「もし俺がナイトーに勝ったら……IWGPタッグ王座に挑戦するよ! 今回は、俺がアイツを6分で倒してやる!」『NEW JAPAN CUP』で“復活”カラム・ニューマンにインタビュー! 再起へ向けたトレーニングにも潜入!!

チーム・協会

【新日本プロレスリング株式会社】

昨年の『WORLD TAG LEAGUE 2024』公式戦で負傷し、長期欠場していたUNITED EMPIREのカラム・ニューマンが『NEW JAPAN CUP 2025』で待望の復帰をはたす。

今回は、復帰へ向けたトレーニング最中にジムでカラムをキャッチ。はたして、“NJPW最速の男”はいま何を考えているのか?

撮影/山本正二

※リンク先は外部サイトの場合があります

■『NEW JAPAN CUP 2025』
3月9日 (日) 15:00開場16:00開始
兵庫・ベイコム総合体育館(尼崎市記念公園総合体育館)

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■今は、ジャンプもできるし、走ることもできるし、体重をかけることもできる。感覚としては90パーセントくらいの回復かな。

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――さて、カラム選手。まず、最初にうかがいたいのは、現在のあなたのコンディションについてです。

カラム だいぶ良くなってきたよ。ようやく頭がスッキリした感じだ。この1か月はトレーニングをして、通常の状態に戻ることに集中していた。年末はずっと家に閉じこもっていて、外に出られなかったから、昼間は寝て夜に起きるという生活をしていたんだ。動くのも大変で、それが精神的にもキツかったな。

――ずっと日本に滞在していたんですね。一時的にイギリスに帰国しようとは思いませんでしたか?

カラム いや、とくにそうは思わなかったよ。もともと日本にい続けるつもりだったし、ヒザのケガは逆に日本にとどまる理由のひとつにもなったかな。

【新日本プロレスリング株式会社】

――ヒザの状態が悪かった間は、移動も大変だったのではありませんか?

カラム まあね。宮崎で俺とHENAREが同じ日にケガをしたとき、東京まで飛行機で戻らなきゃいけなかったんだ。空港では車椅子に乗せられて、飛行機に最初に乗って、最後に降りることになった。

搭乗時はなんとかヒザを少し曲げて、車椅子の足置きに乗せることができたんだけど、着陸後はヒザが完全に腫れてしまって、もう動かせなくなっていた。あの状態で14時間のフライトに乗ってイギリスに帰るなんて考えられなかったよ。だから、せめて90パーセントの状態になるまでは日本にいたかったんだ。

――では、今はその90パーセントに到達したと言える感じなのでしょうか?

カラム ああ、もう復帰する準備はできてるよ。

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――プロレスで本格的にケガをしたのは今回が初めてですか?

カラム 今までもケガはあったけど、1週間以上休まなきゃいけないようなものはなかったかな。でも今は、ジャンプもできるし、走ることもできるし、体重をかけることもできる。感覚としては90パーセントくらいの回復かな。あとは試合のアドレナリンが補ってくれるはずさ。

■レフェリーのマーティーがロープ越しに「続けられるか?」って聞いてきたけど、俺はただ「無理だ!」と叫ぶことしかできなかった。

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――宮崎でHENARE選手と同じ日にあなたもケガをしたと言っていましたね。

カラム 彼の試合は俺の2試合前だったんだ。だから、彼が先にケガをして、バックステージに戻ってきたんだよ。それで「どうしたんだ?」って聞いたら、「なんかバキッと音がした」って言うんだ。でも、俺とHENAREはいつもふざけ合ってるから、「タイガーバームでも塗るか?」って冗談を言ったんだよ(笑)。彼も半笑いで流していたんだが、その数分後には俺のヒザもやられて、同じように足を負傷することになってしまったんだ。バスに乗ったときにHENAREから電話がかかってきて、「タイガーバームいるか?」って言われたよ(笑)。

