゴールキーパーだから、しょうがない!)。

 寺本選手は「やっぱり最初は難しいと感じることもあります。でも、そこから毎日少しずつコツをつかんでうまくできるようになることが、競技を楽しんでいくことにもつながります」と、すばらしい金言! 難しいからこそ、うまくできたときの楽しさが倍増するようだ。

サッカー経験がない女子でもコツさえつかめばうまくなる!





 次に、基本となるレシーブとサーブの練習を行う。レシーブは先ほどのインサイドキックを基本にし、向かってきたボールを真上に上げることがコツ。バレーボールと違い、同じ選手が続けて触ってもいいので、まずはボールに触り、1回で返せなくても、もう一度ボールを追いかけて相手コートに戻せばOKとなる。

 基本練習では相手コートからボールを投げてもらい、それを3回以内に返す練習をしたが、これまた思ったとおりにボールを蹴れない! 真上にボールを蹴り上げたつもりが、後ろに飛んでいったり、真横にはじかれたり……。やはりサッカーとは違い、ボールをしっかり足の平らなところで捉えないとコントロールができず、次のプレーにつなげられないのだ。

 僕らの練習するコートの隣では、女子の選手が練習していたが、彼女らはいとも簡単にボールを真上に上げていた。やはりコツをつかめば、それほど蹴る力がなくても、しっかりボールを上げることができるようだ。寺本選手いわく、彼女たちは特にサッカーの経験があるわけではなく、バレーボールやバスケットボール、もしくは運動部に入っていなかったような子もいるという。サッカー経験がなくてもうまくなれるようだ。

 続けてサーブの練習。サーブは各コートの中央に描かれたサービスサークルに片足を置いた状態でサーブを行うが、ボールはセンターラインの両脇にある半径90センチのクオーターサークルから投げてもらう。これを1タッチで相手コートに返すことになる。

 初心者はインサイドキックで返すのが精いっぱいだが、うまくなるとキックボクシングのハイキックの要領で、ネットよりも高い位置でボールを蹴って相手コートに強いサーブを打つのが基本となる。「もちろん、ただ強く蹴り入れるだけでなく、弱く手前に落としたり、コートの隅を突いたり、相手のレシーブを崩すことが大切です」(寺本選手)。このあたりは、ほかのネット競技に近いものがあった。

 サーブに関しては、とりあえず相手のコートに返すことはできるようになり、これで基本練習は終了となった。

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著者プロフィール

習慣的にスポーツをしている人やスポーツを始めようと思っている20代後半から40代前半のビジネスパーソンをメインターゲットに、スポーツを“気軽に、楽しく、続ける”ためのきっかけづくりとなる、魅力的なコンテンツを提供していきます。

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