歩きが走りを制する! 走れる体作りは、週末ウォーキングから

青山剛

【青山剛】

 前回は忙しい皆さんのために、正しいランニングにつながる通勤での歩き方を指導させていただきました。今回は、そんな通勤ウォークができてきたら、週末にはジャージに着替えてよりランニングにつながる「運動としてのウォーキング」をしよう、という話です。

 初回にもお話ししましたが、正しく走れるようになるには、まずは正しく立てて、正しく歩けなければなりません。しつこいようですが、この「良い連鎖」を日ごろから意識しなければ正しく走れるようになりません。

「走る前の姿勢」が大事

【Getty Images】

 私はたまに皇居や神宮外苑などを仕事で走るのですが、そこにいる一般ランナーをじっと観察する時があります。どこを見るかというと、ランニングフォームはもちろんですが、そのフォームと「走る前の姿勢」との比較です。
 最近多いのは、会社でパソコン仕事を長時間されてきたのか、その現場に現れるときの歩く姿勢は背中が丸く、しかもスマホをずっと触って下を見ています。そのまま屈伸3回ほど行ったらランニングスタート。これでは言うまでもなく正しいランニングにはつながりません。これが「悪い連鎖」です。

 では、正しいランニングにつながるウォーキングとはどんなフォームでしょうか? 順を追ってチェックしていきましょう。

【青山剛】

・正しい姿勢から一歩をスタートしている

【青山剛】

・前方に視線を向け、ひじを曲げ「曲げ伸ばしをせず」にしっかり引く(ここがポイント)

【青山剛】

・足はとくに意識せず、いい意味で放っておく

【青山剛】

 正しい姿勢のまま前方へ進むのですが、通勤ウォークと違ってジャージ、そして手ぶらということで、ここでの最大のポイントは「ひじを曲げてその角度を変えず、しっかり引く」ことです。これがランニングの腕振りと、ほぼ同じになります。

 正しく歩く、そして走るには、その動力の起点となる肩甲骨をしっかり動かすことがポイントです。肩甲骨を動かすには「ひじから上の骨」をしっかり引くことが重要になります。

・ひじから上の骨をしっかり引くことが重要

【青山剛】

 ひじの曲げ伸ばしをしてしまうと、肩甲骨の動きにはつながらず、動かしている割には動力が骨盤につながらず、腕は疲れるし、足を「使い過ぎて」しまいます。

・引いた腕のひじが伸びてしまっている悪い例

【青山剛】

・腕を前に大きく動かしているが、後ろには引けていない悪い例

「足が疲れない=足を節約した」歩き方を目指そう

【青山剛】

 正しいランニングを目指すのであれば、「足が疲れない=足を節約した」歩き方を目指しましょう。目安の時間は、運動不足の方は、まずは10分行って帰ってきて計20分くらいからスタートです。距離ではなく時間を目安にすることが、後々ランニングに楽に移行するためのポイントです。

 もちろんスマホなどで歩き終わった後に距離、地図を見ることで意欲の継続にもなりますが、くれぐれも「歩きスマホ」だけはNGです。

 それは安全面だけではなく、フォームの面でももう言うまでもありませんね。「ながら○○」は技術の習得を遅らせます。
 なので、音楽を聞きながらもたまにはOKですが、「音楽がないと歩けない、走れない」となっている方は、正しくできていない証拠だということも実は認識しなければなりません。
 春のうちに60分、いや90分以上しっかり歩けるようになってきたら、走れる体のスタンバイができてくるはずですので、楽しくお花見ウォークがてら歩きましょう。

 楽しく正しくが長続きの秘訣。「歩きを制する者が走りを制する!」です。
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著者プロフィール

元プロトライアスリート。大学時にプロ活動を開始し、1999年世界選手権日本代表に選出される。その後トライアスリート中西真知子選手のコーチとなり、指導者としての活動をスタート。同選手を2004年アテネ五輪出場に導く。現在は、ランニング、トライアスロン、クロストレーニングのコーチとして競技者から初心者、子供、タレントまで幅広く指導。著書に『ランニング・コアメソッド』『DVDパーフェクトストレッチ100』など多数。(社)日本トライアスロン連合強化チーム・指導者養成委員 元日本オリンピック委員会・強化コーチ

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