――手痛いお返しですね。HENARE選手は普段あまり感情を表に出さないタイプですが、あなたの場合はケガをした瞬間から明らかに深刻な状態でしたね。

カラム ああ、俺はコーナートップにいて、両足ともコーナーの同じ側にあったんだ。足が固定された状態で、上から降りるときに足はそのまま、ヒザだけが逆方向に持っていかれた。ヒザが一度外れて、2回戻るのを感じたよ。

――つまり、ヒザが脱臼していたんですね。

カラム そうだね。最初に「バキッ」という音がして、それから2回「ポコッポコッ」と元に戻る感じがした。コーナーから落ちた瞬間、会場の空気が一気に静まり返るのが分かったよ。レフェリーのマーティー(浅見)がロープ越しに「続けられるか?」って聞いてきたけど、俺はただ「無理だ!」と叫ぶことしかできなかった。試合を途中で止められるのは初めてだったし、そのときは完全にパニック状態だったよ。

【新日本プロレスリング株式会社】

――かなり恐ろしい瞬間だったようですね。

カラム ああ、俺は普段から考えすぎるタイプだから、頭の中で最悪のシナリオが次々と浮かんできたよ。「ACL断裂、手術、長期欠場……」って感じでね。でも、バックステージに戻ると、みんな突然ドクターになったみたいにアレコレ言ってきたんだよな(笑)。

――みんなが「専門家」になっちゃうというか。

カラム そうそう(笑)。でも、その日のうちにMRIを撮って、幸いACL断裂ではないことが分かったんだ。

――診断結果は何だったんですか?

カラム ヒザ蓋骨(ヒザのお皿)の脱臼と骨挫傷だったよ。手術は必要なかったんだが、溜まった液を抜く処置が必要だった。

――それはかなり痛そうですね。

カラム 最初に抜いた液体は全部血だった。2回目に抜いた液体は血と関節液の混ざったものだった。その後で抜いた液体は関節液だけになったよ。2回目の処置のときに、「これはいい兆候だ」と言われたんだ。

――まだ出血していないことが重要だったんですね。

カラム もしまだ血が出ていたら、出血を止めるための手術が必要だった。でも出てくる液体が関節液だけなら、ヒザが炎症を起こしているだけで、それは身体が自然に怪我を治そうとしている証拠なんだ。でも、この処置のために小指くらいの太さの針をヒザ蓋骨の下に13回くらい刺したよ。

――うわ……、それは本当にキツそうですね……。

カラム しかも、最後の処置が一番痛かった! リハビリを続けて筋肉が戻ってきたせいで、針を刺すときに筋肉を貫通しなきゃいけなかったからね。

■俺は“場の流れ”で動くほうが得意なんだ。何しろ相手は元IWGP世界ヘビー級王者で『G1』覇者でもあるからな。

【新日本プロレスリング株式会社】

――さて、本題に戻りますが、次はいきなり『NEW JAPAN CUP 2025』ですね。

カラム しかも対戦相手はテツヤ・ナイトーなんだよな。

――昨年の『DOMINION』大阪城ホール、そして『G1 CLIMAX 34』に続いて、内藤選手とは3度目の対戦になりますが、今回は今までとはどのような違いがありますか?

【新日本プロレスリング株式会社】

カラム あの『DOMINION』のときは新鮮な気持ちだったし、試合に向けて十分な時間があったんだ。『G1 CLIMAX 34』のときはすでにシリーズの激戦で身体がボロボロになっていたし、試合時間もたった6分程度(※2024年8.8横浜武道館、5分55秒 デスティーノで敗戦)で負けてしまった。

【新日本プロレスリング株式会社】

今回は4か月近く試合から離れていたけれども、リングでトレーニングを再開したのはここ2週間くらいで、ようやく心肺機能も戻ってきたところだよ。

――今日はジムでトレーニングをしましたが、練習でリングにも入ることができましたか?

