ヨガはよりよく生きるための処世術 基礎・第1回「山のポーズ」

村上華子

【坂本清】

 はじめまして! 今回から毎月1回、ヨガについてのよもやま話をさせてもらうことになりました、インストラクターの村上華子です。早速ですが、皆さんは「ヨガ」と聞いて、どんなことをイメージしますか?

 まずは、美容・健康法、いろいろな形のアーサナ(ヨガポーズ)、リラクゼーション、ヘルシーなライフスタイルといった言葉を連想する人が多いと思います。もちろん、そのすべてが正解!なんですが、実は意外と知られていないのが、ヨガの本質だったりします。

“すべてのものと調和した感覚”を目指して

ヨガの語源はサンスクリット語で「軛を掛ける」という意味の「ユジュ」から来ている 【Getty Images】

 ヨガのはじまりは約5千年前のインド。そのころのインドは、お世辞にも暮らしやすい環境ではなかったと言います。そこで「環境を変えられないのなら、自分が変わろう」という発想転換のもと、インドの土着的な神秘・哲学思想を使いながらココロと体をコントロールする秘術、いわゆる“悟り”のツールとしてヨガが誕生しました。

 ちなみに、ヨガの語源はサンスクリット語で「軛(くびき)を掛ける」という意味の「ユジュ」から来た言葉。軛は荷台を引く牛や馬の首の後ろに掛ける横木のことで、暴れる牛や馬を人間の心にたとえて、心を1点につなぎとめる精神統一法を表しています。

【Getty Images】

 今の時代に「悟り」なんていう言葉を使うと、ちょっと胡散(うさん)臭いような、自分とは関係のない世界の話かな、なんて思われてしまいそうですが……(笑)。ヨガが目指す本質“悟り”を現代風に表現すると、日常生活のなかで“すべてのものと調和した感覚”と言えます。

 その平穏で心地よい調和の感覚を培うために、「アーサナ」「呼吸」「瞑想」というヨガの三大要素を実践して、自分のココロと体の健康を育みながら、他人や物や自然、さらには自分たちが暮らす世界とどうやって調和するかを探求するもの。私の実体験から言わせてもらうと、ヨガはよりよく生きるための処世術なんだと思います。

 とはいえ、「ヨガが処世術」なんて、まだまだピンと来ないかもしれません。この連載コラムを通じて、いにしえのインドから脈々と伝わる伝統的なヨガの魅力を、少しずつ紐解きながら、皆さんに楽しんでもらえたら嬉しいです。

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著者プロフィール

ヨガインストラクター、ライター。2004年にヨガを始め、綿本彰氏のスクールで指導者としてのトレーニングを積む。仲間とともに設立したヨガスタジオ「HAS YOGA(ハスヨガ)」などで指導を行うほか、ヨガコラムの執筆など多方面で活躍。ヨガを通じ、人々の幸せの輪が広がることを願っている。2012年12月に第一子を出産後は、自身の経験を踏まえながらマタニティヨガの普及にも情熱を注ぐ

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