再びつかんだ司令塔の座。若き10番の覚悟が未来を切り拓く

清水建設江東ブルーシャークス 桑田選手 【©ジャパンラグビーリーグワン】

2月22日(土)、清水建設江東ブルーシャークス(以下、江東BS)は、NECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)とのビジターゲームに挑む。舞台は柏の葉公園総合競技場。ここまで2勝3敗と負け越している江東BSにとって、巻き返しを図るための大事な一戦だ。そしてこの試合で、久しぶりに『10番』を背負う男に注目したい。

桑田宗一郎は170㎝、74kg。ラグビーにおいて、その体格は決して有利とは言えない。それでも、彼は強靭な精神と覚悟で、自分よりも大きな相手に果敢に立ち向かい続けている。

江東BSには、リマ・ソポアンガという世界レベルの10番がいる。元オールブラックス・ニュージーランド代表で、サモア代表としても活躍する実力者。昨季の加入以来、誰もが認める不動の司令塔となった。

そんなソポアンガの存在は、桑田にとって高い壁となった。加入1年目は8試合に出場も、ソポアンガが加入した2年目の出場試合は3試合にとどまった。しかし、そのときの彼は「リマ(・ソポアンガ)がいるのだから仕方がない」と、どこか納得してしまっていた。

しかし、そのままでいいはずがない。自分自身に矢印を向け、「やれることを100%やって結果を出す」と決意。そうして挑んだのが、昨年7月から8月にかけての『タラナキブルズ 選手派遣、コーチング研修』だった。

江東BSと戦略的パートナーシップを結ぶニュージーランド州代表選手権(NPC)リーグ王者のヤローズタラナキブルズへの遠征。この研修に参加するためには、職場の理解を得て年休や夏季休暇を活用しなければならなかった。それでも、桑田は環境を整え、成長のために海を渡った。

異国の地で待っていたのは、日本では考えられない体格の選手たち、そして未知の戦術。間合いの取り方、プレースタイル──。そのすべてが新鮮だった。現地での経験を通じて、自信もついた。そして、「研修が今季の出場につながる転機になった」という実感がある。

さらに、新シーズンの開幕前、桑田は12番のポジションに挑戦した。10番とは異なる役割を求められ、苦戦しながらも適応を続けた。そうして迎えた今季。彼は全試合でスタメン入りを果たし、新たなポジションで出場機会をつかみ取った。

彼の挑戦を支えるのは、周囲の応援だ。「応援してくれる人がいるから、頑張れる」。両親、友人、そして仕事を通じて出会った人々。彼らの期待を背負い、桑田はピッチに立ち続ける。

そして迎えるGR東葛戦。今季、ついに彼に本来のポジションである『10番』で出場するチャンスが巡ってきた。

再び託された10番。これは、桑田にとって単なるポジション争いではない。支えてくれる人々への恩返し、そして自分自身の成長の証明の場でもある。

運命のキックオフまで、あとわずか。若きスタンドオフの覚悟が、江東BSの未来を切り拓く。

(奥田明日美)

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