2025年度 第1回Jリーグ理事会後会見発言録

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2025年1月28日

2025年度 第1回Jリーグ理事会後会見発言録

2025年1月28日(火)16:10~
Jリーグ会議室およびWeb ミーティングシステムにて実施

登壇:執行役員 窪田 慎二
   執行役員 青影 宜典
   執行役員 樋口 順也
陪席:執行役員 笹田 賢吾
司会:広報部長 萩原 和之

〔司会(萩原広報部長)より説明〕
本日開催いたしました第1回理事会後の会見を開催いたします。
本日は、野々村芳和チェアマンが別件で不在になりますので、窪田、樋口、青影、笹田にて進めさせていただきます。

《決議事項》萩原部長より説明
1.Jリーグ規律委員会による懲罰の運用変更について
https://aboutj.jleague.jp/corporate/pressrelease/post.php?code=f87e4b4f-c63d-45e5-bb22-a990ad0bdb17&y=&m=&q=
規律案件の運用変更に関する内容です。
試合中の退場の判定に明らかな誤りがあるとJリーグ規律委員会が判断した場合、その後懲罰を課さない運用を2024年から開始しています。この運用の件で一部変更があります。
公平かつ多角的な目で判断していく目的で新たな体制で運用していくことになりましたので、樋口よりご説明いたします。

(樋口執行役員より説明)
2025シーズンの運用より、Jリーグ規律委員会(以下、規律委員会)の下に検討部会を新設いたします。
2024シーズン途中から、試合中の退場の判定に明らかな誤りがあると規律委員会が判断した場合、その後懲罰を課さない運用を開始し、クラブから数件の申請がありました。
結果的に、規律委員会によって明らかな間違いと判断された案件はありませんでしたが、退場の判定を「明らかな間違い」だと判断する審議の過程において、選手側の意図等を汲んだ意見の反映が十分でなかったと振り返っています。
そこで、規律委員会の下に検討部会を作り、メンバー構成として、元選手、元審判、またある程度客観的に見ることができる第三者の3者の構成で議論をする場を作りたいと考えています。元選手の方には、選手側の気持ちや意図、例えばこの選手がどういう気持ちでプレーをしていたのか、意図的に行ったのか、それとも意図せずにそうなってしまったのか、などをある程度代弁できるような方に議論に参加いただきます。
元選手の方は、最新の競技規則を一定程度理解されている方が望ましいので、いくつかの条件でリストアップしているところです。なお、個別の案件にどの方が関わったかまでは様々な観点から非公表にしたいと思いますが、検討部会のパネルとして確定された方については発表したいと考えています。

2.役員の任期上限および就任時年齢の変更について/執行役員の選任について
https://aboutj.jleague.jp/corporate/pressrelease/post.php?code=3a1232d7-d06a-4bd1-b33c-1fae049090b3&y=&m=&q=
社外理事・特任理事の任期上限、および役員(理事および監事)の就任時年齢の変更についてご説明します。社外理事の任期の上限は従来「2期4年」であったものを「4期8年」に変更いたします。役員の就任時の年齢は「満65歳未満」から5年延長し「満70歳未満」に変更いたします。 
理由は様々ございますが、多様な人選を実現することや、中長期目線で経営に関わっていただく必要があること、サッカー関係者でなく多様な専門性の高い方々に来ていただきたいこと、さらに、サッカーや我々の組織(Jリーグ)に入って色々習熟するのに時間がかかることも含めて、少し長めに取ったということです。 
また、特任理事の任期につきましても「4期8年」を上限といたしました。

3.執行役員の選任について
https://aboutj.jleague.jp/corporate/pressrelease/post.php?code=908644c3-3be6-47d0-a7af-9ef780fd6097&y=&m=&q=
執行役員の人事に関しましては、今までお世話になっていました笹田賢吾が3月18日(火)の定時社員総会をもって退任し、新たに鈴木章吾が執行役員に就任することとなります。

4.2025Jリーグマッチコミッショナー決定、2025Jリーグ審判員決定
https://aboutj.jleague.jp/corporate/pressrelease/post.php?code=d55e827b-7102-4b6c-b3ce-4ca02403a86f&y=&m=&q=
マッチコミッショーと担当審判員の決定につきましては、毎年行っているものです。

5.2025Jリーグ規約規程改定について



Jリーグ規約規程の改定の要点としましては、入会要件に関する改定、理想のスタジアムに関する改定などいくつかあります。Jリーグへの入会要件のひとつに、 1試合平均入場者数2,000人と年間入場料収入が1000万円に到達しているという要件がありますが、入場者数はJFLの公式記録に基づくことを明記しています。入場料収入に関しては、入会の可否を審議する理事会時点において、延期等で全てのホームゲームが開催されていないときの算定式を定めたなどがございます。
その他、チェアマン不在時の対応(試合開催可否判断等)に関する改定について、やむを得ない事情によりチェアマンが決定できない場合、フットボール本部担当執行役員、フットボール本部長の順で代行者を明記したことなどの変更がございます。

