中村俊輔「試合に出なくても選手としての幅は広がる」=第9節 エスパニョル 1−1 バジャドリー

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中村はバジャドリー戦でベンチ入りするも、出場機会を得られず 【写真は共同】

 エスパニョルは1日、ホームのコルネジャ・エルプラットにバジャドリーを迎えて1−1で引き分けた。エスパニョルのポチェッティーノ監督は、リーグ戦では初めてフェルナンド・マルケスを左サイドMFに先発起用。中村俊輔はベンチスタートとなった。

 試合開始早々から積極的に攻撃を展開したエスパニョルは両サイドを起点に何度か決定機を迎えたが、ゴール前での決定力に欠け、得点できずに前半を終える。
 しかし、後半に入るとすぐに試合が動いた。51分、フェルナンド・マルケスがディフェンスラインの裏のスペースに浮き球のパスを出すと、ゴール前でそのパスを受けたルイス・ガルシアがそのままゴール。待望の先制点を挙げる。
 勢いに乗ったエスパニョルはその後も攻勢をかけたが、追加点を奪えず。75分前後から徐々にバジャドリーのペースになっていき、80分以降になると、ひたすら自陣にこもって猛攻に耐える展開になる。
 迎えた後半ロスタイム、途中出場のメドゥニャニンにゴールを決められ、1−1で試合を終えた。エスパニョルはこの引き分けで、リーグ戦7試合負けなしとなったが、惜しくも白星を逃した。中村は出場機会がなかった。
 以下は試合後の中村のコメント。

下を向いている時間なんてもったいない

――ベンチから見て、試合はどうだったか?

 サイドの選手がどういう感じかっていうのを再確認した感じ。やっぱりサイドバックとかストッパーからのボールが多いから、(ディフェンスの)裏、裏っていう動きが多いのと、サイドで(開いて)待っている。あとはアタッカーみたいな人が多い。

――その中で、今後、どうプレーしていくか?

 自分が持っているものをわざわざ消してどうこうっていうのはどうかと思うけど、あんまり多くのことを望まずに、センタリングだったら正確性だけを求めて一発を狙うとか、そういう方が結果につながるかなっていう感じがする。ルイス・ガルシアはあんまりボールを持たないけど、裏に飛び出る動きがすごい。右サイドバックが持ったときにボールを受けるふりをして裏に出る、そういう動きも必要になってくる。

――試合後、ピッチに残って走ったようだが

 この間も試合に出なかったときとか、アウエーで出場時間が短かったときとか、代表から帰ってきたばかりのときか、あんまり考えるっていうより、体が物足りないから走った。(以前所属していた)レッジーナのときにも一回、結構試合に出られない時間があった。もちろん試合に出た方がいいけど、そういうなかなか出られない時間を逆にうまいこと使えば、試合に出ないから選手としての評価はされないけど、選手としての幅は広がると思う。試合に出ていない時間があるときほど、いろんな幅を広げられる時間だから、有効に使っている。下を向いている時間なんてもったいないからね。だから次に向かって。

 でも、難しいサッカーしているからね。サイドがすごく広がるし、アタッカーが多いし、オーバーラップするわけでもないから、そこがネックだよね。まあ、我慢強く。こういうときは辛抱。忍耐力だと思う。どこかで中を向いて、スルーパスを出して、1点でも誰かが決めてくれれば、パッとまた変わってくる。そういう時を待つというよりは、自分でアクションを起こすように。こういう時間を有意義に使えば、(2年目の)レッジーナのときにも、シーズンで半分ぐらいしか出なかったけど、日本代表に戻ったときにはコンフェデ(コンフェデレーションズカップ)で良いプレーができたし、プラスにとらえたい。

<了>

(取材:川内イオ)
川内イオ/Io Kawauchi
1979年生まれ、千葉県出身。広告代理店勤務を経て、フリーライターに。某誌の連載企画で2006年1月より5カ月間、豪州、中南米、欧州の9カ国を回り、世界のサッカーシーンをリポート。その後、ワールドカップ・ドイツ大会での日本代表密着取材を経て、バルセロナに移住した。現在、サッカー専門誌を中心に幅広く活動中。09年1月に『サッカー馬鹿、海を渡る。―リーガエスパニョーラで働く日本人』を出版した
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