【柏レイソル】“戻ってきた”漢が熱い!仲間隼斗の柏レイソル第三章
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「ゴールは、ご褒美みたいなものですよ」。謙虚に微笑む様子は、以前と変わらない。チームのために走り、献身的に戦う。そのプレースタイルを貫いた結果、サッカーの神様から贈られたプレゼントのように、このゴールを称した。
鹿島での3年間で、リーグ戦54試合に出場。Jリーグ最多のタイトルホルダーにあって、主力として存在を示した日々をこう振り返る。「鹿島は勝負へのこだわりが凄かった。試合だけでなく、どんな練習からでも、みんなが目の色を変えてプレーしていた。そこは大きな違いかもしれない。練習ではどうしてもこのぐらいでいいかっていう心の甘さがどのチームにも少しは出てしまうもの。でも鹿島では、その甘さに対するベースラインがすごく高いところにあって、勝つか負けるかという結果どうこうだけでなく、勝負に向かう気持ちや姿勢の面で、鹿島の強さというものをすごく感じました」
苦労も少なくなかったキャリアで、ついにたどりついたJ屈指クラブでの充実感を抱きながらも、古巣のことはいつも気にかけていた。「こんにちは!レイソル、最近どうですか?」。カシマスタジアムの試合中、鹿島のウォームアップエリアのそばで写真を撮っていると、仲間はいつもそんな声をかけてきた。「レイソルは一昨年や去年も少し厳しい状況にあって。それは選手たちだけの問題じゃないし、監督、コーチだけの問題でもないし、多分レイソルとしての雰囲気、空気が甘くなっていたのかもしれないなと。それを大きく変えるには、ちょっとやそっとじゃ変わらない。監督を変えたからとか、選手を入れ替えたからって、簡単に変わるものでもないと思う。本当に柏レイソルに関わるすべての人たちが、じゃあ本気でどこまで上を狙いたいとか、本気でどう変えたいのかとか、そういう思いがないと変わっていかない。自分はそこを緩くするつもりはないし、妥協するつもりもない」
「レイソルに戻ろうと思った理由は、32歳という年齢を考えたり、自分の経験や人生のことを考えたりして、やっぱり育成年代をこの柏で育ったというところが一番大きかった。自分の中にとって日立台でサッカーをすることが子供の頃からの大きな夢だった。ここでもう1回トライできるチャンスをいただけたなら、そうするべきかなと考えたのが一つでした。
あとは、自分がこの歳になって、みんなができないような経験をたくさんしてきたつもり。その経験を少しでもレイソルのためになるんだったら捧げたいと思ったことが、移籍する決断につながりました。鹿島から柏に移籍して、自分が肌で感じてきたことを体現すれば、いろんなことを還元できると思った。
鹿島では、毎日毎日タイトルのためにやるっていう充実感を味わってきた。もちろん大きなストレスやプレッシャーはあるけど、でも、そこに向かっていく過程がすごく楽しかったんです。タイトルを取りたいっていう思いは、みんな持ってはいるだろうけど、簡単には取れない。でも本気で立ち向かって、うまくいったりうまくいかなかったり、その修正していく過程がすごく楽しいんだよって。それを自分が体現して、レイソルの若い子たちにも伝えていきたい。それに僕もタイトルを取ったことはないし、タイトルを取るならレイソルで、レイソルの全員で取りたいなっていう思いがあります」
「自分が15歳の時は、とにかく夢中で、何にも考えずにサッカーをしていた。本当に感覚や本能の部分でしかプレーしていなかったので、考えることや反省ができていなかった。やっぱり考えることが大事だったなと思います。
長南くんと当時の自分と、比べるもどうもないっていう感じです(苦笑)。もう今の時点で多分プロでもプレーできるぐらいのすごく良いものを持っているし、精神的にも多分強い子だろうなっていうのは、キャンプを見ていて感じました。俺が言うのはおこがましいですけど、人間はどうしても自分が1番だとかっていう勘違いする時がある。長南くんはそうでなければ良いですし、とにかくずっとサッカーを好きでいてほしくて、そのサッカーのために時間を使ってほしい。もうプロでもできるようなクオリティや能力があるわけだから、それをちょっとずつでも伸ばしていけば、必ず素晴らしい選手になると思うし、とにかくサッカーを続けて、楽しんでほしいです。
もちろん、これから挫折と言われるようなものが来るかもしれないけど、さっきも言ったように成功と挫折の過程をすごく楽しんでほしい。レイソルでプロになって、日本代表になって海外に行くことももちろんいい選択だし、でもその間にもし何かあったとしても、そのうまくいかない時の苦労や過程も楽しんでほしいなって思います」
「まず大きな前提として、監督はすごく情熱がある方なので、選手たちも監督に負けないぐらいの情熱を持ってやらないと監督が独り立ちしてしまう。だから、監督には絶対に負けない。勝つとか試合に出たいとか、そういう情熱は絶対負けたくない。監督も多分そこを求めていると思うので、そこは絶対条件で1年間続けるというところ。
プレーでの役割としては、自分はあまり攻撃と守備を分けたくなくて、いい守備がいい攻撃につながるし、いい攻撃がいい守備に繋がるという考え方。チームとみんなの潤滑油というか、そのサイクルを回して回して、どんどんどんどん切り替えがないような状態にしていくこと。それでみんなの良さも生きるし、自分も生きるというところは監督にすごく求められているかなと思う。もちろんリカルド監督の戦術の立ち位置やポジショニングの精度は必ず求められてくるし、すぐにうまくなることではないと思うので、段階を踏んで頭と体をどんどん合わせていくっていうことが大切だと思っています。
守備面は、やっぱり基本的に自分たちがボールを保持してアタックしていきたいので、ハイプレスでなるべく早くボールを奪ってマイボールにして、攻撃の回数を増やしていくっていうことが絶対条件。やっぱり自分は前線の選手だから、ファーストプレッシャーだったり、切り替わった瞬間にすぐプレスに行くだったり、その強度はすごく求められています」
仲間隼斗の柏レイソル第三章が、いま始まる。
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