最後に、審判領域の質向上については、樋口からご説明いたします。

6.審判領域の質向上に向けた取り組みについて
https://aboutj.jleague.jp/corporate/pressrelease/post.php?code=b053679d-aeca-4af5-8714-adf6c3a15861&y=&m=&q=

(樋口執行役員より説明)
審判に関連する様々な環境整備について、2023年頃よりJFAと様々な議論を深め、2024シーズンから研修やトレーニングやサポートスタッフを増やすなどの様々な改革を進めてきました。同時に将来像についても改めてJFAと抜本的な議論をしてきました。シーズン移行を決議した際に設定した「10年後(2033年)に目指す姿」の一環で審判領域の目指す姿についても検討しているものです。例えば現在、150名中約20名がプロフェッションナル・レフェリーですが、専業でプロとして審判活動できる方を半数近くにする、というように、10年後の目指す姿を作りました。今回は、そうした将来像の実現に向けた第一歩として2025年から実施していく施策の主なものを発表いたします。

●プロフェッショナルレフェリー(PR)の拡大
‐PRを19名(2024シーズン)から24名に増員
まず、プロレフェリーはこれまで20名弱が通例でしたが、10年かけて70名規模に増やしていくことの第一歩として、5名増員という形にしています。

●Jリーグ担当審判員の手当見直し
‐明治安田J2・J3リーグ担当審判員向けの手当底上げ
‐PR向けおよび明治安田J1リーグ担当審判員向けの手当の調整および統一
また審判手当について、例えばJ3では、これまで第4の審判員は1万円、副審は1万5千円でした。たくさんのお客様に観ていただきながら、作品としてピッチ上の価値を選手と一緒に高めていく審判です。変更後の手当が十分かは分かりませんが、まずは一部でも改善したいということで、J2、J3の審判手当を底上げいたします。また、PR(プロフェッショナル・レフェリー)とJ1を担当するレフェリーの審判員の手当に今まで区別があったのですが、そこも廃止して、1試合、1試合高いパフォーマンスでしっかりと割り当てがあって、活躍する審判の方に多くの手当がいくような形に変更しています。

●海外審判の招聘
‐7か国(ベルギー、イングランド、ドイツ、ポーランド、エルサルバドル、カタール、サウジアラビア)から海外審判を招聘予定
*2024シーズンの招聘国:イングランド、ドイツ、ポーランド、アメリカ、メキシコ、カタール

また、昨年から急激に増やしている海外審判も今年、より増やしていく方針です。まだ常駐の形は実現していませんが、全体で40試合程度、すべての担当試合がJ1リーグの場合、実際はもちろん偏りはありますが、平均1節に1試合いるような状況になると思います。

●選手OBの審判早期養成プログラム
‐4級取得からJ1担当まで約10年要するところ、選手OB向けに最短約5年に短縮する飛び級制度を開始

選手OBの御厨貴文さんが昨年、最優秀主審賞を受賞するという成果をあげました。選手OBの方々にはサッカーへの理解がかなり高く、審判員の資質を備えた方が多いと思います。そういったことから元選手の方に向けた早期養成プログラムを新しく始めます。これまで多くの時間がかかっていたところを、優秀な方々に対しては少しでも短くして、審判員として若い年代から国際審判として活躍するような方々を元選手の方から多く輩出していきたいという思いからこういった制度を具体的に開始いたします。

まず、2025シーズンは第一歩ではありますが、今後、より大きな改革も含めて検討していくための環境整備の全体像となります。

〔質疑応答〕
■規律委員会による懲罰の運用変更について
Q:事実確認なのですが、最初に複数の元選手が公表され、どの案件にどの選手が担当したかが非公開ということでしょうか?

A:樋口執行役員
おっしゃる通りです。

Q:昨シーズン数件の届出があったとのことですが、中々議論ができなかった際に、選手の目が欲しいという具体的な話があったのか、それとも議論自体が難しい状況だったのか、どのように制度変更に至ったのでしょうか。

