【コラム】第16回:日本で海外のオンラインカジノを利用する行為の違法性(その1)

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【© スポーツエコシステム推進協議会】

日本で海外のオンラインカジノを利用する行為の違法性(その1)

スポーツエコシステム推進協議会(C-SEP)が、アスリートとアスリートを取り巻く全てのステークホルダーに知ってほしい情報を発信していく本連載、オンラインカジノをめぐる問題が広がっている中で、第16回目となる今回からは、日本からオンラインカジノを利用することの違法性について、アスリートやスポーツ団体の皆さんに改めての注意喚起を行う趣旨で取り上げます。
*今回のコラムは、過去に掲載した内容を一部加筆・修正して掲載しています。

近時、芸能人やスポーツ選手を含めて、オンラインカジノ(スポーツを賭けの対象とするオンラインスポーツベッティングも含まれます。)の利用者の摘発事例が相次いで報道されています。

まず、日本人が日本から海外のオンラインカジノのサイトにインターネットでアクセスし、賭けをすることは、刑法上の賭博罪(刑法185条)に該当します。50万円以下の罰金又は科料という罰則規定もあります。
しかし、第9回でも述べた通り、違法事業者のサイトや法律解釈を誤解している解説サイト等では、適法であって賭博罪に問われることはないという説明をしています。
そのパターンは概ね2通り。1つは、海外のオンラインカジノ合法国でライセンスを取得した事業者によるサービスだから大丈夫だ、というもの。もう1つは、賭博罪は「必要的共犯」であり、事業者が合法国で処罰対象にならないのだから、日本国内からサイトを利用する人にも賭博罪は成立しない、つまりグレーだけれど黒じゃない、というものです。

どちらも誤った解釈です。まず、1つめの合法国のライセンスを持っている事業者だから大丈夫という説明ですが、賭博罪はいわゆる「国内犯」です。国内で行われた賭博行為が処罰の対象になります。
従って、日本人が米国ラスベガスに旅行に行って現地のカジノで賭けをしたり、米国のオンラインカジノやスポーツベッティング合法州に行って、現地の州内でライセンスを取得している事業者のサービスを利用しても、日本の刑法で処罰されることはありません。
しかしながら、現在問題になっているオンラインカジノは日本国内でオンラインカジノを利用する行為であり、これは、事業者が日本以外の合法国でライセンスを持っているかどうかにかかわりなく、日本国内の利用者に賭博罪が成立し、処罰されることになるのです。

本コラムを読んでくださっているアスリートやスポーツ団体の皆さんにおかれましては、改めて、オンラインカジノを利用する行為が違法であることを正しく認識していただければと思います。

次回は2つめの「必要的共犯」という専門用語を使った説明がどう間違っているのか、改めて解説します。
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