カラム ああ。俺は7歳で初めて受け身を取ったから、身体がプロレスを覚えているハズなんだけど、ロープワークは少し違和感があったな。走り方を一から学び直しているような感覚になったよ。

――そのランニングこそがあなたの独特なスタイルの大きな部分を占めていますよね。

【新日本プロレスリング株式会社】


カラム そうだね。イギリスでは10~11歳くらいからプロレスを始めて、20歳までの間は14~16フィートの広さ(一辺が約4~5メートル)のリングでロープを使って練習をしていたんだ。でも日本のリングは20フィート(一辺が約6メートル)で、しかもイギリスのリングとは違ってワイヤーの入っているロープだから、ケガ明けで戻ってくると凄く違いを感じたよ。

――試合に向けた特別なプランはありますか?

カラム ざっくりしたアイデアはあるんだが、俺は場の流れで動くほうが得意なんだ。何しろ相手は元IWGP世界ヘビー級王者で『G1』覇者でもあるからな。

――しかも現在はIWGPタッグ王者でもありますし。

カラム そうだったな! あの男はどこまでも進化し続けるよなあ……。

■もし俺がナイトーに勝ったら……IWGPタッグ王座に挑戦するよ! 今回は俺が6分でナイトーを倒してやる!

【新日本プロレスリング株式会社】

――ケガをする前は、あなたもジェフ・コブ選手と素晴らしいタッグチームを組んでいました。

カラム ああ、俺たちは最高のチームだったよ! 本当に彼とは相性が良かったんだ。

――これは良い知らせかわからないですが、もしも、あなたが内藤選手に勝ったら、2回戦ではジェフ・コブ選手との対戦になりますね。

カラム えっ、マジで!?(トーナメント表を確認しながら)おお、それは面白くなりそうだな……。

――もしどちらかが内藤選手を倒せば、IWGPタッグ王座戦線も視野に入ってきますし。

カラム そうだな。もし俺がナイトーに勝ったら……挑戦するよ! 今回は、俺が6分でナイトーを倒してやる!

――そしてジェフ・コブ選手と対戦することになります。

カラム 元世界王者の次は元オリンピアンか……。これはもうプランなんて立てていられないな。なるようになるさ。だって、ケガをしても、俺のスピードはまったく落ちていないんだ。

――ということは、スピードは維持できている?

カラム 全然落ちてないね。それを武器にジェフとも戦うつもりだよ。でも、彼に一度でも捕まったら終わりだけどな……。俺のスピードは誰にも止められないぜ、ベイビー!(ニヤリ)

■(海野が)もし頭を剃って、この大会でまったく違うアプローチを見せるつもりなら、まあ、とくと拝見させてもらうよ。

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――同じブロックにはエル・ファンタズモ選手、グレート-O-カーン選手、海野翔太選手もいます。海野選手は大阪でグレート-O-カーン選手に敗れて、自分で自分の頭を剃りました。

カラム 見たよ。ありゃあ、まるで『スマーフ』のガーガメル(漫画のキャラクター)みたいだったよな(笑)。最高だったよ! もしこの『NEW JAPAN CUP 2025』でまたウミノが負けることになったら、彼はもう終わりなんじゃないか?

――つまり、海野翔太選手はこの『NEW JAPAN CUP 2025』で勝てなければ未来がないと?

カラム 東京ドームで何があったにせよ、ザック(・セイバーJr.)にボコボコにされて……きっと彼自身、もっといい結果を出せたはずだと思っているんだろうな。彼はもう一段ギアを上げる必要があったんだ。それに去年は腰の問題も抱えていたしな……。もし頭を剃って、この大会でまったく違うアプローチを見せるつもりなら、まあ、とくと拝見させてもらうよ。でも、もう一回彼の頭をぶん殴ることには何の抵抗もないけどな。

■準決勝で戦いたい相手? シンゴ・タカギだな。彼は俺にとってプロレスのアイドルみたいな存在なんだ。

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――もし準決勝まで勝ち進んだ場合、対戦相手は石井智宏選手、ドリラ・モロニー選手、TJP選手、ボルチン・オレッグ選手、バッドラック・ファレ選手、もしくは鷹木信悟選手のいずれかになりますね。

カラム ファレが『NEW JAPAN CUP 2025』に出るのか! もしボルチン・オレッグがファレに“ボルチン・シェイク”をかけることができたらとんでもないことになるぞ!(笑)。でも、アイツならやれるかもしれない。本当にクマみたいなヤツだからな。

――石井智宏選手とドリラ・モロニー選手の試合についてはどう思いますか?