A:樋口執行役員
様々な議論がありました。判定を明らかに間違えていると判断するのはこれまでのJリーグの歴史から見ても、かなり勇気のいることです。規律委員会には元審判の方やガバナンスに精通されている弁護士の方などがいらっしゃるのですが、どちらかといえば、選手側の立場で「やはりここはこういう意図だ」としっかりと意見が言えるような方がいませんでした。そういう方が選手側視点の意見をお話しいただき、場合によっては(判定に対して)「これは違う」とより議論ができる場を作ろうと内部で検討し、制度設計したものです。
先ほどのご説明に一点補足です。元選手の方は複数リストアップいたしますが、公平性の観点を重視します。例えば元所属クラブの試合に関わらないこと、例えばある試合で退場になり3試合出場停止の可能性がある場合、対象となる3試合の対象クラブにも、過去の所属歴が含まれないようにする。また、クラブの正式な強化担当等を現任されている方はもちろんメンバーに入りません。
一方、アンバサダーといったチームの役職にない方は、パネル(検討部会)に入る可能性があります。アンバサダーなどチーム役職にない方がパネルに入った場合は、所属クラブが参加しているカテゴリー全体から担当を外すなど、一定のガバナンスをしっかり効かせた上で実行していきます。

Q:イングランドでも同様の運用をされていて、イングランドは逆に審判委員会に元選手の方が入っているという構造のガバナンスになっていると思うのですが、参考にした部分と、今後、本体の部分にまで踏み入っていく展望はありますか?

A:樋口執行役員
アメリカ・メジャーリーグサッカーやイングランドなど、海外の様々な先行事例を参考にしました。
先ほどご説明したとおり、規律委員会の任期2年のうち、ちょうど1年終わった間のタイミングであり、かつ委員の人数が規約に定められた最大人数を満たしていることから、すぐに元選手枠の方が委員に入ることは現実的ではありません。場合によっては検討部会のメンバーの方に規律委員を担っていただくことも将来的にはあるかもしれません。一方で、規律委員会は原則、試合があった翌月曜日にすぐ開催されます。元選手の方は様々な活動をされていると思いますので、スケジュールが確保できるか、という点から、パネルから都度、ご都合に合わせて参加いただいた方が良いのではないか、という見方もあると思います。運用しながら改善検討をしていくことになると思います。

Q:パネル(検討部会)に入る元選手の方々は何人くらいを予定されていますか?

A:樋口執行役員
10数人を予定しています。
先ほど申し上げたようにいくつか条件を設定しています。プロ選手としての経験、引退してからどのくらい経つか、もしくは引退してから監督や強化担当に就任していた場合、辞められてからどのくらいの期間になるかなどを考慮します。現状の競技規則にある程度精通していないと意見が出せなくなってしまうため、それらも考慮し条件を設定します。必要な人数シミュレーションをしながら個別に相談させていただいているところです。対象者には事前に改めて競技規則を理解していただくなどの研修を実施させていただきます。元弁護士の方と審判員の方は、元選手の方よりもスケジュールが確保しやすいと思いますので数人規模になると思います。

■審判領域の質向上に向けた取り組みについて
Q:審判員の待遇改善についてはずっと議論がなされてきたと思います。手当については、シンプルに見て、PR(プロフェッショナルレフェリー)とJ1の区別を廃止したということですが、主審は確かに上がっていますが、副審の方はPRの方が5名いるはずですが、その方たちは下がっていると思いますが。

A:樋口執行役員
前提として、PRはJFAと契約している基本給があります。そのバランスの中での調整となっています。

Q:反対意見やそのほかの意見等、議論はありましたか。

A:樋口執行役員
もちろん、全体の限られた予算の中でどこをどう上げていくかといったことは、いつも議論になります。J1、J2、J3のバランス、主審、副審、第4の審判員のバランス。様々な議論があった中で、当然、最後は満場一致とはなりませんが、JFAの審判部、審判委員会も含めて様々な議論があった中でこういった設定となりました。

Q:審判の件ですが、プログラムの意図、可能な範囲での詳細を教えてください。

A:樋口執行役員
昨年、選手のABC契約を撤廃しました。その際に選手の報酬についても様々な情報を整理いたしました。例えば、現状では契約上の最低年俸の設定がないので、プロ契約でも年俸が200万円以下という方もいる状況です。一方で、審判員の報酬もこれからは、手当も含めてどんどん上げていきたいと思っており、例えば、このまま選手としてプレーするよりも、今この段階でレフェリーに切り替えた方が、レフェリーとしてもっともっと上にのぼりつめ、場合によっては報酬も含めてより多くのものを得ることができる選手もいるのではと思っています。ただ、現在、4級取得からJ1担当まで約10年を要し、そのような選択肢をなかなかとりづらいということもあることから、その選手しっかりとレフェリーとしてのトレーニングし、もう少し短い期間(最短約5年に短縮)にすることによって、元選手の審判員の分母を広げていくことが狙いになります。
今シーズンは第1回で、諸々、JFAと準備をしている段階です。これから募集に入りますが、おそらく3~5名程度になると思います。
具体的なメニューですが、一週間の半分程度、講座やトレーニングに参加いただき、残りの時間はフリーになりますので、ご自身で働いていただく、場合によってはJリーグやJFAで業務をお手伝いいただくことも含め、集中して短期間でトップレフェリーを目指せるような環境を作っていきたいと思っています。

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