自分に最適なヨガを選ぼう 第5回「ヨガのスタイルについて」

村上華子

【Getty Images】

気軽で身近なものに定着したヨガ

 約4500年前のインドで“悟りを開く修行”として誕生したヨガは、師から弟子へと脈々と受け継がれながら、時を超えて海を越えて、世界中に広まっていきました。そして現代の日本でも、街のあちらこちらでヨガスタジオの看板を目にするほどポピュラーな存在に。ヨガ愛好家たちのとらえ方も、いにしえのインドで実践されてきた“修行”という超ストイックなイメージから、人生を健康でココロ豊かに暮らすための習慣として、気軽で身近なものに定着していきました。

 ですが、ひと口に「ヨガ」といっても、その実践スタイル(流派)はさまざま。精神性を重視する伝統的なヨガのスタイルの他にも、肉体面を重視しながら、時代に合せて新しい形に変化したものまで多種多様。こんなふうに誰でも無理なく自分のニーズに合ったヨガを選べるようになったところが、現代ヨガシーンの魅力のひとつではないでしょうか。
 とはいえ、選択の幅が広がり選ぶ楽しさがある反面、ヨガビギナーにとってはどんなヨガから始めたらいいのか悩ましいところ……。そこで、今回はヨガスタジオで受講できる、代表的なヨガのスタイルをご紹介! これからヨガデビューを検討している方は、自分に最適なヨガ選びの参考にしてください。

Style of Yoga〜代表的なヨガのスタイル〜

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 ヨガのスタイルにはアーサナ(ヨガポーズ)で心身を鍛錬、浄化するというアプローチの他に、坐法を組み純粋に瞑想するだけのものや、日々の社会生活のなかで“ヨガ的”に生きるという実践方法までありますが、ここでは一般的なヨガスタジオで受講できる、人気のヨガスタイル、7つの特徴をご紹介していきます。
(1)ハタヨガ
「ハ=吸う息(太陽)」「タ=吐く息(月)」を意味し、陰と陽のバランスを作るヨガ。肉体や気の流れを重視するスタイルで、アーサナを実践するすべてのヨガのルーツ。(2)以降でご紹介する流派は、このハタヨガから派生したものです。基本的なアーサナをゆっくりとしたペースで行うので、ヨガ初心者や、ヨガの基礎を総合的に学びたい人にお勧め。

(2)ヴィンヤサ/パワー系ヨガ
「アシュタンガヨガ」や、「パワーヨガ」などを代表とする、呼吸と動作を連動させながら流れるように動く、ダイナミックでエネルギッシュなスタイル。エクササイズ的なボディメーク効果だけではなく、集中力を研ぎ澄ませることから“動く瞑想”とも。アメリカやヨーロッパなど西洋でいちはやく人気を得たヨガスタイル。

(3)アイアンガーヨガ
 伝統的なヨガの体系を継承しながら、解剖学や心理学のエッセンス取り入れて進化したヨガ。ヨガブロックやヨガベルトなどのプロップス(補助具)を多用することで、精神面を安定させながら、姿勢を補正し、スタミナを強化していく。ちなみに、創設者であるB・K・Sアイアンガー師の本『ハタヨガの真髄』はヨガ愛好家の間で大ベストセラーに。

(4)シバナンダヨガ
 元西洋医学の医師だったスワミ・シヴァナンダ師が、古代からあるヨガを科学的に解釈して考案したスタイル。基本となる12のアーサナ実践の他に、プラーナヤーマ(呼吸法)、瞑想、チャンティング(詠唱)、リラクゼーションをバランス良く取り入れることでココロと体の調和を育むことが目的。精神性を意識した、インドの伝統的なヨガのひとつ。

(5)リストラティブヨガ
 疲れを癒し、活力を回復するためのヨガ。“ゆだねるヨガ”とも呼ばれているように、ボルスター(ヨガ用長枕)やブロック、ヨガベルトなどのプロップスを使用しながら、アーサナの姿勢を補助。筋力を使うことなく穏やかに、全身を圧迫&ストレッチすることで、完全なリラックス状態を作り、緊張したココロと体を回復に導く。

(6)骨盤調整ヨガ
 ここ数年で一気にブームとなった、近代的なテーマ系ヨガスタイルのひとつ。体の要である骨盤の調整に効果的なアーサナを行い、全身のバランスを整える。骨盤のゆがみが原因で生じているさまざまな不調を改善する効果があるので、生理不順など女性特有のお悩みを持つ人や、産後のボディラインが気になる人にもお勧め。

(7)陰ヨガ
 ひとつひとつのアーサナを長時間(3〜5分程度)保持することで筋肉をゆるませ、気や血流を促し、体の奥にある骨や関節をつなぐ結合組織にまで働きかける。“静止のヨガ”とも言われており、自分の内面を観察しながら、心身の柔軟さを培う。アシュタンガヨガやその他、パワー系のアクティブな陽ヨガを補うプラクティスとしても最適。
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著者プロフィール

ヨガインストラクター、ライター。2004年にヨガを始め、綿本彰氏のスクールで指導者としてのトレーニングを積む。仲間とともに設立したヨガスタジオ「HAS YOGA(ハスヨガ)」などで指導を行うほか、ヨガコラムの執筆など多方面で活躍。ヨガを通じ、人々の幸せの輪が広がることを願っている。2012年12月に第一子を出産後は、自身の経験を踏まえながらマタニティヨガの普及にも情熱を注ぐ

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