カラム モロニーも今やヘビー級だろ? もしイシイを倒したら、それだけで世界のヘビー級レスラーの70パーセント以上を超える存在になれるんじゃないか。イシイは俺にとってNEVERのファイトスタイルのお手本なんだ。もしモロニーがイシイに勝つことができたら、トップ選手として確実に歴史に名を刻むことになるだろう。

――その試合の勝者は、あなたの仲間であるTJP選手と対戦することになります。

カラム TJPはオープンウェイト的なスタイルの選手だけども、(フランシスコ・)アキラと組んでいることで、思うようにヘビー級との試合をやれていないんじゃないかと思う。だから、イシイやモロニーとの試合は、ジュニアの枠を超えるうえで重要なものになるだろうな。

――準決勝で戦いたい相手は誰ですか?

カラム シンゴ・タカギだな。彼は俺にとってプロレスのアイドルみたいな存在なんだ。

――そうなんですか。しかも、『G1』では、あなたは鷹木選手に勝利を収めていますよね……。では、もう一方のブロックで気になる選手は?

カラム そうだな、オオイワ(大岩陵平)だな。彼がやっていることは凄く興味深いよ。去年の12月に後楽園でやったオオイワ&ザック vs イシイ&ショウタの試合は、俺にとって去年一番の試合だったよ。

――となると、3月20日の決勝は、大岩陵平選手 vs カラム・ニューマン選手の可能性もありますね。

■俺はジェフ・コブと組んでタッグ戦線で結果を出したいと思っている。まだまだ可能性があると思うんだ。

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――今年の『NEW JAPAN CUP 2025』にはUNITED EMPIREから3人の選手が出場していますが、最近フランシスコ・アキラ選手に話を聞いたところ、「2024年はUNITED EMPIREにとって最悪の年だったかもしれない」と語っていました。あなたはどう考えていますか?

カラム いまの俺たちに必要なのは、統一された目標なんだよ。個々のメンバーがやりたいことばかりに集中して、ユニット全体として何が必要かを考えていなかったんじゃないかと思う。HENAREはNEVER無差別級王座のベルトを狙い、アキラはジュニア戦線で活躍、コブはNJPW WORLD認定TV王座を獲り、グレート-O-カーンは……正直、何を狙ってるのか誰にもわからない(苦笑)。俺自身は、ただ日本に残ることを目標にしていた。誰もUNITED EMPIRE全体のためには動いていなかったんだ。

――では、あなた自身のUNITED EMPIREでの役割はどこに向かうと考えていますか?

カラム 俺はジェフ・コブと組んでタッグ戦線で結果を出したいと思っている。『WORLD TAG LEAGUE 2024』での戦いを通して、俺たちは凄くいいチームになったし、まだまだ可能性があると思うんだ。スピードでは誰にも負けない俺と、誰でもどこにでもブン投げられるジェフ。俺たちが成功すれば、UNITED EMPIRE全体がもっと強くなるはずなんだ。

――なるほど。

カラム それに、『NEW JAPAN CUP 2025』か『G1 CLIMAX 35』かは分からないが、今年こそ、俺はUNITED EMPIREの仲間たちとも試合をしたいんだ。TJPとだって闘いたいし、グレート-O-カーンとも闘いたい。競争を通じてユニットをさらに進化させる、それが俺の考えている現在のプランなんだ。(了)

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著者プロフィール

1972年3月6日に創業者のアントニオ猪木が旗揚げ。「キング・オブ・スポーツ」を旗頭にストロングスタイルを掲げ、1980年代-1990年代と一大ブームを巻き起こして、数多くの名選手を輩出した。2010年代以降は、棚橋弘至、中邑真輔、オカダ・カズチカらの台頭で再び隆盛を迎えて、現在は日本だけでなく海外からも多くのファンの支持を集めている。

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